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【車なご】なぜヴェゼルは"親戚"なのか
車なごコレクションのゲーム内に於て、ホンダ・ヴェゼルはどのような立ち位置だったか。自ら"多面的な魅力"と語る通り複数の回答があるが、その中に「フィットの親戚」というものがある。
【実車紹介 ホンダ ヴェゼル】車なごTwitter中の人です。実車と車なごを紹介! 今回はホンダのヴェゼルさん。「フィットちゃんの親戚」というその理由は!? CVは田村奈央さんです #車なご #車なご実車紹介 pic.twitter.com/DOtA5a1ruo
— 【公式】車なごコレクション (@Syanago_Staff) February 27, 2015
確かに、ヴェゼルはフィットとプラットフォームを共有しているし、ハイブリッドモデルに搭載されるシステムも基本的には同じi-DCDだ。しかし一般的にはそのような関係であれば兄弟姉妹として記述されることが多いのではないだろうか。実際、同じくプラットフォーム等を共有するシャトルは"フィットの妹"というキャラ付けになっている。
では何故ヴェゼルだけ親戚なのだろうか。筆者の手元にある1995-1996年版(以下、'95年版)の自動車ガイドブックを紐解こう。
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この本には1995年時点で市販されていた国産車が網羅されている。もちろん年次発行される書物だから2010年代の版も存在するのだが、何故25年以上前の版を引っ張り出してきたかと言えばこの時代独特の分類項目にある。
本書の近年の版では収録車種は個人が自家用車として購入するような"乗用車"と主に企業が運用するであろうバス・トラック、バンをまとめた"商用車"に二分し、さらに二輪車を加えて3つに分類されているが、'95年版ではもうひとつ"RV"、2020年代風に言えばSUVのカテゴリーが先述の2つとは独立して設けられている。尤も、分類は各メーカーの自己申告によるうえ、RV=レクリエーショナル・ヴィークルであってSUV=スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルではないからなのか、背の高いミニバンなども見受けられることは留意する必要があるが("この時代のミニバンは商用バンにちょっと良いシートを着けたようなもの"となにかで読んだ気がするから"商用車と乗用車の中間"という意味では適当かもしれないが、記憶が定かではない)。
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さて、このRVの項目、トヨタや日産、三菱といった旧くから日本の自動車業界を牽引してきたメーカーはそれぞれ見開き3ページにわたってRVやミニバンが並ぶ。そう、所謂背の高いミニバンが出始めたこともあってこの時代もちょっとしたRVのブームだったのだ。翻ってホンダはというと紙1枚の裏表に12台、しかもそのうち3台はオデッセイのグレード違いで3台はアコードワゴンのグレード違いと、あまり豊富とは言い難い。挙句には4代目シビックに設定されていたRV風仕様であるシビックシャトルを持ち出す始末だ。もう標準のシビックは5代目どころか6代目が出ているのに。
ホンダも何も手を打たなかったわけではない。オデッセイはまさにそんな状況を救った1台だし、'95年にはすでにCR-Vの初代モデルも市販されている。しかしそれ以前には奇策に出ていた。
ホンダのRVの欄にホライゾンという車種がある。ダッシュ0号ではない。そしてその隣のページにくるのはいすゞなのだが、そこにも姿格好がよく似たビッグホーンというクルマがある。つまり、いすゞからRVのOEM供給を受けることにしたのだ。なので型式もビッグホーン(ガソリン/ディーゼル):UBS25GW/UBS69GWに対しホライゾン(同):UBS25GWH/UBS69GWHと似たものになっている。因みに同時期にホンダからもいすゞが生産から撤退した乗用セダンのOEM供給を行っている。
さらに同じページにはクロスロードという車種もある。とはいっても2000年代にストリームをベースに開発された方ではなく、これまた当時ホンダが乗用車をOEM供給していたイギリスはローバーのSUV部門(当時)にして"砂漠のロールス・ロイス"の異名を持つランドローバーからのOEM供給である。
いすゞ公式サイトによれば同社の創立は1937年まで遡る。
また、ローバーに関しても英語版Wikipediaによると1878年に登場した企業である。
いずれにしても擬人化コンテンツにおけるキャラ付けとして、この記事のサムネイル画像としたゲーム内での自己紹介文のような、所謂"お嬢様言葉"を話すようになることに無理はないだろう。
以上で見たとおり、ヴェゼルがホンダのSUVであることと同社のSUV/RVの系譜が他社からのOEM提供によって本格的に始まっていることをを反映していると思われる。
他のメーカーのOEMは姉妹として描かれることが多かった一方、あくまで親戚となっているのは同車自体はOEMモデルではないことホンダというメーカーを歴史的にみると他社とのOEMが極端に少ないことも一因にあるだろう。
以上が、車なごコレクションにおけるホンダ・ヴェゼルのキャラ付けに関する筆者の見解である。