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Vinca Petersenという写真家・アーティスト 3タイトル

CYROでは現在、Vinca Petersenのこれまでの全3タイトルの作品が入荷してます。

出版社もリリース年も本の装丁もそれぞれ違う3作品ですが、こうして並べて読んでいくと、ひとつの作品のページを捲っていくのとはまた違った、彼女のアーティストとしての表現を感じることができました。個人的にもすべてのタイトルを読むことでまたひとつ深く入り込めた気がします。

今回のnoteでは、そんな彼女の本を発行順に紹介していければと思います。

【Vinca Petersen / No System】初版 発行 Steidl 1999年

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※画像は2nd editionです。

200枚以上のVinca Petersenの写真、日記、エフェメラを含むNo Systemは、1990年代のフリーパーティーや野外フェスティバルに参加してヨーロッパを回った10年間の旅の物語です。
当時パーティーシーンのムーブメントは規制を受け、DJや若者たちはイギリスからヨーロッパ本土へと流れて、トラックに食料とサウンドシステムを積み込み野外フェスをしたりしながら、旅を繰り返します。ヴィンカもともに旅をし、その日常をカメラで撮り続けました。これはその90年代を生きたヨーロッパの若者と1人の女性の記録であり、当時のカルチャーを象徴する作品です。

"私たちはシステムに反抗しているのではなく、システムの外で生きている。音楽を必要としている人たちへ無料で提供するし見返りは求めない、ただ気の向くままに放浪させてくれる場所があればそれでいい。
何千年もの間、地球上ではトライバルビートが刻まれ続けてきた。その連綿たるリズムにテクノロジーが加わった。年齢は関係ありませんし、背景も関係ありません。
私たちは今も未来も存在しています。

私たちの生き方にようこそ…“


【Vinca Petersen / Future Fantasy】初版 発行 Ditto 2017年

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※画像は2nd editionです。

17歳で両親から離れて初めての冒険。それはロンドンに引っ越し、モデルをしながら生計を立て、違法レイヴシーンに足を運び、トラックにスピーカーと食料を積んで旅をした一人の子供の成長していく物語でした。Future FantasyはVincaのアーカイヴ(10代から20代前半の頃に保存していた約100枚の写真を日記と一緒に集めた小さなコレクション)を使用した作品です。
当時の日記をスクラップブックにして、チラシやステッカー、行ったパーティーのチケット、友達とのパスポートの写真、友人が作ってくれたクレイジーにコラージュされたバースデーカード。これらはすべてVincaの物語の大きな部分を占めています。
Vincaはこの本について、
“日記や写真プリント、手作りのバースデーカードなど、、今ではすべてがデジタル化されるものばかりです。すべてがデジタルで記録されていますが、残るものは何もありません。デジタル写真はすぐに忘れ去られ、どこかのスレッドの端っこに消えてしまう。そして、それが保存されているデバイスは交換され、捨てられてしまいます。10年後、20年後には面白いと思うようになる。フューチャーファンタジーとは、大人になった時、その素材を振り返って、意味のあるものにしていくことなのです。"と語っています。


【Vinca Petersen / Deuce and a Quarter】初版 発行 IDEA 2018年

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1999年Vinca Petersen(ヴィンカ・ピーターセン)が3人の女性とともにテキサス州を横断するロードトリップの物語。
撮影されてから出版までの18年間、どこにも公開されることのなかったこれらの写真は、2010年に亡くなったドキュメント・ファッションフォトの伝説的写真家・Corinne Day (コリーヌ・デイ)、コリーヌをはじめ多くの写真家のマネジメントを手がけてきたフォトグラファーエージェント・Susie Babchick(スージー・バブチク)、数々のハイブランドのモデルを務めるRosemary Ferguson(ローズマリー・ファーガソン)とともに過ごした時代の記録です。若き日の彼女達の気取らないリラックスした姿は、多幸感という言葉だけではけっして表せない、リラックスした穏やかな空気をふくみ流れていく夏の時間で、流行や形式にとらわれることのない永遠にも感じられる一瞬の輝きがあります。

タイトルの”Deuce and a Quarter”はこの旅で運転していた 1970年のクラシックカーBuick Electra 225のストリートネームです。

3作品をそれぞれ見ていくと、

【No System】では、当時のカルチャーの側面が垣間見え、

【Future Fantasy】では、若者の初めての冒険、そして成長を感じられ、

【 Deuce and a Quarter】では、旅のなかでの煌めきや友情を感じられます。

どの本もそれぞれに表現やアプローチは違いますが、共通してそこには彼女が旅を重要なテーマのひとつにしています。

また、本だけに限らず、彼女の活動の【FUTURE YOUTH PROJECT】や【A LIFE OF SUBVERSIVE JOY】などにも旅が重要なキーワードになっています。

ひとつの本をじっくり読むことも、もちろ好きでよくしているのですが、

こうして一人のアーティストの活動を追っていくのは、またそれとは違った楽しみや深読みがあります。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


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