『あさがくるまえに』(2016) これは批評家ウケする作品
皮肉ではなく、良い意味で批評家ウケする作品。
監督はフランス人女性カテル・キレヴェレ。ヨーロッパの女性監督は短編で経験を積んだり、助監督を長く務めたうえで、本格的長編作品の監督をすることが多い。カテル・キレヴェレも短編を3本撮ったのち、本作品が長編3本目のようだが、奇をてらうようなところは少なく安定感がある。カテル・キレヴェレはétait un père(小津の『父ありき』)の影響を受けているとフランスのインタヴュウで語っているが、言われないと分からない、というか小津作品好きを自認する人間(つまり私のことだ)でも言われて初めて、会話における人物切り返しショットや、病院の廊下でのディープ・フォーカスなどに影響を感じられる程度。むしろイギリスの女性監督ジョアナ・ホッグの『家族の波紋』(2010)の影響を受けていて、間接的に小津の影響もあるというところではないだろうか。ジョアナ・ホッグは小津の影響を強く受けている映画監督である。
また、マルコ・ベロッキオの『眠れる美女』(2012)ほど難しくはなく、日本人にも理解しやすい作品ではある。
ポランスキーの妻で『フランティック』『ナインスゲート』などで知られるエマニュエル・セニエも出演
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