チームスタッツで振り返る2023一軍カープ野手陣
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
我らがカープは多くの解説者の下位予想を覆し、優勝候補のベイスターズをかわして2位でシーズンを終えました。
そこで、CSが始まる前にDELTA社が公開している各種チームスタッツを確認し、今季のカープ一軍全体の傾向や弱点を探っていきたいと思います。
本noteは野手編となります。
Pitch Value
まずは、得点増減に関するスタッツです。
最もプラスが大きいのは2シームとなりました。この球種は特殊球以外の全てがマイナスとなっているドラゴンズを除くすべての球団がプラスとなっており、カープもそれに倣う形となりました。
一方で、マイナスが大きいのはシンカーとなりました。こちらはドラゴンズを含め全球団がマイナスとなっており、こちらも他球団に倣う形となりました。カープには特段変わった傾向はないと言えそうです。
Plate Discipline
続いては打撃内容に関するスタッツです。
二軍では12球団唯一の50%超えをマークしていたスイング率ですが、一軍ではリーグ4位の46.2%とそこまで積極的ではなかったようです。
その他のスタッツも多くがリーグ3,4位と突出した数字はありませんでしたが、唯一トップとなっていたのがF-Strike率です。この数字が50%を超えている他球団はドラゴンズにタイガースとHR数が100未満のチームとなっており、一発の危険性が低いために相手が初球からストライクを取りにきていることが推測されます。
Batted Ball
続いては打球に関するスタッツです。
GB/FBがドラゴンズに次いで2位となっており、ゴロの割合が大きくなっていることが分かります。HR/FBは6.1でベイスターズよりも高くなっているため、フライをさらに増やせばHRの数も増えてくるでしょう。
そして、この項目で最も気になるのがHard%の低さです、32.9%はドラゴンズよりも低いリーグ最下位となっており、強い打球が少なかったことが分かります。
実はこの32.9%という数字が昨季と同じなのですが、昨季はタイガースが31.4%、ドラゴンズが32%だったところをそれぞれ34.7%と33.3%に改善してきたため、カープはリーグで最も強い打球が少ないチームとなってしまいました。来季こそは強く鋭い打球を増やすことができるのでしょうか。
Advanced
最後に打撃結果に関するスタッツです。
BB%が6.7%でリーグ5位と四球が少なかったことが分かります。打率や長打率はタイガースよりも高いものの、OPSやwRC+がタイガースよりも低くなっているのはこの四球の少なさが関係しているのかもしれません。
タイガースは今季岡田監督が「四球の査定ポイントを上げてくれ」と球団に掛け合い、それを開幕前のミーティングで選手に伝えたことで四球が増えたと言われています。その結果三振も増えはしましたが、四球が増えたことで出塁率がリーグトップとなって優勝を果たしました。ただ、四球を増やしただけで優勝したのではなく、盗塁以外の走塁の貢献を表すUBRの値を昨季の10.7からさらに12.9へと伸ばしたことで得点力を向上させ、優勝を果たしたのです。
一方で、カープはBB%を昨季の6.1%から微増させましたが、UBRは11.2から急低下し、得点力は低下してしまいました。もちろん、それだけが原因ではありませんが、この走塁力の低下が1つの要因であることは間違いないでしょう。wSBやSpdなど盗塁に関するスタッツは昨季よりわずかに改善されてはいますが、伝統の機動力野球が復活したとはとても思えない数字となっています。
まとめ
以上、各種スタッツを確認していきましたが、チーム全体としてあまり明るい材料はなかったというのが正直なところです。
デビッドソンの加入や末包の台頭などがあってか純粋な長打力にはやや改善が見られましたが、得点力が低下しては改善された意味はありません。
今季は盗塁成功数のみを取り上げて「機動力野球が復活した」と言い切る記事などをよく見かけますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
果敢にチャレンジを続けて盗塁数を増やすほど走塁を重視しているであれば、なぜUBRは昨季から10以上低下したのでしょうか?リーグで最も少ない強い打球を増やすことに加え、本当の意味での機動力野球の復活が来季の最大の課題となるかもしれません。
データ参照