長所を伸ばした正常進化!ゆったりと優しさのスペシャリスト<日産セレナe-POWER>
初代セレナが登場してからおおよそ30年以上が経過し、今やミドルサイズミニバンの知名度として知らない人はいないであろうセレナ。先代からはe-POWERが採用され、より日産のラインナップの中で重要なポジションを担っているのは間違いない。セレナといえばママの車という印象が強い。しかし現行型からママの車を脱却し電動ミニバンとしての立ち位置にシフトしてるように感じる。今回は納車から3000km走っての印象や走りに関してレポートしていきたいと思う。
先進性とどこか懐かしさのあるインテリア
まず目を引くのはやはり大きなディスプレイと横一列に並んだシフトスイッチだろう。初見で運転席に座った際、c25からキャリーオーバーされ続けているプラットフォームと思えないほどの真新しさを感じたのを覚えている。
もちろん低床ではないため、乗り込む際は「よっこいしょ」と段に足をかけて乗り込む形にはなるが、ライバルと比較してもそれが気にならないほど、の先進性は兼ね備えているだろう。エアコンパネル周りはピアノブラックのタッチパネルになっており咄嗟に操作が必要な部分だけスイッチ式になっている。
インフォテイメント周りもメーカーオプションナビは使いやすく、視認性も高い。また、メーター内に地図を表示させることもでき安心して地図を使うことができる。AppleCarPlayやAndroidオートも装備しスマホのように操作できる大変扱いやすいナビなので手放しにおすすめと言いたいところだが、このナビ、壊滅的に音質が悪いのである。もちろんイコライザー等音質調整を行って改善はしたが、根本的に音が軽すぎるというか、ロードノイズに紛れてしまうほど細いのだ。
音質を求めるのであれば、デジタルメーターを犠牲にしなければいけないオプション構成が最大のインフォテイメントのデメリットであると言える。
本車両はAUTECHであるため、ステッチが青になるなど標準車と異なっている。個人的にはAUTECHの青ステッチや木材のカラーリングに関してはかなりお気に入りポイントだ。
C27のe-POWERからの乗り換えであったが、デザインや上質さでは圧倒的にC28で向上したと感じる反面、カップホルダー周りの実用性や収納の使い勝手は正直低下してしまったように感じる。特に、ハンドル前方の小物入れを気に入って使っていたこともあり、正直残念だ。
また左側にカップホルダーがついているが、e-pedal のスイッチやマナーモードのスイッチと干渉しかなり操作がしづらい。スタバの浅いカップですら扱いづらく、ペットボトルも干渉してしまうためかなりのマイナスポイントだ。特に走行系のスイッチをブラインドタッチで操作しづらい点に関しては今後の小変更での改善を期待したい。。。
1.4Lの進化は伊達じゃない!パワートレインは大満足!だが....
今回のセレナから発電専用のHR14DDeが採用されより電動車としての長所を伸ばしたパワートレインとなっている。
先代のe-POWERから電動感のあるトルクフルな走りはもちろん引き継がれている。先代の1.2では唸るだけでパワー不足を感じるワインディングや上りの続く場面でも静かに力強く加速していく。市街地や郊外の走行時もエンジン音はほとんど室内に入ってこない上、エンジンがかかるタイミングも遅く静粛性はかなり高い。静粛性だけでなく、燃費もワインディングをそこそこのペースで走ったあとでもリッター19kmとこのサイズのミニバンにしてはかなり健闘してるのではないだろうか。
特に合流や追い越しなど力が必要な場面でもエンジンの音がほとんど入って来ない点や先代と比べてHV車あるあるのEV状態からの加速時のラグが少ない点は素晴らしいと感じた。
ステアリングの剛性感もかなり向上している。先代では、軽すぎてスカスカの感触のないハンドリングがかなり気になっていたがハンドルを切った時の感触も手触りも滑らかかつ上質だ。ラックピニオン式のパワステの効果だろう。先代と比べるとボディもしっかり感が増し、安心してカーブを曲がっていくことができる。ガソリン車とe-POWER車で若干ステアリングの感触の傾向が違うのは注意したい(軽さを求めるなら絶対ガソリンを勧める)
フロアから若干のプルプルとした振動を感じるのはキャリーオーバーされ続けたプラットフォームが原因だろうか、
とはいえ先代の不安を感じるほどのふにゃふにゃ感や設置感のなさ等はかなり薄れたように思う。スポーツモードに入れて気持ちよく走ることも容易だ。
視界の良さは健在
先代に引き続き、前方側方の視界は同クラスミニバンと比較してもかなり良い。この視界の良さのおかげで大きなボディも容易く街中で扱うことができる。ノートやオーラと比較してもアラウンドビューモニターは画質が良く、視認性が高い。より実用的になったと感じる。
最大の弱点
間にも少しずつデメリットに関して触れていたが、1番の弱点はライバルと比較して価格が高いということだろう。というより、セレナを味わうためのオプションが高いのだ。例えばデジタルメーターを取るなら、メーカーオプションナビが必須になり、さらに諸々のオプションが全てついてしまうため、40万近いオプション価格になってしまっている。正直セットではなく一つ一つオプション選択できれば....と思ってしまう。諸々つけたらルキシオンを買った方がいい場合もある。
ガソリン車ですら400万オーバーの価格帯になってくることを考えると他社も視野に入ってくることは否めない。
まとめ
現状の結論としては
ミニバンでe-POWERに乗りたい人が買うべき車
ではないだろうか。私もその1人である。
よりBEVに近づいた乗り味でありミニバンとしては異質な存在である。
またBEVを意識した静粛性を生かし、静かさによる優しさの乗り味とモーターが生み出すトルクによるゆったり感を生み出している点においてはいわば
ゆったり上質のスペシャリストと言っても過言ではない。日産eシェアモビ等でぜひ1度体感して欲しい。
かなり、ダメ出しポイントを多く書いてしまったように思うがまだセレナを購入して半年も経っていない。少しずつ検証して、その都度レビューという形でノートに記載していこうと思う。