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ペダリング中の筋活動はどれくらい安定しているのか?ーートライアスリートを対象とした研究結果からーー
サイクリング中、私たちの下肢の筋肉はどのように働いているのでしょうか?そして、そのパターンは毎回同じように再現されるのでしょうか?
今回紹介するのは、トライアスリートを対象に ペダリング中の筋活動パターンの再現性 を検証した研究です。この研究では、トレーニング前後で筋の活動がどれくらい安定しているかをチェックしました。
実験の概要
被験者は 11名のトライアスリート。彼らには 150Wの負荷で5分間のペダリング を、53分のトレーニングセッションの前後 に実施してもらいました。
その間、10種類の下肢筋(例えば、大殿筋、大腿直筋、腓腹筋など)の筋活動をEMG(筋電図)を使って測定しました。
研究者たちは、筋の「活動レベル(RMS)」と「活性化タイミング(オンセット・オフセット)」に注目し、どれくらい変化するのかを解析しました。
ペダリング中に働く筋肉の役割
ペダリングでは、さまざまな筋肉が協調して動きます。それぞれの役割を簡単に説明します。
1. 大殿筋(Gluteus Maximus)
お尻にある大きな筋肉で、ペダルを踏み込むときのパワーを生み出します。特に、加速時や坂道を登るときに活躍します。
2. 大腿四頭筋(Quadriceps: 内側広筋・外側広筋・大腿直筋など)
太ももの前面にある筋肉群で、膝を伸ばす働きをします。ペダルを押し下げる動作の中心を担います。
3. ハムストリングス(Biceps Femoris, Semimembranosus)
太ももの裏側にある筋肉で、膝を曲げる役割があります。ペダルを引き上げるときに使われます。
4. 腓腹筋・ヒラメ筋(Gastrocnemius, Soleus)
ふくらはぎの筋肉で、足首を伸ばす(つま先を押し下げる)動きをサポートします。ペダリングの最後の押し込みやスムーズな回転に貢献します。
5. 前脛骨筋(Tibialis Anterior)
すねの前側にある筋肉で、足首を引き上げる動きを助けます。ペダルを引き上げるときや、スムーズなペダリングのために重要です。
研究結果は?
• 筋活動レベル(RMS)
• ほぼすべての筋で テストと再テストの間に有意な変化なし
• ただし、大殿筋(GMax)と大腿直筋(RF)はやや変動あり
• 活性化タイミング(オンセット・オフセット)
• 大腿直筋(VM)、ヒラメ筋(SOL)、前脛骨筋(TA)の3つの筋で有意な違いが発生
• しかし、全体としては大きなズレはなく、筋活動パターンは安定していた
さらに、クロスコリレーション解析(波形の類似性を数値化する方法)では、すべての筋で 「ほぼ同じパターンを維持している」 ことが示されました。
結論:ペダリング中の筋活動は安定している!
この研究が示したのは、ペダリング中の筋活動パターンは、たとえトレーニングを挟んでもほぼ変わらない ということ。つまり、私たちの体は 一定の「筋活動戦略」 を持っており、それが維持されるということです。
ただし、大殿筋や大腿直筋など、一部の筋は変動が大きい ことも分かりました。これは、これらの筋が状況に応じて補助的に働いたり、他の筋と役割を分担しているからかもしれません。
サイクリストへのヒント
この研究は、トレーニングやパフォーマンス向上の観点からも興味深いです。例えば…
✅ 筋活動パターンが安定しているなら、フォーム改善やペダリング効率のチェックにも応用できる!
✅ 「安定しにくい筋(大殿筋など)」を意識的に鍛えることで、より効率の良いペダリングができるかも?
✅ 個人ごとに筋の使い方が違うので、自分のペダリングのクセを知ることが大事!
トレーニングに取り入れることで、よりスムーズで効率的なペダリングができるようになるかもしれません。
今後の研究では、負荷が高い状況(レースやヒルクライムなど)でも同じパターンが維持されるのか? など、さらに興味深いテーマが期待されます。
まとめ
✅ ペダリング中の筋活動パターンは、基本的に安定している!
✅ ただし、大殿筋や大腿直筋などは変動がやや大きい!
✅ 自分の筋活動パターンを知ることで、より効率的なペダリングが可能に!
これからのトレーニングやフォーム改善の参考にしてみてください!
引用元
Intra-session repeatability of lower limb muscles activation
pattern during pedaling
Sylvain Dorela, Antoine Couturiera, Franc ¸ois Hug a,b,*