【短歌】雄大な平成新山空に立ちふもとに残る溶岩の痕
雄大な平成新山空に立ち、ふもとに残る溶岩の痕
十三年ほど前の年末に、雲仙を訪れた。頂上へ向かう道路沿いには雪が残っていた。南国とは言えないけれど、長崎という地であるにもかかわらず、十二月に雪があることを不思議に思った。
頂上へ向かう途中の展望台では、冬の冷たい風が吹きぬけて、麓の海岸沿いとは比べものにならないくらい寒かった。頂上に車で行くことはできないが、この展望台から素晴らしい景色を見ることができる。少々天気が悪くても、天草の島々が見える。
雲仙の山への道にのこる雪、冷たい風にふかれる景色
雲仙岳がある島原半島には多くの観光施設がある。雲仙岳中腹にある地獄めぐり、もちろん温泉も。絵に描いたような城である島原城。キリシタン弾圧の象徴であり、今は世界遺産の一角である原城趾。西側には小浜温泉もある。
雲仙岳に含まれる山々の中に、かつて名を馳せた雲仙普賢岳がある。普賢岳は1991年に大規模な噴火をした。著名なテレビレポーターが、噴火の火砕流に巻き込まれて亡くなったことも大きなニュースになっていた。
私はその5年後ぐらいに、火砕流で被害が甚大だった地域に行った。すっかり固まった溶岩台地の上に足を踏み入れると、溶岩大地にぽっかり空いた穴の中に見えたのは、民家の屋根だった。それも二階建てと思われる家だった。起こった自然災害の凄まじさに心が凍りついた気がした。
その十年以上後にその場所と思しき地域に行ったが、自分が立った溶岩台地がどの辺にあったのかもわからなかった。
そんな災害の記憶を鮮明に残しているのは、平成新山かも知れない。
推敲不採用首
雲仙の山への道の片隅にわずかに残る雪のおもむき
雄大な平成新山空高く、麓に残る溶岩の痕
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