『戦場のピアニスト』(2002) 今や映画芸術科学アカデミーから除名されたポランスキー
題材的に、つまらないと言えない雰囲気がありますが、ポーランド時代や初期のハリウッド時代のポランスキー作品を知る者からすれば、映画の出来として特筆するべき点はありません。完全にアカデミー賞狙いです。狙いは成功し、監督賞、脚色賞、主演男優賞の3部門を受賞しました。脚本はイギリス人、主演はアメリカ人なので、言語は基本的に英語。
1977年に13歳の少女に対する性的暴行事件でアメリカを脱出したポランスキー。少女に薬物を飲ませたとか、少女が拒絶したのに関係を強制したとかは否定していますが、性的関係があったこと自体は本人も裁判及び自伝でも認めています。ウッディ・アレン、タランティーノ、ハーヴェイ・ワインスタインらがポランスキーを擁護していましが、ワインスタイン効果で2018年になって、この件で映画芸術科学アカデミーから除名されたのは、なんとも皮肉です。まあ、過去にさかのぼって監督賞を取り消すことはしないようですが(アカデミーの間違いを認めることになるので)。
事件後、彼を受け入れたフランスでも、イギリスの女優シャーロット・ルイスが16歳の時にパリでポランスキーに性的暴行を受けたと告白しているし、2019年には、フランスの女優バレンタイン・モニエが10代の時にポランスキーに性的暴行を受けたと公表。ポランスキーに寛容だったフランスでも、もはや彼を擁護する人は少ないといいます。
1977年の事件は冤罪と主張しているポランスキーの新作は、ドレフュス事件(ユダヤ系ののフランス軍将校ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された事件で冤罪と言われている)が題材だといいます。