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救急救命 の備忘録

先日、心臓マッサージを屋外で実施する事を経験しました。(講習ではありません)
居合わせたみんなのお陰で大切な友人の一命をとりとめる事が出来ました。
この貴重な経験で感じた事を書き残しておきたいと思います。

過去に4回ほど救命救急講習を受講してきました。
初回は飯能消防署での普通救命講習。ここで基礎の基に触れてから、万が一の緊急を要する場面に立った際に動けるようになりたいと思いました。
その後野外での活動中の、とりわけサイクリング向けの内容のものを見つけると積極的に参加してきました。

・消防署での普通救命講習①
・WFAの野外活動時の救急救命講習のベーシックコース
・スマートコーチングのサイクル セイフティ サミット
・奥武蔵マウンテンバイク友の会の総会時に救急隊員によるマウンテンバイカー向け普通救命の特別講習

とはいえ最後に受けてから5年以上経過していました。

そしてその機会は突然訪れました。
当たり前ですが心の準備をする余裕はナシに。
それはMTBに乗ってトレイルに向かう舗装路をおしゃべりしながらの低速走行中でした。
後ろから見ていた方から聞いたところ、フラフラし始めて歩道と車道の分離帯に接触し、転倒したとの事でした。
走行中に既に意識を失っていたようです。

先頭にいた私に知らせが届き、引き返して現場に着くと仲間の一人が舗装路の真ん中に横たわっていました。
呼吸をしていないので、とても静かに。指一本たりとも動きません。
あたりは車の往来があり騒々しいのですが、倒れた彼だけがあまりに落ち着いた状態なので「触れてはいけないんじゃないか?」と思ったのを憶えています。

只事ではない事はわかるのですが、何をすべきか分からず一瞬途方にくれました。

私より先に手当てに駆けつけていた仲間によると「息をしていない!?」との事。
口元に耳を当てて呼吸しているか確認。
無呼吸である事を確認。

先にそばにいた仲間も救命救急講習を受けており、二人で顔を見合わせて「これって心臓マッサージをする場面だよね??」「他にするべき選択肢はないよね??」みたいなやりとりをした気がします。
もう頭の中が真っ白になってしまう寸前です。

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頸椎の確保:サイクル セイフティ サミットにて


先にいた仲間が頸椎にダメージを与えぬよう頭が動かないように確保、そして私が恐る恐る心臓マッサージを開始。
看護師をしている妹の経験談で、「肋骨が折ってしまったこともあった」と聞いていたので、しっかりせねば。と思いなおしました。
肋骨に守られている心臓に対して圧力をかけて血液を送り出すのが目的なのですから、それなりの力で押さねばなりませんよね。
疲労を感じる事が無かったので交代はせずにひたすら心臓マッサージを続けました。
何分経過したか分かりませんでしたが、かなりの時間続けたように思うのに、一向に呼吸をしません。

本当にこれで良いのか?
何か間違っていないか?
もっと良い方法があるんじゃないか?
人工呼吸もすべき!?とも頭をよぎりましたが、素人では失敗しやすい人工呼吸を織り混ぜるよりも心臓マッサージのみを続ける方が堅実だと習った気がしました。(より良い方法はどうだったのか専門家に聞いてみようと思います)

心臓マッサージを続けても一向に息を吹き返さないので不安や迷いがよぎりましたが、ひたすら心臓マッサージに専念しました。

圧迫の箇所は適切か?
リズムは速すぎないか?それとも遅いんじゃないか?
押す力が弱いんじゃないか?

幸い多くの仲間がそばにいてくれたので、その間にそれぞれ手分けして、119番への緊急連絡、AED探し、現場の安全確保のため自動車の交通整理、といった事を行ってくれました。
そしてすぐ目の前で首周りの確保をしている仲間と相談できた事にとても勇気づけられました。
今ここに自分一人ではなく、多くの仲間がいてくれたことが本当に頼もしかったです。

ようやく呼吸が戻りました。
心臓マッサージ終了!
安心して泣きそうになりました。

だが、泣く暇なく数秒後にはまた呼吸停止。
心臓マッサージ再開。
これを何回も繰り返すことになりました。
恐らく4〜5回は繰り返したかと思います。

しばらくすると様々な疑問が頭をよぎりました。
本当に心臓マッサージをすべき状況なのか?
呼吸を始めたら心臓マッサージの手を止めましたが、すると程なくして呼吸が止まる。ということを繰り返したので「もしや呼吸をしてても心臓マッサージの手を止めてはイカンのでは無いか?」などなど。(さすがに呼吸が回復している時に心臓マッサージをすると苦しそうだったのでヤメました)
様々な疑問で混乱してきましたが、どこかの講習で「救急隊員の到着まで心臓マッサージの手を休めてはいけない」という言葉が耳に残っていたので神に祈る想いで続けました。

ようやく微かに救急車のサイレンが聞こえ、程なくして到着。
一目散に駆けつけてくれた筈なのに私にはとてもとても長い時間に感じました。

どうにか無事に救急隊員の方に引き継ぐ事が出来ました。
すぐさま顔に酸素吸入器を当て、それと同時進行で別の隊員の方が服を脱がせAEDを装着、解析、電気ショック発射。
キビキビと行動をとる隊員の皆さんの連携プレーを見てひとまずの安心感を感じました。
涙が流れてきました。

救急車に乗せ、私も同乗し出発。
救急車の中でも2回ほどAEDが使用されて気を抜けない状況でしたが、病院到着後1時間ほどした頃には意識が正常に戻ったと報告を受けました。

今回は一緒に居合わせたメンバーの中に救命救急講習を受けていた人が複数いた事が心強かったです。
状況を把握して、すべき事を考え行動する。といった一連の流れを常に相談できた事が決断を早めることに繋がったと実感しています。
もしかすると、相談する相手がいなかったら何をすべきか悩み、迷い、疑問に縛られて動けなくなっていたかもしれません。
また、119番への通報やAEDを探す事、現場の安全を確保すべく交通整理を行うなど、同時進行で必要不可欠な事柄を私が指示を出すまでもなく別の仲間達が素早く判断して行動してくれていました。

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奥武蔵マウンテンバイク友の会の総会にて

もし周りに沢山の人がいるのに誰にも相談できず、一人で判断しなくてはいけなかったと想像すると迅速な行動を取れなかったのではないかと思います。

後日、救急隊員の方から連絡をいただき、救急車到着までの間の我々の行動が命をとりとめる事に繋がったと伺いました。
ご本人からも今回の事での後遺症は無く、居合わせたみんなへの感謝の言葉をもらいました。

より多くの方が救急救命講習を受講している事で命が救われる可能性が高まる事を実感しました。
これからはクラブのイベントの一つとして2〜3年おきに救命救急講習を受講しようと思います。
cycleclub3UP.では2022年2月に開催予定です。

※ この記事をお読みいただいた他のクラブや遠方のみなさんへ
消防署による救命救急講習は一定の人数が集まればグループごとに開催していただくことが出来るようです。お近くの消防署にご相談してはいかがでしょうか!?


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