『フェノミナ(インテグラルハード完全版) 』(1985) ダリオ・アルジェントが描く『不思議の国のアリス』
〈結末や核心に関する記述あり〉
例によってレヴューが統合されていますが、プライム・ヴィデオで視聴。
元々テクニカラーということもあるのか、レストアされていて画質が良いです。
音声はイタリア語。おそらくイタリア人俳優達は本人によるアフレコ、英米俳優は別人による吹き替え。
一見するとストーリーは大したことない、というか全体的に監督のダリオ・アルジェントのセルフ・オマージュみたいなシーンばかり。昔のアナログTV放送やVHSの画質で観賞したら、ふつうにB級映画という評価になってしまいそうですが、映像的には、さすが見るべき点が多い。玄人好みというか、『CSI』『バイオハザード』とか『シャープ・オブジェクツ』など、後の多くの映画やTVに影響を与えていそうです。『キャリー』は本作品の元ネタの一つか?
まあ、アルジェントの少女が主役シリーズは基本的に『不思議の国のアリス』と『白雪姫』です。夢に出てくる廊下は、アリスがウサギを追いかけるトンネルだし、主人公ジェニファーが閉じ込められる部屋とそのドア、電話機が落ちた穴、手袋なども『不思議の国のアリス』のオマージュ。電話機の下に何故かチェス・ボードが写っていますが、これは言うまでもなく『鏡の国のアリス』のオマージュであり、アルジェントからの視聴者へのシグナルでもあります。アルジェントは針金、毛糸、ケーブルといった紐状の物に異常な執着があるのですが、「電話線」×「鏡の国のアリスのオマージュ」という最強コラボ。
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