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【CyberHuman Productions presents】 『ブランド・店舗体験のデジタルシフトを考えよう』 〜最新3Dスキャン技術を活用したコンテンツ&マーケティング〜ウェビナーレポート

今年の2月から大流行した新型コロナウイルスによって、アパレル業界は店舗での接客やイベントが開催が難しくなり、またエンターテインメント産業でもフィジカルな興業を実施しにくい状況となってしまいました。
今まで、CMや映画といった映像制作の目的でフォトグラメトリースキャンのご相談をいただくことが多かったのですが、最近はコロナ禍の影響もあってか、アパレル業界をはじめとした様々な業界から、オンラインイベントやライブ配信において3Dスキャン・3DCGを活用したいというお話をいただくことが増えました。
どの業界もDX(デジタル・トランスフォーメーション)を避けて通れなくなっています。
今回、ウェビナーという機会をいただいて、オンライン上でのブランド体験や店舗体験に関しての事例についてお話しさせていただきました。

■登壇者紹介

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■CyberHuman Productions

「技術(Cyber)」と「人間(Human)」の融合を目指すクリエイター集団
従来の慣習にとらわれず「プロセス」や「時間」の概念の転換を仕掛けていきます。

それは決してクリエイティブの質を下げるものではなく、新しいアイディアやゆとりの創出につながると私たちは信じています。
『誰も見たことがない表現を創造する、誰もが価値を感じるものをアーカイブする、みんながワクワクする体験を設計する。』

AI・CG等の技術とクリエイターの力で、新しいステージを切り拓き、インターネットを通じて、渋谷から世界を震撼させます。

サイバーエージェント、インターネット広告事業部の関連会社として活動しており、3DCGやAI ・フォトグラメトリースキャンなど技術に特化した会社として、その他のグループ会社と連携しながら、広告制作の効率化や品質向上を目指して研究開発も進めております。

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■3Dスキャン、フォトグラメトリースキャンによる「モノの3D化」
《フォトグラメトリースキャンとは 〜LiDarスキャンとの違い〜》
高精細でハイクオリティな仕上がりを追求できるフォトグラメトリースキャン(フォトスキャン)

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【芦田直毅さん】(以下、芦田)
本題に入る前に、普段私たちはスタジオやトラック[THE AVATAR TRUCK]でフォトグラメトリースキャンをしているのですが、実は最新のiPhoneでも手軽にスキャン(LiDarスキャン)ができるようになりました。
フォトグラメトリースキャンのスペシャリストである桐島さんに、LiDarスキャンとフォトグラメトリースキャンについてお聞きしたいと思います。

【桐島ローランドさん】(以下、桐島)
LiDarスキャンはレーザーを使用したスキャニングになります。
情報量が多く、クオリティが高いのですが、あくまで形状のスキャニングを得意としているため、精細なテクスチャーデータを同時に取り入れることが難しいです。
その点、フォトグラメトリースキャンは、クオリティが高いことはもちろん、写真を使ったデータなので、テクスチャーのクオリティがLiDarスキャンより高いことが挙げられます。

例えば、完全に静止するのが難しい人物のデータを制作する場合、150個以上もの一眼レフを使用するフォトグラメトリースキャンで一瞬にして写真を撮り、形状・テクスチャーの3Dデータを制作します。
また、店舗のように動かないもののデータを制作する場合は、フォトグラメトリースキャンとLiDarスキャンの2つを組み合わせる事で高精細な形状+写実的なテクスチャのハイクオリティな仕上がりの3Dデータを制作します。
このように物体の質感や色が必要となる「人物」や「建物」といった、写実的なデータを制作する時には、フォトグラメトリースキャンを活用するのが一番良いということです。

■フォトグラメトリースキャンをした、3Dモデルを使ったケーススタディ
《①PORTAL WITH NREAL》
ARグラス×3Dモデルで未来のショッピング体験を実現

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【中野江美さん】(以下、中野)
PORTALはカムロ坂のスタジオに体験ブースをご用意している、AR・VRのショッピング体験ができるプロジェクトです。こちらは、2020年に海外のARのベストキャンペーンのアワードを受賞しており、海外でも展示しておりました。

▶︎PORTAL witn NREAL
 https://meson.tokyo/en/works/detail/portal-with-nreal

【桐島】
これはバーチャルでの店舗展開という事例において、かなり最先端なものです。
10年前はスマートフォンで服を買うなんて誰も考えていませんでしたが、10年後はARグラスで買い物をすることがスタンダートになるのではないでしょうか。
そういう意味でこの事例は、未来の店舗体験が覗き見できるというものになります。
写真(動画)に映っている、コーディネートされた服を着用したモデルの小さいアバターは、実際のモデルをフォトグラメトリースキャンをして3Dモデル化・360度化したデータです。
この小さいアバターはスマホで操作ができるレーザーポインターで操作をする事で、実物大の大きさに拡大することもできます。
このように目の前に等身大のモデルが出てくるのは、実際のショッピング体験とかなり近しいですね。

■ モノのDX 文化財・ファッションアイテムのケーススタディ
《②陶器・建物・ファッションアイテム》
モノ・文化財におけるデジタル化とそのメリット

【中野】
希少価値や文化的価値のある「モノ」をスキャンして、魅力的に魅せるということが「アーカイブ」という側面もあるスキャンの大きな価値の一つになると考えています。

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【中野】
こちらは、東京国立博物館にある文化財の茶碗をフォトグラメトリースキャンさせていただいた事例です。

▶︎8Kで文化財「ふれる・まわせる名茶碗」
 https://corporate.jp.sharp/news/200701-a.html

この画像は茶碗を3Dデータ化し、物理的なレプリカ茶碗をリモコンのように動かすと、8Kの高解像度モニターで詳細に再現された3Dデータの茶碗も連動して動くというような仕組みです。
文化財である本物の茶碗を実際に手で触ることができないので、3Dデータの茶碗を拡大してよく見たり、裏側を見たりなど、実際にはできない体験を可能にしました。

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【桐島】
同じく、文化財の北九州の旧門司税関という建物をスキャンした事例です。

▶︎Creative is beside computer.~桐島ローランド篇~
https://www.mouse-jp.co.jp/creator/ss/daiv/case_study/avatta.html

これはVRでは珍しい、外装と内装がどちらも3Dデータ化されている、かなり写実的でハイクオリティなものになります。
文化財は火事や地震で焼失してしまうことが多々あるので、個人的にはこのように3Dデータをアーカイブ化して、後世に残してゆくべきだと考えております。

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【桐島】
これは一般的な住宅の室内外の3Dデータを活用した不動産の事例になります。
室内をVRで見ることができるため、空間や家具の大きさを把握する上で、非常に有効的な手段です。
海外のお客様が日本の物件を買いたい時、VRゴーグルと3Dデータをお客様に送って、リアルな不動産内覧と同じように見ていただくことが可能になります。
実際に海外の不動産サイトはVRのプラットフォームなどを活用して、バーチャル空間で不動産内覧が出来るようになっている事も多いそうです。

【中野】
AR・VRだと色による面積効果も実際に体験できますね。
壁紙や服の色は大きさによって、見え方や感じ方がかなり変わってきます。
2Dだと分からないことが3Dだと分かりやすくなるので、その点においても非常に有効です。

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【芦田】
他にも、こちらはファッションアイテムを3Dデータ化したものになりますかね?
このように3Dデータ化することで、複数の商品バリエーションも瞬時に見比べることが可能になるので、店舗で多量な在庫を抱える必要がなくなるのではないのでしょうか。
また、ゆくゆくはバーチャル試着も…となるとハードルが高そうですが、商品のサイズ感やバリエーションが目視で確認できるのは、今後大きなメリットになります。

■ ブランド体験・店舗体験のDX バーチャル空間を活用したケーススタディ
《③VIRTUAL Y's INSTALLATION》
店舗でのブランド体験やPRイベントをオンライン化 / 
購買におけるセレンディピティをバーチャル空間で再現

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【中野】
こちらは、先月に行われたオンラインイベントになります。
表参道ヒルズにあるY'sの店舗で、Y’sさんとパナソニックさんと一緒に制作したVRコンテンツのお披露目イベントが用意されていたのですが、コロナ禍の影響により開催が見送られていました。
しかし、VRコンテンツをより多くの方々に見ていただきたいと考えた結果、オンライン空間にオープンしたバーチャル店舗でのバーチャルルーミング体験+VRコンテンツの体験イベントをリリースすることにいたしました。

▶︎VIRTUAL Y's INSTALLATION 
https://www.yohjiyamamoto.co.jp/en/projects/artproject-virtual-ys-installation/

▶︎Y's Official 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC1tETKlg_AnH1g5tj4CSn8Q/featured

洋服の画像が並んでいるECサイトとは違って、バーチャル店舗では実際の店舗同様に洋服がハンガーに吊ってあり、見たい商品に近づくとポップアップで商品画像や詳細情報が表示され、購入ページに飛べるフローになっています。
店舗で体験するブランドの世界観や雰囲気にオンライン上で体験できるので、気分も上がりますね。

【桐島】
普通のECサイトだと目的の商品をカテゴリから一つ一つを探して見るのが通常ですが、バーチャル店舗であれば、目当ての商品の隣にある商品など、目的の商品以外にも目がつきやすく、セレンディピティな買い物ができるということです。
シャツを買いに来たけど、好みのデザインの靴が目についたから一緒に買ってしまったというようなことが、オンライン上でも起こるのです。

【中野】
またアパレルブランドが重要視する店舗での世界観を、バーチャル店舗で体験できるのも挙げられます。
そもそもY'sの路面店は表参道・パリ・ロンドンしかなく、多くの店舗はポップアップストアやデパートでの展開となっています。そうなるとブランドの世界観を店舗内で作り出すのがなかなか難しい状況だと思います。
しかし、オンライン上であれば、実際の店舗では再現できないブランドの世界観もバーチャルポップアップストアとしてお客様に届けることができます。

ちなみに、今回は店舗で行うはずだったPRイベントについても、オンラインイベントという形で開催しました。
VRコンテンツで使用したY'sのアトリエを模したバーチャル空間で、Y’sの世界観を表現し、VRコンテンツとのシナジーを狙いました。
この事例をきっかけに、店舗でのブランド体験やPRイベントのオンライン化をコロナ以降も続くノーマルな価値観として世に普及させていきたいと考えています。

《④KEITA MARUYAMA × PITTA MASK | Rakuten Fashion Week TOKYO 2021 S/S》
ブランドの壮大な世界観を3DCGのバーチャル空間で表現

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【桐島】
KEITA MARUYAMAと、今人気のPITTA MASKのリアルでのファッションショーの話がコロナ禍の影響で中止になってしまったため、3DCGを活用したバーチャル空間でのファッションショー映像を制作することになりました。
フェアリーテイルな世界観だったり、アジアンチックな世界観だったり、バリエーション豊富な空間をスーパーモデルの福士リナさんがウォーキングをする、豪華な映像はYouTube上で見ることができますので、是非ご覧ください。

【中野】
現実世界に存在している空間を再現というよりは、存在しないけれども、ブランドが掲げているイメージや世界観を表現しました。
KEITA MARUYAMAの世界観を全て物理的な美術で制作したら、莫大な時間と予算がかかりますが、バーチャル空間であればより効率的に制作できます。
あくまで世界観を作ることが目的なので、そこの考えがバッチリハマったという事例です。
今後、バーチャル空間でのファッションショーやPVは『代案』ではなくなり、むしろ『バーチャルでやりたい』という声が多く上がりそうですね。

■今後の展望

【桐島】
アパレル、ファッションのあり方をDX化したいと考えています。
現在の技術を最大限活用すると、服のパターンから、カタログ、映像制作まで含めて全てCGで制作することができます。
またCGを上手く活用すれば、ファッションスナップ撮影も、ファッションショーもしなくて良くなるため、コスト削減に繋がります。
さらにはお客様のサイズや嗜好に合う服を、プロのスタイリストの情報を学習させたAIコーディネーターがスタイリングしてくれるまで出来たら凄いと思います。

eコマースも今後さらに面白くなりそうですね。
中国での勢いがすごく、インフルエンサーがZOOMなどのライブコマースで商品紹介をして、1日の間に何百億も売り上げる実績もあるらしいです。

【中野】
商品をじっくりと見たければ、3Dデータで確認してもらうという流れが実現できそうですね。
今ある様々な技術を組み合わせると、オンライン上で全て完結することができるので、今後はオンラインでの商売が普通になっていくと思います。

iPhoneも、今は当然のように皆が受け入れていますが、10年前はそうではなかったことを考えると、フォトグラメトリースキャンを活用した3Dデータもあっという間に受け入れられると思います。
スキャン技術というのは、全く新しいものに対して活用するのはもちろん、今すでにあるものに対しても活用ができるので、皆様もお気軽にご相談ください。
CHPがブランド体験・店舗体験のデジタルシフトのお手伝いさせていただきます。

次回のウェビナーレポートは『リアルを超えるオンライン・イベントの作り方 〜「オンラインならでは」のイベント体験〜』になります。更新をお待ちください。

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