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In Between Days-1(2023夏 東京日記)

The Cureの"In Between Days”は中三の夏に初めて聴きました。確か、クラスの男子がFMラジオでエアチェックしたものを聴いたのだと記憶しています。
中学生の頃は周囲の音楽好きな友達から、そして何よりもラジオ番組から、素敵な作品にたくさん出会いました。授業は退屈だったけれど、そんな日々の隙間にいつも音楽がありました。

東京には大学時代を含めて4年半くらいしか住んでいなかったので、年に一度くらいふらっと行くのを楽しみにしている一人旅。離島からの旅費はそれなりにかさむので、そのためにけっこう真面目に働いてきたのではないかと思うほど。そこで観るライブやお店巡りなどは他に代えがたい楽しみです。

春に職場の配置が変わって、今までのはまだまだ甘かったのね、と思うくらい業務もどどんと増えました。シフト表を組んだり、不満の聞き役になったり、改善するためにあれこれ悩んだり。うーん、これはどこかでまた息抜きをしたい…と思っていたところに、高円寺のディスクブルーベリーさんが鎌倉へ移転するので高円寺の営業が7月の初めまでだというお話を聞きました。さらに、その前日には下北沢で開かれるカジヒデキさんのイベントIVORY CAFEに、Three Berry Icecreamのイケミズマユミさんがご出演されるとのこと。よし、と今年の上京を7月8日に決めました。同じ日には杉村ルイさんをボーカリストに迎えた新生ザ・ファントムギフトも下北沢公演。はしごをしたいな、できるよね…という気持ちで両方のチケットを申し込みました。そしてもうひとつ、ピーターアッコさんのTweetで、同じ8日夜には幡ヶ谷ヘビーシックでライブとDJのイベント(ノロガルナイト)があるのを知りました。以前から観たかったpeteracco live! や、chiggyさん達のバンドMotel's Sofaも出るなんて、こちらも行くしかない…! しかも、もしかするとお客様として、まーがりんさんがいらっしゃるかもしれないとのこと。まーがりんさんは、32年前、1991年にフリッパーズ・ギターのPV「奈落のクイズマスター」撮影時にエキストラとして同じバスに乗り合わせた方で、Twitterを通して数年前から知り合ったのですが、まだ面識はありません。お会いできるといいなあ! 期待はどんどん膨らみました。

PVより。バスから降りる、まーがりんさん
1991年3月1日のことでした

ところで私の上京は1泊2日、長くても2泊3日の弾丸です。仕事は土日は基本休めないので調整して、日程を考えると、7月8日~10日がやっとでした。しかも宮古から飛行機を乗り継いで羽田に着くのは13時30分。下北沢のカジさんとイケミズさんのトークイベントは14時開演。どうしたって遅れます。東京の友人からも、それはちょっと難しいでしょうというアドバイスが。人数も限られているイベントなので、私のためにほかのファンの方が行けなくなることを考えて、キャンセルすることにしました。(トークイベントは元BRIDGEメンバー同士のおふたりで、とても楽しかったそうで、堀江博久さんも交えてのライブも素晴らしかったとのこと…。いろいろご考慮くださった関係者の皆様、ほんとうにありがとうございました)
ほかにも、あわよくば2日目は群馬・栃木のほうへ…とも考えたのですが、その次の日程を知った友人から、こちらもちょっと無理は禁物ですよと忠告が。結果、ほどよい日程となりました。

7月8日(一日目)
当日、気にかけてくれた東京のお姉さんのような方が空港に迎えに来てくださることになり、生まれて初めて羽田から車で都内に向かいました(それまでモノレールか電車でしか行ったことがなかったのです)。車に乗り込むと、しょっぱなから「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が流れ、なんだか楽しくなってしまったのですが、首都高中央環状線あたりではジュリーの「TOKIO」が流れ、車がこの日の宿泊地である吉祥寺のほうを目指す頃にはCorneliusの「Sleep Warm」という最高なシャッフル選曲でした。

とりあえず荷物を預けて吉祥寺駅近くの喫茶店へ。嬉しい顔合わせを喜びながら甘味と楽しい会話のひとときが過ぎていきました。カジさんとイケミズさんのライブは諦めたものの、こうした時間がつくれたことは有り難かったです。

それから着替えてライブの準備。ザ・ファントムギフトを観ることに決めてから何を着ようか楽しく悩んでいたのですが、古着で買ったピエール・カルダンの赤と白のストライプのブラウスにしました。新しくなった下北沢駅へ降りるのも初めてで、会場のFlowers Loftへ向かう短い間、眼の前に広がる現在の街並みと、記憶の中の風景を擦り合わせ、上書きするのに頭を使いました(なにしろ、昔は駅の階段を降りたところにあったはずの建物が、のぼったところにあったり…)。

ザ・ファントムギフトのライブは名古屋を拠点に活動する”21世紀と昭和40年代を自在にワープする愛知産デュオ”エミとゲルとの2マン。松石ゲルさんとエミーリーさんのコミカルな掛け合い、楽しそうに演奏するバンドメンバー、終始にこにこしながら観入ってしまいました。(ゲルさんは、偶然ですが、私が最近ようやく聴き始めたThe Absoludeのオリジナルメンバーでもあるとのこと!)
そしてザ・ファントムギフト。ネオGS人気の頃には私はまだ離島の高校生でしたし、The Hairは活動当時観ようと思えば観られたはずなのに機会を逃していて、杉村ルイさんは音源を通して遠く憧れていたボーカリストでした。フリルのついた王子様のような衣装で現れたルイさんは目の覚めるような男前で、ギュインギュインくるナポレオン山岸さん・サリー久保田さん・チャーリー森田さんの演奏も、私にとっては生けるレジェンド達が動いているという感じで。その世界観にきっちり合わせて時にはポーズを決めながら歌い踊るルイさんには、アイドル絶頂期のヒデキ(西城秀樹)感もありました(うまい表現が見つからず、すみません…)。来てよかったあああ…。

と余韻もつかの間、ライブハウスを飛び出して幡ヶ谷へ向かわねばです。ちょうどその数日前にTwitterでいろんな方から、下北沢→幡ヶ谷移動のコツを教えていただいていたので(みっこさん達のスペースも役に立ちました)、記憶を頼りに緩い坂道を下り、少し車の通行量がある通りへ。運よく早めにタクシーが見つかり、快く載せてくださった運転手さんにスマホで地図を見せながら行きました。

階段を降りて幡ヶ谷クラブヘビーシックへ入場

クラブヘビーシックの階段を下りていって入場料を支払うと、久しぶりのクラブらしい雰囲気。お洒落をした可愛い女の子たちもいっぱいで、わくわくしてきます。ちょうど「ノロガルナイト」主催者ノロイガルシアさんのDJタイムで、時間帯でいうとライブのトリのMotel’s Sofaがもうすぐ始まろうというあたり。フロアを見渡すと、まーがりんさんらしき後ろ姿が。SNSでお顔を拝見したことがあったので、つい不躾に後ろから肩をとんとんしてしまいました。振り返ったまーがりんさん。すぐに「きょう、ユキエさんも来てるよ」と教えてくださって、思いがけず、Veraコレクターのユキエさんにもご挨拶できたのでした。今年『ヴェラ・ニューマン ファンブック』を上梓された憧れのお姉さん的存在の方!その日もとても素敵なヴィンテージブラウスを着ておられました。

ステージではchiggyさん達のライブが始まりました。アキシロさんの甘いボーカル、ベースchiggyさんのステップ、アイコさんのドラミングと、会場は大盛り上がりです。私も楽しくて頭がぽーっとなっていました。

ライブには惜しくも間に合わなかったものの、ピーターアッコさんにもご挨拶できました。Knittersさんがよく上げてくださる動画で観るとおりの、とってもキュートな方でした。そうして舞い上がりつつお喋りをしていると、DJタイムで、"In Between Days"が!思わず10代や20代初めの頃のようにフロアに繰り出し一緒に踊りました。クラブで踊るなんて本当に久しぶりです。ノロイさんは初対面だけど、なぜかとても懐かしいような、高校や大学時代の旧友たちの面影を感じる方でした。運よくいただけたノロイナリ(お手製の美味しいいなり寿司)の味! 同じくDJをされていたカエドンさんは、ぴょこぴょこ跳ねさせた髪が踊るのに合わせて動くのも可愛らしくて…(話しかけられなかったのはちょっと心残りでした)。

頭を冷やしに階段の近くで立っていると、90年代から長く音楽シーンで活躍されてきたある方(まさかお話できるとは思いませんでした…)が、「まあ、いろいろあるでしょうけど、僕たちああいう楽しい時代を経験してきたんだから、これからも頑張れるなって、そう思いませんか」と声をかけてくださいました。おそらく酔っておられたし、音楽のかかる中で聞き取った言葉ですが、これからも忘れないでおこうとここに書き留めておくことにします。

ずっとお会いしたかった方々と、ひとつの会場でこうして集まれて、一緒に写真を撮っていただいたりして、宝物のような思い出がまたひとつ増えました。帰り道に、これから近くの公園で打ち上げ行こうと話すノロイさんやchiggyさん達と肩を並べて歩いた僅かな時間も私にとっては尊かったです。

さあ、明日もきっと楽しくなりそうです。
幸せな気持ちで宿へ一人向かったのでした。

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