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名もなき人たちの存在感「見知らぬ場所」
<文学(198歩目)>
とても都会的な文体。洗練されていて、それでいて心の底を突く。沁みました。
見知らぬ場所
ジュンパ・ラヒリ (著), Jhumpa Lahiri (原名), 小川 高義 (翻訳)
新潮社
「198歩目」は、ジュンパ・ラヒリさんの研ぎ澄まされた家族の心の機微を繊細に描いた短篇集です。
ラヒリさんの文体はやはりとても引き締まっていて、登場人物が浮き上がる感じです。
なんかとてもいい感じです。
「人間といるものは一箇所に長続きしないようにできている。いわばジャガイモと同じことで、いつまでも連作していると土地が痩せて、育ちが悪くなるのである。私の子供たちは、生まれた場所が違っている。どんな運命で生きるやら、もし親の意向がかなうなら、どこか見知らぬ土地で根を張ってもらいたい。」
この巻頭が、この短篇集で重要な意味を持つ。
読み進めると、いろいろな切ない思いに突かれる。
とても洗練された文体で、うなる。
この短篇集は、短篇で淡々としているが、何故かシーンが画像で残る。
さりげない文体ですが、心を突いてくるので、印象深い。
感嘆してしまう。
「見知らぬ場所」
とても感覚が現代的な父娘の関係で、いつ離婚してもいいように生きる。
お互いが傷つかず、長い人生を生きるには、父娘なりのアドバイス。
でも、小さな子ども「天然」に隠している真相を突いたりする。
この作品だけでも、読んでよかったと思った。
「よいところだけ」
この姉弟の関係がとても心に残る。
とても洗練された文体で、心の底を突いてくる。
うん、すごい技巧。たまらなく沁みました。
なんか、画像(映像)が瞼の奥に焼き付きます。
それにしても、素晴らしかった。
「停電の夜に ジュンパ・ラヒリ」と趣が違う。どちらも短篇集としてとても洗練されている。
友人と同じ様に、ライリさんは新作もすべて追っていこうと思いました。
ファンになりました。読書の道で、ついていきたい作家です。
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