海外特派員 ヒッチコック要素満載のヒッチコック作品

続々追加中の著作権切れパブリック・ドメイン作品。画質は、なかなかよい。ヒッチコックのハリウッド二作目。
オープニングの、新聞社の社屋の窓の外から編集部内へのディゾルヴは、映画ファンの間では伝説となっている『サイコ』のオープニングの一連のショット《ビルの屋上のカメラのパン→ホテルへのズーム→ミニチュアのホテルの窓→スタジオ内のセットのホテルの窓→ホテル室内のベッドで横になっているジャネット・リー(カメラが窓から室内に入ったように見えるが、実際にはカメラは窓の外で、照明とパンで、そう見えるように錯覚させている》の元になっている。このサイコのオープニングは数多くの監督やカメラマンに影響を与え、『ホームカミング』(2018)でもオマージュされている。さらに、終盤の飛行機の窓からカメラが機内に入ったようなショットは、今観ても驚きである。
ウェストミンスター大聖堂の塔のシーンは『めまい』の元だろう。オランダのホテルのシーンは、間違いなくスタンリー・ドーネン監督の『シャレード』の元になっているだろう。
敵側がわざわざ替え玉を使う必要性が極めて低いのであるが、階段から転げ落ちるシーンは、後にドリー・ズームを使って撮影された『サイコ』の探偵が殺されるシーンの元になっているだろう。
本作品が公開された1940年には、米国はまだヨーロッパの戦争には直接は関わっておらず、参戦気運を煽るプロパガンダ作品であるので★1つにしてもいいところだが、取って付けたようなオープニングとエンディング以外は、プロパガンダ性が低いのと、お人好しのアメリカ人と狡猾なヨーロピアン的に描いているのがヒッチコックらしいので、★3つ。2019年4月17日に日本でレビュー済み

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