サイクルロードレース 入門のススメ #28
サイクルロードレースというスポーツがあります。
あんまり日本では流行っていないスポーツです。プロ人口も少なくサッカーや野球のような人気・人口共に全然無いマイナースポーツです。
サイクルロードレースとは
サイクルロードレースというのは単純にいうと「自転車のレース」です。
代表的なレースはツール・ド・フランスです。言葉は聞いたことがあるのでは?
使う機材
自転車といえば普通はママチャリを思い浮かべるかと思います。ドン・キホーテとかであれば10000円とか、いいやつでも5万ぐらいかければ日常利用には便利な自転車が手に入りますが、そういう自転車ではありません。
パーツや構造などがスポーティな自転車(=ロードバイク)になります。
ハンドルがぐるっとしてる(ドロップハンドル)
サドルが高い(足長い用?)
タイヤが細い
泥除け、カゴ、バッグ、スタンド無し
軽い
ギアの段数がやたら多い
というのが主な特徴です。走ることに特化しています。
弱虫ペダルブームが来たり、健康(ある程度お金を自由に使えるようになったおっさんたち)のためだったり。
プロユースとなると金額は100万円〜の物になります。
6.8kg 以上という重量の規定があります(めっちゃ軽いやつとか作っちゃ駄目よというルール)。
機材&身体力が鍵になるスポーツです。普通に事故ってコケて骨折とか死亡するとかもあります。危険なスポーツです。
またプロレベルだととんでもないカロリー消費をするため、唯一食べながら行うスポーツです。
レースのルール
すごく単純に言うとゴール地点が決まっていて1番最初にゴールした人の勝ち。マラソンとかと一緒です。
走る距離はレース形式に寄りますが約200kmぐらいの普通の道路を自転車で走りぬけます。
1位で入ればいいと書いたんですが、それがマラソンのように単に一番体力あれば勝てるみたいにはなっていなくて、色々な要素で勝負が決まります。そこが少し複雑だから逆転があったり博打勝負があったりして面白いのです。
速度と空気抵抗
プロチームが20ぐらい参加してて各チームに8名ぐらいの選手が入ってる総勢160名ぐらいが走ります(数は大体の数字)。
各チームにはエースと呼ばれる、最も実力のある選手とそれをサポートするアシストたちで構成されてます。
大体ロードレースは平地であれば40km〜50kmぐらいで走ります。くっそ早いです。自転車で50kmですから(プロだからそんなもんやろと言われたらそうかもですが)。
で、普通にその速度で走ると空気抵抗というのを全身にうけることになります。すっげぇ疲れます。進まないし。特に向かい風とかだと全然前に進めず疲れます。
F1とかで"スリップストリーム"というのがありますが、F1カーは疲れないんですが自転車はスタミナが減ります。
で、この空気抵抗を受け続けた人と、その後ろでスリップストリーム状態の人は楽ができます。先頭は、ただただツライ&疲れて勝てなくなります。
アシストとエース
どうするかというと、その空気抵抗を受ける役目が必要になります。だのでアシストたちが必要となります。エースは信頼するチームメイトたちにアシストをしてもらいます。
どこか道中かゴールの直前かわかりませんが、勝負所でエースを万全の体力で発射するためにアシストたちがいます(アシストの役目はそれ以外にもありますが割愛します)。
レースの流れ、展開
逃げ集団と呼ばれる先頭を走る数名(約10名ぐらい)と、それを追いかけるメイン集団(残り150名ぐらい)とに別れます。
○○○ ・・・ ○○○○○○○○○
↑逃げ・・・↑メイン
先頭を行く逃げ集団に入った選手たちはほぼ勝てません。
なぜ勝てないのか?
先程書いたとおり先頭を行くということはそれだけ空気抵抗と戦って体力を消耗することになります。
逃げ集団はいろんなチームの10名で構成されます。疲れるので誰もがその逃げ集団には居るものの先頭には立ちたくないのです。
だから、先頭を全員で順番に交代交代しながら走っていくことになります。
10名全員がある程度均等に疲れるように走ります。平等でしょ。
さてメイン集団は150名ほど残っていますね。先頭交代をしながら走るといっても単純150名もいるのでそいつらが順番に変われば10人よりは疲れませんね。
ということでメイン集団は体力を温存して追いかけれるわけです。同じペースで追いかけたとしても10名の逃げ集団よりは疲れてないので勝負に出れるわけ。
逃げ集団はメイン集団によって泳がされてるわけです。メイン集団は最終的に追いつく前提で逃げを容認します。
となると、逃げ集団に入らない方がいいじゃんって思いましたね?
逃げができないと全員が常に勝負しないといけなくなります。距離200kmぐらいを40km〜50kmで走るとなると、4〜5時間かかるわけです。
無理じゃん。誰かがペースを刻む役目として、そういうアシスト役として逃げてもらったほうがいいわけです。
他にもメイン集団で落車などのトラブルで想定のタイム差よりも開いてしまってもう追いつけない!という展開になることもあります。レースに関われないぐらい遅れてしまったら逃げ集団内での勝負になるのでそのための保険という意味でも逃げにアシストを送り出すというのは意味があるわけです。
まとめると逃げ集団に乗る選手は自チームのエースのために敢えて犠牲になってるわけです。
レースの何が面白いのか
定石みたいなのはあるものの、先に行ってるやつが勝つ率は低く、極論誰が勝つか全くわからないこと。実力が足りてない選手でも、展開や思惑によっては勝利することがあるのです。
あと死にものぐるいでもがいてる選手たちの表情などを見るとただただ頑張れ!と応援してしまいます。
そういう流れやアツさが心を鷲掴みにするのです。
面白い代表的なレース
レースは様々なルールや日程、コースで行われるのですが、代表的なものとして、
クラシックレース
グランツール
があります(他にもあるけどあくまで代表的なものとして)。
クラシックレース
基本的には1day、その日だけのステージ。競馬のG1レースで春のクラシックとかいうけど同じイメージで大丈夫です。
長いやつだと300km弱。上り下りはあるものの高い山が出てくるケースは少ないです。有名なのは急坂とか石畳とかを走るレースです。
代表的なクラシックレースに「パリ〜ルーベ」があります。パリからルーベという街まで石畳を通りながら走り抜ける1dayレース。「クラシックの女王」とか「北の地獄」とかいろんな異名がある大レースです。
グランツール
グランツールというのは、数日にまたがるレースです。1レースごとに優勝者は居るものの10日や20日ぐらい、ほぼ毎日走って総合タイムで最も早かったやつが優勝というレースです。遅れちゃってもタイム差を前日までで稼いでいればその貯金を使って頑張れれば優勝とかそういう感じになります。
毎日の展開とか駆け引きが重要になってきます。
最も有名なレースは「ツール・ド・フランス」。21日間の長丁場のレースで、12万キロカロリー(約6000kカロリー/day)の消費をするというデータがあります。アルプス山脈とかを登ったりしますのでそういうステージは8000kカロリーを超えるともいいます。
グランツールに出走する前と終わった後で体型が変わってるというレポートはよく聞きますw
パリ〜ルーベというクラシックレース
先に紹介した「パリ〜ルーベ」。約260km、フランスのパリからルーベ(ほぼベルギー)まで。
見どころはパヴェと呼ばれる石畳を各選手たちがガッタガタ自転車をいわしながら走るところ。選手の得意不得意がモロに出てぐんぐん進む選手と遅れる選手が出るし、パンクやトラブルなどの遅れで優勝候補が脱落したり、大穴の選手が「え、ここ?」というところで勝負しかけたりする。そういう意外性や展開が最高に面白くゴールだけ見とけばいいじゃんというレースじゃないところが魅力です。
また各選手の泥だらけの顔も見もの。
まとめ
つまるところ、見ようぜって話。今週末なんよ。超楽しみです。Jsportsで見れます。
あざした。