今日のゼミでの学び|ルートの中身が複素数
こんにちは!Cyrilです。
どの天気予報を見て何度も確認したのですが、もう冬なのですね…。
今日は数学のゼミで初めて学んだことを記録しようと思います。
おそらく、この記事は数学に精通している方のみ楽しめる内容となるでしょう。
今回の学習課題
$${\omega = e^{ix}}$$とおいたとき、$${\omega^{\frac{1}{2}}}$$を定義する必要があるのは、なぜだろうか。
前提知識
まずは、前提知識を綴ります。
指数法則の一部
$${a \ge 0}$$について、
$$
\sqrt{a} = a^\frac{1}{2}
$$
と表す。
ド・モアブルの定理
$${\mathbb{R}}$$とは、実数全体の集合のことである。$${\alpha,\ \theta \in\mathbb{R}}$$について、
$$
\left(\cos\theta + i\sin\theta\right)^\alpha = \cos\alpha\theta + i\sin\alpha\theta
$$
と表すことができる。
オイラーの公式
$${\theta\in\mathbb{R}}$$として、
$$
e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta
$$
が成り立つ。これをオイラーの公式と呼ぶ。
本題
ここで、$${\mathbb{R}}$$上の関数$${\omega(x) := e^{ix},\ x\in\mathbb{R}}$$を考える。
$$
\omega\left(\frac{\pi}{2}\right) = e^{i\frac{\pi}{2}} = \cos\left(\frac{\pi}{2}\right) + i\sin\left(\frac{\pi}{2}\right) = i \\
\omega\left(\frac{5}{2}\pi\right) = e^{i\frac{5}{2}\pi} = \cos\frac{5}{2}\pi + i\sin\frac{5}{2}\pi = i
$$
である。ここで$${\sqrt{i}}$$を考える。
$$
\sqrt{i} = \sqrt{\cos\frac{\pi}{2} + i\sin\frac{\pi}{2}} = \left(\cos\frac{\pi}{2} + i\sin\frac{\pi}{2}\right)^\frac{1}{2} = \cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4} = \frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{\sqrt{2}}i
$$
同様にして
$$
\sqrt{i} = \sqrt{\cos\frac{5}{2}\pi + i\sin\frac{5}{2}\pi} = -\frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{1}{\sqrt{2}}i
$$
である。
ここで$${\sqrt{2}}$$について思い出してほしい。語呂合わせで覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか(ひとよひとよにひとみごろ・・・)。
$$
\sqrt{2} = 1.414\cdots
$$
となることが知られています。つまりルートの中身が決まると、その値はただ1つに決まらなければなりません。
しかし$${\sqrt{i}}$$はどうでしたか?値が$${\frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{\sqrt{2}}i}$$と$${-\frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{1}{\sqrt{2}}i}$$と、候補が二つも挙がってしまっていますよね。これではまずいのです。
そのため、$${\omega := e^{ix}}$$とした際は、$${\omega^\frac{1}{2}}$$の定義、つまりルートの中身が複素数となった場合の定義を明確にしなければならないのです。そうしないと、ルートの値の候補が複数になってしまいますので。
最後に
定義の重要性が非常に分かるゼミでした。先ほど伝えやすさを重視して「ルートの値」という言葉を使いましたが、この言葉は誤解を招く危険性を孕んでいると考えております。
「値(数値)」という言葉には「1や2などの比較可能な数値」という意味を暗に含んでいます。
例えば、「砂糖の重さ」「自分の身長・体重」「食べ物のエネルギー」などの「値」と聞くと、直ちに「グラム、キログラム」「カロリー」といった単位を思い浮かべ、
「アタシが一日あたりに摂取する砂糖の量は、だいたい10グラムよ」
「私の身長は170cmで、体重は・・・。」
「男性の一日当たりの目標摂取エネルギー(カロリー)は2200キロカロリー」
など、具体的な数字も思い浮かびますよね?これこそ「値」であってそれぞれ実数で表されることが多いでしょう。
しかし今回相手にした「複素数」と呼ばれる数は、大小の概念が無いのです。
しばしば複素数は、実数$${a,b}$$、虚数単位$${i}$$(二乗して$${-1}$$になる数)を用いて「$${a + bi}$$」と表現されます。
例えば「$${2 + 3i}$$」「$${\frac{1}{2} + \frac{2}{3}i}$$」は複素数です。しかしこの二つ複素数の大小を比較することはできません。
そのため複素数には「値」という言葉が、どうも似合わないように感じられるのです。
これはあくまで私個人の考えです。鵜呑みにしないでぜひ、あなたも考えてみてください!
数学、面白いですよ・・・?笑
それではまた。