統合失調症 人格が変わってしまった娘をこの胸に取り戻すまで No.7 変化3

最初、娘が心を乱すのに理由はありませんでした。ただもう何でもが気に障るといった感じでした。

それが発症から3年目あたりから理由を持ってきたのです。


例えば文化祭で自分の担当をうまくこなせない、自信がないことに不安が募ってそれが引き金になる。

例えば学校で友達とうまく話せなかった。それを気に病んで悲しみが募って引き金になる。


こんなふうに娘は自分に自信がないし、それをとても気にする性格なのが大きな問題でした。

でも、ちゃんと理由がある。それをわめきながらも話してくれるようになりました。この頃には私達の声も娘の心に届くようになっていました。だから

「まあ いっか!気にしなーい!」

失敗した時、うまく出来なかった時はこの言葉を思い出すように。そう何度も何度も伝えました。

そして娘の頭に沁み込むように、誰かがジュースをこぼしたら家族皆で「まあ いっか!気にしなーい!」と笑うようにしました。

こうして何でも大したことじゃないと伝えることで彼女は少しずつ気に病まないようになっていきました。1年ほどかかりましたけど。


変化は他にもありました。あれだけ好きだった学校を休むようになったのです。

病気のせいで体力が落ちているせいもあったと思います。太って疲れやすくなったとか、薬の副作用があったのかもしれません。

でも、私は学校を休みたいと言う時、実は嬉しかったのです。

異常なまでに学校に執着していたのに、それが薄らいできてる。それは今後この学校を卒業しなければならないことを考えれば有難い変化でした。

「この先どうしよう」に明るい兆しが見えた気がしました。


こんなふうに少しずつだけど変化があり、最悪な時は過ぎました。

だからと言って完全に落ち着いた訳ではないので私達家族は相変わらず気を張り詰めていなければならなかったし、いつ喚きだしてもいいように家の窓はいつも閉まったままでした。

でも、家族にも笑顔が出てきました。


発症からずっと診てもらっていたH先生も転院を薦めてくるようになりました。もっと総合的にケアしてもらえるように大きな病院に行ったほうがいいというのが理由でした。

それで1件紹介状を書いてもらったのですが、そこのお医者さんは酷くて

「別にここで診ても変わりはないと思いますよ。今のところに通っていればいいんじゃないですか」

なんともやる気のないお返事しかもらえず、頭にきてそこはやめました。


丁度その頃娘に虫歯が出来てしまって、小さいころから通っている歯医者さんに行ったのですが、統合失調症になってしまったことを伝えると、それじゃ僕では難しいからと友人のお医者さんを紹介してもらいました。

その方は障碍者の人達が行く大きな病院の歯科に週1で勤務しているとのこと。とっても優しい先生で娘のような病気の人の扱いも慣れているからとのことでした。

紹介状を書いてもらい、先生が直接電話もして下さってその病院に通うことになりました。

その病院の歯科のすぐそばに「精神・神経科」というのがあったのです。自宅からも30分と近いし、広々した通路で待っている間も気分が良かったので、H先生に話してみたところ紹介状を書いてくれました。

ここの先生は若い男性の先生で、とっても優しくて穏やかな感じでした。娘も気に入ったようでした。

こうして3年通ったH先生からW先生へと転院が完了しました。


今日はここまでに

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