盗塁数は26から増やさなければならないのか?
カープ史上最低の26盗塁で幕を閉じた2022シーズン。
このシーズンが終わってからというものの、各メディアでは盗塁数の改善が最大の課題として取り上げられていたように感じます。(地元のスポーツ番組などを全てチェックしている私の個人的感想です)
確かに、阪神の近本外野手の盗塁数(30)にチームとして負けてしまうのはあまりに寂しい結果です。今季からは盗塁数を増やしていくに越したことはないでしょう。
しかし、最大の課題とするほどに盗塁数の増加は必要なのでしょうか?
成功率が70%以上なければ意味のない作戦とも言われる盗塁。優勝するためには本当にこの盗塁が必要不可欠なのか調べてみたいと思います。
ちなみに、調べる前の段階の私の意見は【さほど重要ではない】です。
優勝したチームの盗塁数はリーグトップなのか?
多くのカープファンは、3連覇時代は走りまくって相手をかき乱し、得点に結びつけていたと記憶していることでしょう。実際私もその1人です。
では、優勝するチームは毎年そのような野球をしているのでしょうか?
こちらが2014年以降9年間のセリーグのチーム別盗塁数です。
9チーム中、2015ヤクルトと2019巨人を除く7チームが盗塁数はトップでした。やっぱり盗塁は必要なのでしょうか?
ただ、これは盗塁数。強いチームの盗塁数が多くなるのは自然な流れです。何故ならば、そもそも出塁する選手の数が多くなりやすいからです。選手は大体みんな打つしとりあえず失敗してもいいからいっぱい走っちゃおう、という考えになってもおかしくはありません。
盗塁がどれだけ得点に貢献しているのか?
というわけで、盗塁の数ではなく質を見てみたいと思います。
wSBという指標では、平均的な走者と比べて盗塁をすることでどれだけチームに貢献できているのかを推定することができます。このwSBをチーム別に見ていきたいと思います。
こちらがチーム別wSBになります。
2015ヤクルト、2016,2018広島、2021,2022ヤクルトと5チームがトップではありませんでした。2019巨人は盗塁数はトップではなかったものの、wSBはトップとなっています。
半分以上のチームが盗塁の質でトップではなかったようです。ヤクルトに関しては3年とも2位にはなっていますが、広島は2016,2018どちらもマイナスで、2018に関しては5位と他のチームと比べても盗塁をするだけ多く得点が減少していたようです。
一方で、巨人は優勝した年は全てトップとなっています。これにはチームを何度も優勝へ導いてきた原監督の手腕が影響しているのかもしれません。
まとめ
というわけで、
優勝するチームの多くは盗塁数が多いが、必ずしも質も高いわけではない
というのが結論になりそうです。
特にカープに関しては、2017年以外は基本的に盗塁の質が低くなっていました。機動力野球を伝統とするチームとしては悔しい数字です。
もちろん、機動力は盗塁だけではありません。
単打で1塁ランナーが3塁まで行く
2塁から単打で還ってくる
外野手からの返球の間に次の塁を陥れる
など機動力野球のバリエーションは多岐にわたります。盗塁は記録にも残るので目立ちやすいだけで、あくまで機動力野球のバリエーションの1つでしかありません。
盗塁王だけを狙うのではなく、【単打で3塁まで行った王】【2塁から単打で還ってきた王】【送球間に進塁した王】を目指して走塁に取り組んでみるのはどうでしょうか。
データ参照