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とても素晴らしい読後感。愛を考えられる「TOUCH/タッチ」

<文学(232歩目)>
ノーガードで読んだのですが、とてもよい時間を過ごせたと思う恋愛小説です。

TOUCH/タッチ
オラフ・オラフソン (著), 川野 靖子 (翻訳)
早川書房

「232歩目」はオラフ・オラフソンさんの心温まる作品。

半世紀前の恋人とのかかわりが出てきたら?この作品以外にもこんな設定はあったと思う。
ただよくある話が陳腐にならないのは、オラフソンさんの設定によるもの。
物語はアイスランドから、ロンドンを経由して、日本に。

読み進み中で、わかってくる二人の関係と半世紀前に終わらせないといけなかった理由。
半世紀はとても長い。。。

記憶の衰えもある。
それを乗り越えさせるものは何なのか。

コロナ禍あり、いろいろな歴史的な出来事も盛り込まれているが、その出来事を傍観して通り過ぎている中で、お互いに時を過ごしていることがわかる。
この出来事は、私の人生の中で置かれた時期や意味が異なるが、この出来事含めて自分自身の「その時」を振り替えさせられる。

なんか、主人公が経験した出来事により、懐かしくいろいろな出来事を思い出した。
素晴らしい手法。

娘に対して「人生においては自分の道を探すことが何より大事だ」と語れるところがよかった。「自分の人生は悪くはなかった」と娘に語れる日が来るのだろうか。

人生の中のたくさんの出会いと別れ。情熱と絶望。色々なシーンを美しく散りばめている。

そしてノーベル平和賞を受賞した被団協の講演で知った、「被爆者」の姿と事実が強く訴えてくる。
「それでも私は被爆者なの」被爆者が日本で耐えないといけなかった「偏見」も、は昨年の授賞式の講演と同じく、心を突いた。

被団協の受賞前に書かれているが、この読書でいろいろなことを学んだ。

ノーガードで読んだのですが、とても読後感がいい、恋愛の物語です。

そして巻末のアイスランド文学研究者の朱位昌併さんの文章が光ります。

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