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最新バーチャルプロダクションを活用したライブイベントの舞台裏とは?【ASK M&E Webセミナー「Hello, New World Part 2」トークセッションレポート】

ASK M&Eが扱う最新映像機器の使用例や活用例をパートナー企業と紹介していく配信セミナー「Hello New World part2」 スペシャルライブセッションに弊社社員が登壇しました。そのレポートになります。

■はじめに

新型コロナウイルスの影響により、全世界で苦境に立たされているエンターテインメント業界。これまでの生活様式が変化していく中で、エンターテインメントもまさに新たなる世界へと進む時期が来ているのかも知れません。
今回、Zero Density社のリアルタイムVFXシステム Realityを取り入れ、様々なオンラインイベントを成功へと導いたサイバーエージェントグループのCyberHuman Productionsと、それを技術的に支えたリーンフェイズの担当者をゲストに迎えて、最新のバーチャル撮影現場とそのワークフローについて、お話をさせていただきました。

■ゲスト紹介

株式会社サイバーエージェント スタジオエンジニア 津田 信彦
株式会社CyberHuman Productions 3DCGクリエイター 田森 敦
株式会社リーンフェイズ General Manager 片田江 順

《サイバーエージェント》
1998年の創業以来インターネットに特化した広告事業を展開し、業界最大手企業として事業拡大を続けています。
現在は、インターネット広告事業、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」をはじめとするメディア事業、ゲーム事業、投資育成事業の事業を展開し、インターネット総合サービス企業として、企業・インターネットユーザーの皆さまに対し有益なサービスを提供しています。

《Cyber Human Productions》
「技術(Cyber)」と「人間(Human)」の融合を目指す、3DCGやAI、XR、フォトグラメトリーなどの先端技術を活用したクリエイティブ制作に特化したサイバーエージェントグループの会社です。
フォトグラメトリースキャンやバーチャル撮影システム、モーションキャプチャシステムなどの技術力と、CGクリエイターのクリエイティビティを複合的に活用し、広告・映像・イベント・AR/VR/MRなどの3Dコンテンツを制作しています。

《リーンフェイズ》
株式会社ASKのグループ会社で、ASKが扱う業務用映像機器の技術的なサポートとマーケティングをしている会社です。
リアルタイムVFXシステム Realityの活用を国内で広げるために、CyberHuman Productionsをはじめ、導入するお客様に共に新しいシステムを構築しています。

■Reality導入の経緯

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ーなぜRealityを導入したのでしょうか。

【津田 信彦】(以下、津田)
動画広告を制作する際、ロケ撮影にかかるコストの削減やより効率的に制作を進められないかとバーチャル背景を検討したのがきっかけです。
Zero Density社の本社があるトルコに赴き、実際に撮影をして、Realityが作り出すバーチャル背景のクオリティを直接確認しました。

■Reality導入後

ー 実際に導入してみて、いかがでしたか。

【津田】
最初は正直厳しかったです。
単なる苦労話なのですが、当時は今ほど、リアルタイムでバーチャル撮影を活用することに対して馴染みがありませんでした。
どうしても、『リアルで制作するものよりクオリティが劣ったもの=バーチャル』という印象を持たれることが多かったのです。
どうしたらそのイメージを払拭しつつ、上手くRealityを活用することができるか、片田江さんによく相談をしてました。

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【片田江 順】(以下、片田江)
今振り返ると、導入から一年間はずっとテストを繰り返されていましたね。
当初はRealityの使い所を分かりかねていたと思うのですが、3DCGやAI、フォトグラメトリースキャンなど活用という新しい技術視点の獲得によって、使い所としての幅が大きく広がったように感じます。

【田森 敦】(以下、田森)
リアルタイムで、これまでクオリティの高いバーチャル映像が制作できるようになったのかと驚くばかりです。
さらに、Realityだけではなく、Unreal Engineやモーションキャプチャシステムと組み合わせることで、今まで実現できなかった演出や表現が可能になり、より理想に近いクリエイティブが制作できるようになったと思います。

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■毎日が挑戦 VRライブ

ー Realityを使ったVRライブ配信でのファッションショーやミュージックイベントといった、今までになかった新しい取り組みについて、お話をお聞かせください。

《VRライブ事例①:Tokyo Virtual Runway Live》 

【津田】
毎年幕張で開催されるファッションショー、東京ガールズアワードがコロナ禍による影響で、開催が難しくなってしまいました。
そこで弊社グループ会社「ABEMA」協力の元、リアルではなく、国内初のVRライブ配信のファッションショーとして開催する方向にシフトチェンジしたのがこちらの事例です。
実際の幕張の会場よりもはるかに大きい規模感のバーチャル会場を制作し、Realityを最大限活用して配信されたこのイベントは、今までのものとは一線を画す、新感覚のファッションショーとなりました。

《VRライブ事例②:Da-iCE×ABEMA ONLINE LIVE TOUR 2020-THE Da-iCE-》

【田森】
先ほどのTokyo Virtual Runway Liveと同時期に制作を進めたリアルタイムで配信をしたミュージックライブの案件です。
こちらも、コロナ禍による影響でリアルでの開催が出来なくなったことをきっかけに、オンラインでの開催に試みました。

曲ごとにバーチャル空間をガラッと変えたり、空間を縦横無尽に移動する大きなキューブを出現させたりなど、当時の技術的にハードな内容でした。
今までのような動画広告の案件では、CGセットの中でリアルタイムでオブジェクトを動かす必要がほとんどなかったので、このVRライブ配信は私たちにとっても大きな挑戦でした。

【津田】
リアルタイムでの配信だったため、CG映像とパフォーマンスに音楽(音響)のタイミングをぴったりと合わせるのが非常に難しかったです。

これらの事例以外にも、今日に至るまでの半年間、様々なVRライブを行い、その度に、さらなる技術検証や研究を重ねてきました。
現在は、ライブの流れに合わせて、リアルタイムにエフェクトを登場させたり、複雑なオブジェクトを動かしたりなど、対応出来るようになりました。
また、リアルタイムで色調整なども出来るようになり、絵そのものクオリティも大きく進化を遂げています。

■ライブイベント以外の用途にも活用

ー Realityを活用した企業イベントやプロモーションビデオの撮影について、お話をお聞かせください。

【田森】
こちらはCyberHuman ProductionsでRealityを導入した直後、最初の事例である、スチャダラパーさんとアプリゲーム「ミニ四駆 超速グランプリ」のコラボ楽曲制作です。
ちょうどこの頃、Realityの新たな活用方法を模索しており、このタイミングでスチャダラパーさんから、「3Dスキャンで何かしたい」という新たなご提案をいただいたので、弊社の3Dスキャン技術とRealityを組み合わせた、新しい撮影方法に挑戦することにしました。

ー 完成したプロモーションビデオを見た感想はどうでしたか。

【片田江】
従来とは違う、新しい映像表現であると感心するとともに、Realityでこんなにクオリティが高いプロモーションビデオが撮影できるということに驚きました。

【津田】
今までのPVにおけるCGの利用は、「あくまで実写に変わるもの」という考えが根底にあったので、CGの良いところを前面に押し出しているこの案件は、今までの考えを覆すものでした。

ー 他にもRealityを活用した、企業様の社内表彰式や表彰イベントについて、お話をお聞かせください。

【田森】
2020年12月に、サイバーエージェント社内で活躍する技術者を表彰するイベント「CA BASE AWARD」を開催しました。
まるでアカデミー賞授賞式のような絢爛豪華なバーチャル会場を制作し、Realityを活用したバーチャル撮影で社員全員にリアルタイムで配信しました。
配信のコメント欄と連動して登場する、ARのGoodマークで表彰式を盛り上げる、インタラクティブな要素も取り込んだイベントとなりました。

■リアルタイムVFXシステム Realityのここがすごい

ー Realityの特徴を具体的にお聞かせください。

【片田江】
RealityがリアルタイムVFXシステムと言われている通り、基本的に全てが「リアルタイム」で進みます。
従来であれば、撮影→編集→合成等の作業といったステップを踏んで、ようやく完成しますが、リアルタイムVFXシステムであれば、撮影をした時点でほぼ完成に近づきます。
これが「リアルタイム」と言われる所以です。
あらゆる制作の時間が短縮され、且つ今まで以上のクオリティで提供できる、それこそがRealityの最大の特徴になります。

【田森】
片田江さんが仰っていた通り、今までかなりの時間を要していた、撮影以外の作業時間を大幅に短縮できるという点が一番の特徴です。
しかしその反面、撮影でほぼ全ての工程が完成してしまうので、失敗できない緊張感が以前よりも高まりました。
一個一個工程を段階ごとに踏んで制作するのではなく、全段階を同時進行で制作をする「リアルタイム」という感覚は、CG制作業界の人間にとって新鮮なことだと思います。

■今後の展開

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ー これまでの経緯を経て、今考えていることはなんですか。

【津田】
「バーチャルには様々な可能性がある」と感じていると同時に、実際にバーチャルでどこまで実現できるのか、一番の課題として、日々向き合っています。
現在Realityを導入しているカムロ坂スタジオには、フォトグラメトリースキャン、モーションキャプチャシステム、LED STUDIOなど最先端の設備も導入されており、これらの技術の組み合わせ次第で、それが大きく解決に向かうと考えています。

ー 最後にメッセージをお願いします。

【片田江】
この数年、リーンフェイズは、サイバーエージェントさん、CyberHuman Productionsさんと共に、『最先端なこと』に対して取り組んできました。これからも第一線を走り続けると思っているので、これからも期待しております。

【田森】
今日ご紹介した事例以外にも、カンファレンスやライブコマースなど、Realityを使った新しいイベント・サービス・コミュニケーションを日々考えています。
これからも止まることなく、取り組んで行きたいと思っていますので、今後の展開を楽しみにしていただきたいです。

【津田】
Realityに少しでも興味がある方は、是非触ってもらって、Zero Density社さんに色々と質問することをおすすめします。
皆さんの疑問や発見が、Realityの新しい可能性に繋がると思いますので。

ー 本日はありがとうございました。

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