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ここだけ30年前のヒットチャート(1994.09.06)

今から30年前のオリコンシングルチャート。父親がレンタルCD屋で借りてきたシングルをカセットテープにダビングして、それをラジカセ、カーステレオで繰り返し聴いていた当時9歳。
では今週もさっそく見ていきましょう。

1 SPY  槇原敬之
2 恋しさとせつなさと心強さと  篠原涼子 with t.komuro
3 Hello,my friend  松任谷由実
4 月  桑田佳祐
5 HEART  CHAGE&ASKA
6 こんなにそばに居るのに  ZARD
7 innocent world  Mr.Children
8 reduce  久宝留理子
9 DRASTIC MERMAID  access
10 Miss You  今井美樹

9月になり、夏と秋が混同するランキングですね。こうして夏が終わり、秋がやって来るわけです。さて、今週は槇原敬之『SPY』が初登場1位。桑田佳祐『月』が4位。それぞれ聴いてみましょう。


マッキーの代表曲のひとつと言っても過言ではないですね。bpmも彼の作品からすると速く、ロック・テイストのサウンド。スネアドラムの乾いた音が歌詞世界とシンクロしていてとても特徴的。

その歌詞は物語的で、恋人の浮気を疑って後を付けてみたら案の定、別の男と会っている現場を目撃してしまったというもの。まず、冒頭に《おあずけになったデートにがっかりしていたけど》《偶然君を見かけた なんて運命的な二人》というめちゃくちゃ浮つく主人公を見せつけられてからの落差。読ませますねマッキー。

MVも好き放題悠々自適に遊んでいた主人公が最後は女性に刺されるというショッキングな内容。なぜかドラマ『振り返れば奴がいる』で織田裕二が西村雅彦に刺されたシーンを思い出しちゃいましたね。


そして、読ませるといえば桑田佳祐『月』。アルバム・リリースが迫っていたのでセールスとしてはそんなに動きはなかったシングルになりました。

桑田佳祐は、型をはみ出したエロ、常識が歌詞に滲んで来ることが多々あるが、この『月』に関してはとても真摯に、ふざけた比喩やアイロニーもない。

《柔らかな胸に抱かれてみたい》
《君と寝ました》
といった一見性的な表現に思われる部分も、前後の喪失感を思わせる言葉を繋げてみると、おそらく肉親を失った悲しみを歌っていると考えられますね。母親でしょうか。

最後、今宵の月が《揺れて見えます》と、涙で眼前がぼやけてしまうシーンで幕を閉じるこの名曲。ぜひ。