『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』シーズン2 (2020) 少女版『トレッドストーン』
一言でいうとTV版ボーンシリーズ『トレッドストーン』の少女版。しかし、こちらの方がクオリティーが高い(本作品もトレッドストーンと同じNBCUniversalグループ製作)。予算の違いもあるだろうが、なんといっても脚本の出来が段違いに良い。
主人公ハンナ以外の数人のキャラクターのストーリー・ラインが並行して進行していくという、アンサンブル・キャスト(群像劇)に近いドラマなのだが、上手くまとめている。シーズン1同様、アクションは大したことは無い、というかアクション・シーン自体が少ないのだが、そういう路線ではないのだ。
髪の色や棒術の訓練など映画版『ハンナ』のオマージュが多く見られ、映画版の監督であるジョー・ライトがコンサルタントとしてクレディットされている。脚本はシーズン1から引き続き、クリエーターでもあるデイヴィッド・ファー。演出はすべて入れ替わり、フランスの女性監督エヴァ・ウッソン、アイスランドの女性監督ウグラ・ハウクスドッティル、およびデイヴィッド・ファー。
私は『ハンナ』シーズン1は、フロイト派の解釈の『赤ずきん』だと考察をしたが、やはりシーズン2ではオオカミという言葉が出てくる。シーズン1のレヴュウでも書いたが、深層心理学的にハンナはマリッサの娘であるのだ(ハンナの養父エリックとマリッサがかつて恋愛関係にあったことが暗示されていた)。
ジョエル・キナマン回想シーンのみの出演で、残念なことに新収録シーンはないようだ。
シーズン1ではジョエル・キナマンが準主役であったが、シーズン2ではマリッサ役のミレイユ・イーノスが準主役と言っていいだろう。シーズン2のマリッサはターミネーター2的な役回りである。イーノスは背も低いし、けっして美人とは言えないのではあるが、良い女優だ。
ちなみに『トレッドストーン』は1シーズンかぎりで終了になるだろうとレヴュウでも書いたが、最近打ち切りが決定したそうである。