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「約束を果たす」とは?「約束」

<文学(213歩目)>
時間があるときに集中して読みたい作品です。

約束
デイモン・ガルガット (著), 宇佐川 晶子 (翻訳)
早川書房

「213歩目」はデイモン・ガルガットさんのブッカー賞受賞作。

「トラスト―絆/わが人生/追憶の記/未来 エルナン・ディアズ 早川書房」の様に、率直にずっと没頭して読める素晴らしい作品です。

アパルトヘイト政策の中でのアフリカーナの農場生活と、そこで働く召使の関係の小説なのですが、切り出し方がとてもいい。

物語は、「約束(遺言)」から始まる。
この「約束」自体は、その他の多くの作品でも「ある」もの。

しかし、ガルガットさんの描き方は残された家族の「葬式」で時間軸をずらしていく。
この手法がとても素晴らしく、いくつもの人生を切り取っていく。

単なる善悪の対比ではなく、普通の人々が「世の中で信じられていた『制度=アパルトヘイト政策』をどうとらえていくのか?」が心を突いてくる。

南アの作家は、初めての出会いが「ジャンプ 他十一篇 (岩波文庫) ナディン・ゴーディマ」で、アフリカの彼方にこんな社会があったのか?という率直な思い。

ここで感じた新鮮な感覚がJ.M. クッツェーさんの一連の作品にたどり着く。

そして、このガルガットさんの作品は、もっと現代的に馴染みの薄い南アの世界を提示してくれました。

小説というものの力を感じる作品です。

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