名も無き料理 または果てしない迷走。でもおいしかったんだな。これが(笑)。
遠い地平線が消えて
深々とした料理の沼に沈みゆく時
遥か達人たちのレシピを見上げながら
たゆみない営みをつづけていきます。
これを読むあなたを、迷宮へと誘うストーリー。
ご案内役のPATAことpapapastaです。なんて(笑)。
ラビリンスとか迷宮っていうとふんわりシフォン纏った妖精が謎めいた微笑みで導いていくようなイメージがあって、素敵ですが、迷走ってなってくると微妙にはた迷惑な感じになりますね、ってわたしです。名僧の瞑想は悟りを開きますが迷走したPATAは何を生むか、なんて。卵は生みません。念のため。
話せば長いことながら、って読むみなさんのこと考えると手短がいいですね、と言いながら長くなりそうな、ってどっちやねん。
もともと乙女でもないのに悩み多きわたし、ってか単なる優柔不断。ときどき迷路にはまって迷走してます。ん?時々でもないかも。
迷宮への入り口
ここんところちょっとご無沙汰だったから、ぼちぼち浅蜊コールかな〜と思ってたら予想ずっぽし。加えてのひとこと。”お肉もいいな”
で、なんとなく浅蜊さんと合い挽き肉を買ってきて。
さすがにわたくしでもボンゴレとラグーと二種のパスタの共演は、、、近いのはやってましたね(笑)。と、何にするか決めかねたままぼ〜っとお料理を始めてしまったのでございます、の今日のお話。
定番のボンゴレロッソの味変
え〜、まいど馬鹿馬鹿しいお話を、じゃなくて、まいどまいど同じじゃ作る方も飽きがきますので、たまにはちろっと味変。え〜、味が変、ではなくて味に変化、です。変な物を作るのは得意ですが、食えないものは絶対に作るまいと心に誓っているのでございます。え、おまえが喰えないって?そんな、、、当たってますが(笑)。
デュラムセモリナ100%、全卵2、卵黄1、岩塩1% 加水率53%で。少し硬めの生地。
水回しはいつもより丁寧に。ボールに粉が残ってないのわかりますかね。水を含んでいない粉が残ったり、水分率が違うところがあると、捏ねても微妙に切れやすかったり伸びがわるくなる、というのが生パスタ専門のシェフの教え。イタリアのマンマたちはもっと大胆にやってますが。
15分くらいやさしく力を込めてコネコネして、むにゅんとおしてもぷにょんっと戻ってくるくらいまで。ラップして30分くらい休ませて、またコネコネ、をあと2回繰り返して。ここまでしなくても十分ですが、じっくりソースを吸わせてもしっかりコシが残って、次の日温め直しても美味しいので、やってます。
あなたは丸くな〜る、丸くな〜る、なんて呪文を唱えながら。
もっちもちすべすべのお肌になって。粉フェチとしてはこの瞬間がたまらないんですよね〜、っていつもの変態全開。変態ってmetamorphosis、ギリシャ語の高次の、とか変化するとかいう意味のmetaと形を意味するmorphoが語源、って意味ちゃうやろ〜、これは虫さんとかが蛹から蝶になる方。態度が変、なのはstrangerとかpervertの方ですね。はははは。ちゃんと調べろってね。いえ、metamorphosisなんてかっこいいでないですか。
伸ばして畳んで、を3回繰り返してからいつもの3倍くらいの厚みに伸ばして、って言われてもいつもの厚みがわかんないですよね。持つ手がうっすらと透けるくらいです。いでよ、コシ!いでよ、コシ!と唱えながら、ってどんどん呪術っぽくなってますね(笑)。
思うところあって、今回はスパゲティーニにカットして。このカッター、ちゃんと丸い断面にしてくれる優れもので、ネットでもなかなか売ってなくて、探すの苦労したもの。。。へへへ、ちょっと変態自慢。
大蒜は包丁の腹でむぎゅぎゅぎゅって潰して。香りが出やすいように。ちょっと思うことがあって、今回は微塵切りでなく。
鷹の爪と一緒にオリーブオイルに入れて、弱火でくちゅくちゅ。オイルに香りが移ってほんのり狐色になってきたら、取り除いて油を切っておきます。
浅蜊は殻をこするようにして水洗いして、じゃらじゃらおいじめ申し上げて、絶対口なんかひらかんもんね〜、とお怒りになるくらい。貝柱が取れやすくなるお呪い、ってここでも(笑)。
水切りして先程のオイルに投入。白ワインどぶどぶっと加えて蓋して、しゅわわ〜って沸騰して口が開いてくるまで。
身だけ取り出して、オリーブオイルで軽くマリネ。
トマトピューレ加えて。浅蜊のお出汁にトマトの旨味が加わるくらいの濃さで。軽く煮詰めて馴染ませて、これで準備完了。
と、こちらは迷いもなく順調に進んだのでございます。
残ったバケットの行方
と、すきっぷ気分でお料理してたら、”冷蔵庫にバケットの残りあるよ”とのお達し。さて、この問題の答えはなんでしょう。
お腹空いてても、間違ってもこのバケット、むしゃむしゃしてはいけません。うちの場合、”ラスクにして食べたい”が正しいのです。もう、翻訳こんにゃくがほしいですぅ。
マーガリン、砂糖、シナモンパウダー、黒胡椒をねりねりしておいてから、お水をちょろっと入れて、ねりねり。バタークリームのような感じに。お水は砂糖がじゃりじゃりしないぎりぎりくらい。このくらいだと水が分離しないでバタークリームのような感じに。砂糖さんがお水だきかかえて油と混じってくれるんで。これを限界ぎりぎりの薄さに切ったバケットの片側にまんべんなく塗って、グリルで15分くらい。砂糖がカラメルになるくらい。
数日はカリカリが楽しめるんで、小腹がすいた時とかちょっと物足りない時なんかにいいです。って、わたしはあんまり食べてないんですが、なんで無くなるんでしょうね(笑)。
なもなき料理
ぼ〜っとしながら、っていつもですが、野菜も少しはいるかな〜とか思いながらじゃがいもゆでゆで。いつもの串刺しの刑にして皮付き丸のまんまをお水からくつくつ。
ここで予想外の事態勃発。もうMayDay! MayDay! の連打。そういえばなんでメーデーなん。めーでーたいのはわたしの頭で、出目鯛は金目鯛、はおいておいて、
メーデー(Mayday)とは、無線電話で遭難信号を発信する時に国際的に使われる緊急用符号語。フランス語の「ヴネ・メデ(venez m'aider)」、すなわち「助けに来て」に由来する。 wikipediaより引用
取り舵を切る
じゃが芋さんの一番おっきいの鬆が入ってて、周りが黒ずんでて、あちゃ〜、さすがにこれ食べられへんやん、となって。なんとなく、ひき肉入りのマッシュポテトグラタンでいいかな、と思ってたのに取り舵いっぱい、ぎゅぎゅっと方向転換。ニョッキかな〜的な感じでマッシュして00粉、パルミジャーノ加えて、軽くまとめて。
ひき肉はハンバーグかな〜、で、さっきのニンニク刻んだのと玉ねぎ炒めて
合い挽き肉、ペコリーノ、炒めた玉ねぎ、黒胡椒、シナモンちょろっと、ナツメグ、塩ひとつまみ入れて、捏ね捏ね。
ラップして冷蔵庫でお休みいただいて。んんん、すぐ丸くしたくなるのは、前世がアルマジロ?ダンゴムシ?セザンコウ???ハリネズミなんかも丸くなりますね、ってなんのことやら。
面舵を切る
と、ここで思い出したのが、モッツァレラのニョッキ包み。ふむふむ、これ包んでもいけるんじゃね?と思い立って、またまたの面舵いっぱいの方針転換。
生地をちょっと太めにころころ。少し大きめに切って。
手のひらで、ぺんぺん、ってたたいてから、むにょにょっと伸ばして、お肉乗せて。
お肉のニョッキ生地包み。じゃが芋リッチなのでちょっとモロモロしててやさし〜く包まないとひびひびになるのをなんとかかんとか。
また取り舵を切る
とここまで来て気づく、このサイズでこの生地の感じだと茹でたら崩壊しそうな予感。ほんと、もうちっと頭つかえ、ってね。どないしょ、とない頭ぐるぐるさせて、と、ニョッキ焼いているシェフがいたの思い出して、焼いてもいいんじゃね?とまたもやの方針転換取り舵一杯。フォークでちょっと、うねうねつけてオリーブオイルペタペタ塗って。すでになんだかわけわかめなかんじに。
軽く狐色くらいに焼いて、オーブンの予熱で暖かいまんまでスタンバイ。
こんだけじゃさすがにさびしかろう、で、冷蔵庫に眠ってたマッシュルーム、バターでソテー。
白ワインどぶっと入れて、シュワワワ〜っと煮詰めて。残ってた生クリームちょろっと、ゴロゴンゾラちょろっと、パルミジャーノすりすりしたの入れて、溶かしてソースに。
迷走の果てのフィナーレ
ボンゴレロッソ
トマトピュレだけのシンプルな味つけもいいです。浅蜊のお出汁にトマトのアクセントの感じ。これはスパゲティーニで正解な感じ。生地は00粉のモチっとした感じの方がよかったかも。
名前のつけようのないお料理
強引に名前付けるなら、お肉を包んだ焼きニョッキのマッシュルームのクリームソースゴルゴンゾラとパルミジャーノの風味、てな感じでしょうか。
見た目は焼きまんじゅうのソースがけ???なお見苦しいお姿で失礼いたしました!って感じになってしまって(泣)。
ユイじょりさん見習って、ソースは下にだけ敷いた方がよかったような。
”なんだかわかんないけど、とっても美味しい”とのお言葉。
へ、わけのわからない料理でございます。
焼くと、ニョッキ、サクッとした感じになって、お肉の美味しさきちんと包んでていい感じでした。意外な発見。ま、この材料ですからお味は間違いないですね。
とは言え、きちんとゴールイメージとプロセス作ってからでないと、こんな出たとこ勝負の紆余曲折、右往左往、彷徨徘徊、五里霧中って感じになってしまって。いえ、偉大な発見は偶然や間違いからされていることも多いんです、なんて。本人は結構楽しんでるんですが、食べさせられる方は堪りませんね。お料理は計画的に、ってね。ち〜〜〜〜ん。
お後がよろしいようで。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
明日からも素敵でありますように。
時間がある時にやるアイロンがけも好き。心のシワまで伸びるような。
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