見出し画像

ここだけ30年前のヒットチャート(1994.09.13)


今から30年前のオリコンシングルチャート。父親がレンタルCD屋で借りてきたシングルをカセットテープにダビングして、それをラジカセ、カーステレオで繰り返し聴いていた当時9歳。
では今週もさっそく見ていきましょう。


1 VIRGIN BEAT  氷室京介
2 恋しさとせつなさと心強さと  篠原涼子 with t.komuro
3 SPY  槇原敬之
4 HEART  CHAGE&ASKA
5 Hello,my friend  松任谷由実
6 こんなにそばに居るのに  ZARD
7 月  桑田佳祐
8 Miss You  今井美樹
9 Boy Meets Girl  trf
10 Break Down  REV

氷室京介『Virgin Beat』が1位。2位に篠原涼子の『恋しさとせつなさと心強さと』がじりじり迫ってきました。
『Virgin Beat』。聴いてみましょう。

まず音がめちゃ良い。
自分はBOØWYより先にソロの曲を知って聴いてたので『KISS ME』とこの『VIRGIN BEAT』が氷室京介デビューでしたが、半音上げたり強引にキーを上げてきたりとメロディーの唸らせ方がホント独特。こういうのは後にGLAYが得意な展開にしていくのですが、先達はだいぶ前からモノにしてたわけです。
高所のクレーン上で歌い上げるMVもとても印象的。ドローンなんてない時代だったからヘリコプター飛ばしてめちゃくちゃ金かけて撮ったんでしょうね。


そして今週はアルバム・チャートも注目。
Mr.Children『Atomic Heart』が1位。後に300万枚超のモンスター・ヒット作となるアルバムから30年です。

そして、5位には小沢健二『LIFE』。ほぼ同じタイミングでリリースされてたんですね。

1 Atomic Heart  Mr.Children
2 A PLACE IN THE SUN  今井美樹
3 Impressions  竹内まりや
4 Yin&Yang  CHAGE&ASKA
5 LIFE  小沢健二
6 BILLIONARE  trf
7 Cruel  黒夢
8 PRESENTS  PRINCESS PRINCESS
9 夏の終わりにⅡ~Lookin' for eighth color of the rainbow~  T-BOLAN
10 THE GOLDEN RING  佐野元春 with HEART LAND


『CROSS ROAD』までのラブソング、『innocent world』以降の脱ラブソングが入り混じった初期の金字塔ですね。複雑化していく社会システムの中で、感情のある人間としてどのように生き抜いていくか、90年代のミスチルの多くのアルバムが根底にこうした問題意識があり、桜井和寿は非常に自覚的だったと言えます。
『クラスメイト』や『over』といったラブソングにおいても他者の存在を写し鏡に自分の生(性)に対する客観性を浮き彫りにしています。リリシストとしての桜井和寿がここから爆発的に日本を変えていくわけですね。


歌詞、という側面で言えばこの小沢健二も相当に隠喩、暗喩、言葉遊びを乱発して聞き手を虜にしてきますね。わずか9曲収録ですが、彼の一般的には大代表曲がふんだんに披露されているこちらも90年代の金字塔アルバム。
ここから日本が災害や凶悪事件、不景気にまみえる中で、「自分探し」という答えのない旅をさまざまな文脈で拡大拡散していくわけですが、『LIFE』を聴いているとそうした時代を先んじて予感している歌詞やそんな考え方に違和を覚える言葉を見ることができますね。とても牧歌的でポップな作品なんですけど、やっぱすごいですオザケン。


気になる曲があったらぜひ聴いてみてください。では。