『ジェニイの肖像』  ファンタスティック・ラヴ・ストーリー映画の古典にして最高傑作

ずっと待ち望んでいた作品が、ついにプライム・ヴィデオに追加。画質はクッキリというほどではないが、ノイズが無いのでリマスターされていると思われる。これ以上クッキリさせると、公開当時の状態とは、むしろ異なってしまうのだろう。
終盤の嵐のシーンは緑、その後はセピア色になっている。これは現在残っている記録などから、初演時に一番近いと思われる状態を復元しているようだ。よって、TV放映で視聴した記憶とは異なる、という方もいるだろう。ラストは、これもオリジナル通りである。撮影のジョセフ・オーガストはこれが遺作。彼は心臓発作で早く亡くなったようだ。オーガストは戦争中海軍に所属し、ジョン・フォードの下で軍の宣伝映画の撮影をしていたが、本当はこういうラヴ・ストーリーやファンタジーが撮りたかったんだろうと思う。
ドビュッシーの音楽も、その使い方も、もちろん素晴らしいが(音楽監督はハリウッド黄金時代の名映画音楽家ディミトリ・ティオムキン)、 ジェニファー・ジョーンズが歌うジェニーズ・ソング(作曲はバーナード・ハーマン)の物悲しいメロディと不思議な歌詞も心に残る。
Where I come from
nobody knows
And where I am going
everything goes
The wind blows
the sea flows
Nobody knows
And where I am going
nobody knows
ジェニーを演じたジェニファー・ジョーンズや監督のディターレは、この作品が70年経てもなお、世界中の人々から愛され続けると考えていただろうか?きっと想像していただろう。観る者はジェニーは本当に存在したように信じ、またいつの日かどこかに現れてほしいと思わずにはいられない。偉大な映画には時代を超越した不変な何かがある。それにこうして、僕はジェニーにまた会えたのだから。2019年6月21日に日本でレビュー済み
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