BMW R1250GS AdventureとR1250GSのあまり知られていないけど知っておくべき違いについて
ボクがオートバイでダート走行する時に使ってるのはBMW R1200GS。いわゆるスタンダードGSだ。
これ一台でロングライド、お買い物、ダート走行、コマ図ラリー、何でもこなせる万能マシン。何の不満もない。
でも、今回、R1250GS Adventureへの乗り換えを決めた。その理由を書き留めておこうと思う。
さて、先ずスタンダードGSとGS Adventureの違いについての解説を、雑誌やYouTube動画、web雑誌などでよく見かける。その中でよく聞く
スタンダードGSに比べてGS Adventureは重い
と言う説は正しいのか、について。
BMW MOTORRADのYouTube動画ですらこう紹介されているし、実際に、先日開催された首都圏ディーラー主催のGS FUNRIDE ASAMAで行われたスキルチャレンジでも、車体を押し歩く場面でMCが「アドベンチャーの重さがー!」と叫んでおられた。
一説にはその差は30kg前後とも。
でも、ボクはとっても疑問に思う。だって、実際に触れてみたりすれば分かるけど、全くと言って良いほど重量差を感じないから。
そもそも、GS Adventureって乗り出しで軽く300万を超えるオートバイ。決して安く無い。タンクを粘土や伊万里焼で作ってる訳じゃあるまいし、「たかだか」タンク容量を10L程度増やしたところで30kgも重くなるのかな?
そこで、BMW MOTORRADのホームページから国交省届出の数値を確認してみる。
R1250GS Adventure 278kg
R1250GS 256kg
その差、22kg。
余談だけど、先代1200GS Adventureはクランクを敢えて重たく作り、クルージング感が増すようにしていたらしいけれど、1250GS AdventureはスタンダードGSと共通らしい。30kg重い説の中にはこのかつてのクランク重量差分が含まれるんだろうと推測。
さて、22kgの内訳を考える。まず、燃料100%時の重量差であるので、ガソリン10L分、そもそも約10kgは燃料の重さだ。それを差し引くと、その差12kg。
ここまで書けばお分かりだと思うんだけど、スタンダードGSには標準装備されていない、エンジンガード、タンクガード、パニアステー類の重さ分が重量増の正体だと思う。でも、スタンダードGSに乗ってる人って大抵ガード類揃えちゃいますよね。ダート走る人なら尚更。
なので、「GS adventureはスタンダードGSに比べて重たい!」と言う情報は、間違ってはいないが正しく無い。正確には、「GS adventure同様にガード類を装備したスタンダードGSと比較すればほぼ重量差は無い」だと思う。
GS Adventure特有のネガティブなイメージが消えたところで、誰も触れていない違い、コレこそがGS AdventureがスタンダードGSとは決定的に違う部分、とボクが思うポイントに付いて取り上げたい。
それは、「キャスター角の違い」だ。
ここで、もう一度BMW MOTORRADのホームページから数値を確認してみる。
R1250GS Adventure 65.1°
R1250GS 64.3°
その差0.8°。フロントフォークが0.8°も寝ているのだ。それが何処に影響するかと言えば、わかりやすいのはホイールベースだ。
R1250GS Adventure 1525mm
R1250GS 1510mm
GS Adventureの方が15mmも長い。当然、直進安定性や乗り心地が大きく変わってくる。その中でもボクがすごく感じるのは、「ダート走行時のフロントサスペンションの動きの良さ」だ。
サスペンションの動く方向は斜め上「後方」が理想的だ。それは、走行時は衝撃が前方から来るためで、サスペンションは上ではなく斜め上後方にストロークした方が柔らかくいなすことができる。
実際、GS AdventureとスタンダードGSを乗り比べると、衝撃の受け方が全く違う。その違いに驚くほど、だ。
では、何故この違いに誰も触れないのか。それは多分、ダート路面で乗り比べる機会が無いから。試乗レビューでダートを走ることは少ないし、まして乗り比べるなんてまず無いと思う。
ボクは幸いダート路面でじっくり乗り比べる機会に恵まれて、この違いに驚き、買い替えを決めた。走行を終えてこの違い、フィーリングについて、それは何処から来るのかをジオメトリーで調べ、実際お世話になってるMOTORRADに足を何度も運び、資料を何度も見比べ、実車も見比べた。もちろん走行フィーリングって主観的なものなので、全く同じ感覚を誰もが得られるとは言えないのだけど。
まもなくR1250GSシリーズはR1300GSにモデルチェンジすると言うこのタイミングではあるけど、R1250GS Adventure、R1250GS の購入を検討してる方には知っておいてほしいな、と思い、NOTEに記録することにしました。
ご検討の一助になれば幸いです。