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starfruits7
描き方がとても先鋭的な作品「その国の奥で」
<文学(214歩目)>
かなり実験的。でも、その後の作品につながる。
その国の奥で
J・M・クッツェー (著), くぼた のぞみ (翻訳)
河出書房新社
「214歩目」はJ・M・クッツェーさんの実験的、でも洗練された作品です。
2作目とは信じられない、深く突く先品。
そして、白人女性マグダの妄想のような、現実のような。その境界線が曖昧な描き方。断片のようで、断片ではない。
そして37歳でここまで描き切ったことに脱帽です。
クッツェーさんとの出会いは、「夷狄を待ちながら 集英社文庫」だったのですが、毎回衝撃。
常に、描き方。そして突き詰めている箇所に心を掴まれる。
支配する側と支配される側を描きながら、それは長い時間のうちの一瞬でしか過ぎないこと。
この「その国の奥で」でも266の断片の中に収められて、読者を突いてくる。
人間が持つ、堕落や欲望を昇華させた作品で今回も堪能でした。
「ダスクランズ 人文書院」と併せて読むといいと思いました。
クッツェーさんの研ぎ澄まされた鋭さを感じます。
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