女優逮捕:組対五課の筋ヨミvol.2
前回に引き続き、大物女優Sの薬物事件です。
この事件、科捜研による本鑑定(尿検査)の結果も
「陰性」でMDMAの「使用」での立件は
できませんでした。。。
組対五課はMDMAの使用での立件・起訴も
狙っていたと思うので、当初の筋読みとは
かなり違う捜査の展開になったと思います。
では、前回の続きです。
あくまで経験に基づく推測(フィクション)です!↓
======================
「職質・ガサ・逮捕編」
11月15日(金)夜、コウカク中の捜査員から
連絡が入る
「対象(S)が居宅を出てタクシーで
渋谷方面に移動中。」
現場からの報告と同時に捜査員たちは
一斉に出動態勢に入る。
「Sの帰宅を狙ってバン(職務質問)
をかける」
現場責任者と捜索担当捜査員たちは
対象(S)の居宅付近に数班に別れて
張込みし、対象がクラブから帰宅するのを
待つ。
Xデー(着手日)の張込みはいつもよりも
時間の流れが遅く感じる。
現場責任者の胸の内は複雑だ。
「薬物が出なかったら。」
「いや、奴は必ず薬物を持っている。」
不安と自信の波が交互に押し寄せる。
日が変わって11月16日(土)早朝、
クラブ張込み班から連絡が入る。
「対象(S)が店を出て、タクシー乗車。」
「タクシーの塗色は〇色、ナンバーは○○○○」
対象が乗車したタクシーは、もちろん
バイクに乗った捜査員が尾行する。
現場に一気に緊張が走る。
あと数分で、対象が現れる。
数分後、クラブ張込み班の報告のとおりの
タクシーが現場に現れる。
そして、Sの居宅マンション前で停車して
数秒後、後部座席のドアが開く。
「着手」
その号令で、数名の捜査員がタクシーに駆け寄り、
タクシーから降りたSに現場責任者が声をかける。
「おはようございます。
Sさんですね。警視庁です。
お聞きしたいことがあります。」
警察手帳を見せながら声をかける。
早朝とは言え、公道で質問を続けるのは
衆人環視に晒される恐れもあるし、最悪の場合
共犯者などによる奪還行為、捜査妨害も考えられる。
そこで、Sを付近に止めた捜査用車両に同行し、
車内で裁判所から発せられた「捜索差押許可状」を
Sに呈示する。
「薬物容疑で令状が出ています。まずは貴方の身体と
所持品の捜索を行います。」
Sは驚いた様子だが、特に抵抗する様子もなく
淡々と応じる。
ここまでは、組対五課の筋書き通りだった。
Sの所持品から、違法薬物が見つかれば
言い方は悪いが、警察の勝利だ。
女性捜査員が入念にSの所持品や身体を
捜索する。
しかし、薬物は出てこない。
「薬物の受け渡しはクラブ「W」ではなかった」
この時点で現場責任者及び警視庁の幹部は判断ミス
を悟った。
しかし、捜索に着手してしまった以上、あとに引くことは
できない。
Sに関しては数年前から薬物使用の噂レベルの
情報はあったし、内偵捜査時に確認した彼女の行動から
薬物常用者特有の振る舞いを捜査員は感じていた。
「どこかに必ずある」
捜査員は焦りながらも、Sの使用車両、
居宅の捜索を継続する。
捜索と同時に、現場責任者はSを説得(追及)する。
「我々は薬物を必ず見つけます。
我々が見つける前に、素直に自分からどこにあるか
申告するのが、反省の第一歩じゃないでしょうか。」
何度か同じような問いかけをすると、Sは
観念した様子で、
「アクセサリーボックスの中にあります。」
Sの指示通りの場所に
アクセサリーボックスがある。
捜査員がアクセサリーボックスを調べると、
二重底になっており、底にカプセル2錠が
あった。
「私のものに間違いありません。」
Sは見つかったカプセルが
自分のものでることを認め、その錠剤を
捜査員に提出した。
居宅の捜索を尽くし、Sを警視庁本部に
任意同行し取調べを行う。
薬物の使用事実を裏付けるため、尿検査も並行して
行う。
女性捜査員が監視を行いながら、採尿をする。
便器内の水には墨汁を混ぜる。
狡猾な被疑者は便器の水を採尿容器に入れて
偽装することがある。それを防ぐ目的だ。
尿検査の簡易鑑定の結果は陰性「シロ」。
ここでも組対五課の目論見が外れた。
幸い、提出を受けた錠剤の鑑定結果は
合成麻薬MDMAであることが判明。「クロ」。
ギリギリのところで組対五課の面目は保たれた。
MDMA所持事実でSを緊急逮捕した。
=============================================
捜査状況と本人の供述からすると、Sさんが
違法薬物を常用していたのは間違いないことは
皆さんも想像がついてると思います。
しかし、
・入手先と見込んでいたクラブ帰りの職務質問時に
違法薬物を所持していなかったこと
・尿検査の本鑑定でも薬物反応が出なかったこと
など、組対五課が着手前に描いていた筋書きが外れ、
常用を補強する証拠は出てこず着手前に思い描いていた
筋読みとはかなり違う結果となってしまった様子が
うかがわれます。
日本の薬物捜査の要、警視庁組対五課。
このまま終わるとは考えられません。
考えたくありません。
今も次の大物を狙って、日々内偵を行っている
ことと思います!
がんばれ!警視庁組対五課!!
(千葉県警も精鋭ぞろいですけどね。)
すみません。後半部分、特に逮捕のくだりは
あんまり詳細に書いちゃうと現場に迷惑がかかりそう
だったんで、ちょっとぼやかしました。
ではまた!!
--------------------------
【YouTubeもよろしくお願いします!】
★最新のテーマで動画配信中!!★
DEKAチャンネルの登録はこちらです↓↓
https://www.youtube.com/channel/UC6580KyayjBbCglelzfEmag