6000年を超えて受け継がれる「金継ぎ」
こんにちは。
Made in Walesのモノを集めたセレクトショップ「Cymry(カムリ)」です。(現在、開店準備中)
私事ですが、最近まで金継ぎワークショップに通っていました。実は、かなりのクラッシャーで、特にお皿やコップなどの食器類はもちろん(?)のこと、まず割りそうもない土鍋にヒビを入れたこともあれば、自分でも最もドン引きしたのは、炊飯器を落としてコロコロ転がり壊したこと。流石に自分の所作の悪さに反省をし、最近はかなり丁寧な動作を意識しているので笑、クラッシュすることも少なくはなってきています。
しかしそんなこんなで、私に割られた数々の食器たち。
旦那さんが買ったちょっとだけいいものや、友人の結婚式の引き出物にいただいたものなど、捨てられないものたちが新聞紙に包まれキッチンの片隅で放置されていました。彼らからの悲しい視線?を感じるような感じないような…。申し訳なさは感じていて、金継ぎができるようになって彼らを直してあげよう!と一念発起し、私にとっては少し高いワークショップへ思い切って申し込んだのです。
最近は、2時間くらいでできる、樹脂を使用した金継ぎワークショップも多いのですが、私が参加したワークショップは本漆を使用した6月〜8月までの1回3時間×5回。長い行程ではありますが、私が直したいものが実際口にする食器が多いのと、子供もいることもあり、口に入ってもより安心な自然な漆を使った金継ぎがいいなと思ったからでした。
しかし、あまり金継ぎに対して知識もなく参加していた私。HOW TO 金継ぎ的なことは、こちらでは省略しますが、先生から色々教えていただいたり金継ぎの本を読んだりして超初心者として特に驚いたのは・・・
漆を使った金継ぎは、縄文時代から行われている修繕技法であること
漆は“生きていて”、湿度や気温が重要なので海外の気候の中では金継ぎをすることが難しいこと
重要で主役なのは黒や赤の漆であり、「金」とは付くけどただの飾りの存在に過ぎないこと
「金」だけでなく、「銀」「錫」で装飾することもできること
の4点です。“そんなこと知ってるよ”という方も多いかと思うのですが、私は、全っ然知りませんでした。
すごいですよね。もう何より、約6000年以上前の縄文遺跡から漆で修繕された食器類が出土しているらしく、縄文時代から「あ、お皿割れたから、漆で固めて直そうか!」という発想があったなんて。しかも、漆の成分であるウルシオールというものが殺菌作用があり、それも当時から人々がわかっていて、自然で体へ害のない漆が食器類の修繕に採用されていたという説もあるそうです。漆を使って直す技法を、次の世代へ、次の世代へと伝承し、2022年の現在も変わらず使っている。その事実だけでなんだか胸がいっぱいになりました。
また、私の先生は漆をドイツやポルトガルに持っていき、現地で金継ぎをしたことがあるそうなのですが、湿度が低過ぎたりして、漆が全然固まらずできなかったと経験談を教えてくれました。漆の木はアジア全体にあるそうなのですが、金継ぎをする上で一番ベストなコンディションが日本で揃っていた。それも昔の人々はわかっていたんでしょうか・・・。
そんな色々な情報をインプットした上で直した、私に割られた食器たち。
なんだか割る前よりも愛おしく私の目には写っています。
金継ぎセットを購入したので、今回のワークショップで直せなかった器たちは自分でコツコツと直してみる予定です。
6000年前に想いを馳せながら、より大切で愛おしい新たな器へ生まれ変わらせる気持ちで、ゆっくりと始めてみます。