賢治と火山と温暖化

2021年現在COP26の地球温暖化対策が注目されています。

さて、約90年前の1932年に宮沢賢治は童話「グスコーブドリの伝記」を文学誌「児童文学」に発表しました。
世界初の地球温暖化に関するSF小説といわれています。

青空文庫「グスコーブドリの伝記」

https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1924_14254.html

ちなみに、この童話には、潮汐発電所も登場します。結果として、地球温暖化対策となる再生可能エネルギーも扱っていることになります。

(引用開始)

「先生、気層のなかに炭酸ガスがふえて来れば暖かくなるのですか。」
「それはなるだろう。地球ができてからいままでの気温は、たいてい空気中の炭酸ガスの量できまっていたと言われるくらいだからね。」
「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」
「先生、あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」
「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の一人はどうしても逃げられないのでね。」

(引用終了)

東北地方の寒冷な気候に悩む農民を見ていた賢治が書いたのは、温暖化促進策でした。

地球温暖化仮説は、1896年にスウェーデンのアレニウスが発表しました。アレニウスの著書を賢治が持っていたことが確認されています。
地球温暖化の実証は、賢治の死後、1938年にイギリスのキャレンダーが一部成功しました。
当時、最先端の理論でした。

ただし、火山噴火は噴煙を伴うため、日光を遮り気温が下がるのがふつうです。
噴煙を伴わない二酸化炭素中心の火山噴火は童話だけのものと思われていました。

ところが、1986年にカメルーンのオク火山の火口湖ニオス湖で、湖水爆発により千数百人が亡くなる惨事がおきました。
湖底の火山活動で湖水に二酸化炭素がたまり、サイダーを振ったときのように、噴煙を伴わない爆発が起きたのです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%AA%E3%82%B9%E6%B9%96

賢治が湖水爆発まで想定していたかどうかは、わかりませんが、二酸化炭素中心の爆発は、現実にも起こりうることが明らかになりました。

#宮沢賢治 #グスコーブドリの伝記 #地球温暖化 #二酸化炭素 #潮汐発電所

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