![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167590891/rectangle_large_type_2_3149914c89271030c8617f7665f43141.jpeg?width=1200)
住宅型有料老人ホームに勤めてて思うこと〜①サービスについて
介護福祉士の資格を取って、住宅型有料老人ホームで働き始めて2年半が過ぎた。
仕事はもう慣れたものであるが、慣れるほどに「ケア以外でどこまでサービスするか」を考える。
住宅型の施設では訪問介護として入居者さんのお部屋にサービスに入るのだが、訪問介護というのは【できることとできないこと】というのが細かく決められている。
わかりやすくまとめられているアルソックのページがあったので引用する。
ここに書かれていることがすべてなのだが、訪問介護のケア中にこれらの【できないこと】【決められたケア以外のこと】を頼まれた場合は、もちろんお断りする。親切心でやったとしても、怒られるのは自分だ。
しかし、ケア時間以外で頼まれた場合はやってはいけない訳では無い。施設の方針やヘルパーの善意で行う場合もある。
私は、自分や周りに余裕があれば入居者さんの為になることはやってあげたいと思うタイプだが、そうでないヘルパーももちろんいる。最低限、訪問介護のケアをきっちりやっていれば問題ないのだから、それで間違いではない。でも、ちょっと冷たくない?と思っていた。
しかし最近、ある程度の線引は必要なのかなと思い、悩むことがある。なんでもかんでもホイホイ頼まれごとを聞いていた訳では無いが、「頼めば大体やってくれる」が当たり前になっている入居者がいるのだ。
たとえばベッド上で過ごしている方に手の届かないところの物を取って欲しい、と頼まれたとする。他の方のケアや対応で忙しく、行けるのが1時間後になりそうだと伝える。すると、「こんなこともすぐにしてくれないのか、何のために施設に入ったんだ」と家族からクレームが入る。
正直、ごめんなさいより先にウーン、と首をかしげてしまう。
想像してみてほしい。住宅型のホームは一部屋一部屋がその方の【お家】である。働く私たちはその【お家】に【訪問する】ヘルパーである。
普通の一軒家に住んでいる方が「ちょっとあれとって!」と訪問介護のヘルパーを家に呼びつけることがあるだろうか?あっても、ほとんど来てくれることはないだろう。住宅型でも、要望がすぐ何でも叶う訳では無いことを理解してもらいたい。
もちろんすぐ対応できるのが理想なのだが、それはあくまでヘルパーの善意なのだ。感謝せよ、と言っている訳ではなく、すぐ対応できないと告げられても「そうだよね、待ちます」と優しく返していただけたら非常に有り難い。
私のこのような不満を解消している施設では、ナースコール対応でもお金を払ってもらっているらしい。頻繁にナースコールで訪問すると、自費での緊急ケアになりものすごい支払いになるそうだ。なので、ナースコールを押す人が滅多にいないらしい。それもそれでどうなの、と思う気持ちもあるが、【善意のタダ働き】がなくさらに【できないことはできません】と白黒はっきり断れるのは清々しいだろうなと思う。
ひとつの建物のなかに皆で住んでいるけど、一部屋一部屋が【お家】ということを、入居者本人にも家族さんにも知っていてほしい。入居のときに説明はするそうだが、感覚的に理解し辛いのかもしれない。
「茶を淹れてくれ」
→ご自分でお願いします
「ポストにはがきを入れてきてくれ」
→ご家族さんにお願いしてください
「一緒に散歩に行ってくれ」
→レクリエーションの時間でお願いします
としか言いようがないのだけれど、ケチ扱いされるのはちょっと腑に落ちない。家族さんにしても
「◯時にこのテレビをつけてあげてください」
「電話したいのでスマホを操作してあげてください」
「寂しいと言ってるので部屋に行ってあげてください」
できればやるけど、必ずやってねベースのお願いは、それ違うよと思ってしまう。基本的にケア以外のことは家族で対応していただく方針の施設に勤めているので、ここはとくに感じてしまう。冷蔵庫のもの、賞味期限切れないように食べさせてくださいね、など出したらきりがないほど家族さんからの要望は多い。
これは念押ししたいが、できることはしてあげたいのである。その気持ちはほとんどのヘルパーが持っていると思う。
しかし、やって当たり前でしょう、はいただけない。なんでもすぐに対応して欲しいなら、もはや専属のお世話係を雇うしかないのである。