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林晃汰の好調の要因はなにか?過去2年のデータと比較して考察

開幕直後は中村貴が話題を独占していたカープ二軍ですが、5月16日現在で話題の中心にいるのは林晃汰です。
2020年に一軍デビューを果たしてプロ初安打を放つと、翌年には376打席で打率.266、10HRと一気にブレイクし、長年課題だったサードの穴は完全に埋まったかと思われました。
しかし、サードのレギュラー獲得が期待された昨年は、まさかの一軍出場0。二軍でも打率.217、2HRと結果を残すことができず、一軍では捕手登録の坂倉が主にサードを守るという予想外の展開になってしまいました。
屈辱のシーズンを過ごして迎えた2023年。二軍のほぼ全試合で4番を任されるなど順調なシーズンを送っていますが、なぜ林は復活を果たすことができたのでしょうか?過去2年のデータと比較して考察していきたいと思います。

基本成績

まずは今季の基本的なデータから見ていきましょう。

今季はここまで134打席で打率.300、5HRでOPSは.882と高い数字を残しています。純粋な長打力を表すISOという指標でも.217と過去2年よりも高い数字となるなど、全ての項目で過去2年を上回っています。
また、GB/FBが0.73と、フライの割合がゴロの割合を上回っているのも今季の林の特徴の1つとなっています。これまではいずれのシーズンも1.00以上となっていました。

基本成績を確認したところで、次からは過去2年と比較しながら、少し踏み込んで数字を見ていきましょう。

打球方向に変化が

まずは打球方向です。

※Pull%を引っ張りとするなど、分かりやすく日本語に置き換えています

最も変化があったのは流し方向の割合です。過去2年では最高でも22.2%と多くなかった流し方向への打球が、今季は32.3%と多くなっていることが分かります。また、いずれの方向も30%台となっており、今季は3方向へまんべんなく打ち分けていることも分かります。

打球の強さは変わったのか?

基本

次に打球の強さを確認していきましょう。

※Soft%を弱とするなど、分かりやすく日本語に置き換えています

こうしてみると、ブレイクを果たした2021年の一軍での数字が非常に優れていたことがよく分かります。弱が10%台、強が30%台後半となっており、理想的な数字と言えるでしょう。比べて今季は弱が最も高く、強も2番目に低いという結果になっています。成績を残せなかった昨季よりも強い打球の割合が少ないというのは、かなり意外な結果です。

以下、方向別でも確認していきたいと思います。

引っ張り

引っ張り方向に関しては、割合が最も多かった昨季が打球の強さも最も優れた数字となっています。昨季は強く引っ張ろうという意識が強かったのかもしれません。
今季は2021一軍と同じような数字となっており、ここだけを見れば今季も活躍してくれそうな数字となっています。

センター

センター方向で最も優れた数字を残しているのは2021一軍でしょう。弱い打球がとにかく少なかったことが分かります。
今季は強が最も高い数字となっており、強い打球が多く打てていることが分かります。ただ、弱も最も高い数字となっているため、打ち取られたような打球もまた多いことは注意しなければなりません。

流し

センター方向と同じく、流し方向でも2021一軍が最も優れた数字を残しています。
今季は強が30%と過去2年と比べるとそこまで高くなく、流しの割合は増えたものの、強い打球が多く打てているわけではないことが分かります。

ゴロ/フライ割合の変化が好調の要因

ここまでの数字を見ても、なぜ今季は好調なのかはイマイチ分かりません。そこでゴロ/フライ割合を見ていきたいと思います。

ゴロの割合がいずれも50%を超えていた過去2年と比べると一目瞭然。今季はゴロが少なく、フライが多くなっているのです。これが林が好成績を残している一番の要因と言えるでしょう。
昨季のセリーグのOPSは、ライナー/ゴロ/フライが1.601/.505/.914となっています。ライナーの割合も最も高くなることが望ましくはありますが、ゴロとフライではOPSに4割以上の差がつくため、ゴロの割合が10%以上減り、フライの割合が10%以上増えれば、当然OPSも上昇してきます。

球種別OPS

ようやくOPS上昇の要因が分かったところで、最後に球種別のOPSを確認していきましょう。

※今季10打席以上の結果がある球種のみ掲載

過去2年と比べると、今季は得意球種と苦手球種が極端に分かれているようです。OPS.750以上を得意球種と仮定すると、今季はストレート・スライダー・チェンジアップの3球種が得意球種となっており、これは過去最多となっています。
特に、スライダーのOPSが.962となっているのは良い傾向と言えるかもしれません。なぜかと言えば、シンプルにスライダーを投げる投手が多いからです。ここ何年も両リーグの投球割合はストレートとスライダーが2トップとなっているため、ストレートとスライダーを得意としていれば、好成績を残す可能性が高いと言えるのです。

まとめ

というわけで、フライ割合が増加したために成績も向上したという結論に至りました。打球方向や打球の強さから探りながら書き進めていたため、途中までは「よく分かりませんでした!」という有名人の彼女を調べる誰得なまとめサイトのような結論に至るのではないかとひやひやしていましたが、無事に要因を探り当てることができて一安心です。
選手のタイプにもよるとは思いますが、好結果を残すにはフライを増やすのが効果的なのかもしれません。フライが増え、自慢のパワーを活かしやすくなっている林の今後が引き続き注目されます。

データ参照


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