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子持ちと子無しの共存は可能か

詳しく書くと簡単に特定されそうだが、勤め先の施設は子連れ出勤が可能である。
コロナだインフルエンザだと感染症にうるさい介護業界では珍しいことだと思う。
我が子も土日で預け先がない時は施設に来て入居者さんと触れ合っている(もちろん体調に問題ない時だけである)非常に助かる制度だ。
そんなわけで30〜40代の子育て世代が主力だし、かなり平均年齢の若い介護現場だ。長期休暇ともなると幼児が共有スペースを走り回るのが日常茶飯事なのである。

先日、未婚の女性先輩が言っていた。
「この環境って、不妊治療とかしてたら最悪よね」
確かにそうだと思った。子供がそこらじゅうにいるものなあ。その先輩は年齢的にも子供を積極的には望んでないようで、気にならないらしい。それもどこまでが本音なのかは本人以外に分かりようがないが、もしかしたら昔は子供が欲しかったかもしれない。
産婦人科に行ったことがある人は分かると思うが、あの空間に近いかもしれない。当たり前のように幼児児童が出入りする職場に、不妊治療中の自分…となれば、心穏やかにはいられないのは想像に容易い。
だからといって制度上連れて来るなと言えないのだから、産婦人科より過酷だ。最近の産婦人科は不妊治療中の方に配慮して子供を預けるキッズスペースがあることが多いからだ。
産んでしまえば素晴らしい職場だが、産みたいのに産めない場合は地獄かもしれない。

子供を望んでない場合でも、子供が好きじゃない方にはきっと嬉しくない環境だ。大人しい子供もいれば、走り回る子供もいる。9時から18時までキャッキャと走り回っているのだから、子供嫌いだとイライラするだろう。子持ちの私でさえ、うるさすぎる時は「ちょっと黙ろうねぇ?」と目を見開いて説教する。自分の子も他人の子も関係なく説教する。昔の長屋のように、大人が皆で見守り、時には指導する。騒がしいのが嫌いだと疲れるだろう。

こういう職場環境なので、懇親会も子供も参加できるような設定が多かった。ボーリング大会、縁日、、、。
しかし、ある時ひとりの先輩が企画側の社員に言っているのを聞いたことがある。
「働いているのは職員なんだから、職員をまず第一に考えないとね。子持ち以外が参加しにくい雰囲気だったら意味がないじゃないの」
最もだなあと思った。私は、自分が子持ちだから「子供を連れて行く、行かない」という選択肢があるけれど、そうでない人にとっては「子供がいても行くしかない、子供が嫌なら行かない」という限られた選択になってしまう。
企画側も気づいたのか、それ以降の懇親会は今のところ社員のみになっている。結局のところ、大人だけのほうが子持ちとて手放し自由に楽しめるのでこれで良かったのだと思う。
子供を「嫌い」というのは悪いことのようにとられがちだが、個人個人自由でいい。私も自分で産んでみるまではあまり子供が好きではなかった。
自分が知らずのうちに「子持ち様」にならないよう、常に周りに感謝しないといけないと思う学びだった。







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