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個人的に多大な影響を受けた/強烈な印象を残したバンド紹介 #5 Enmity

※個人ブログに掲載した記事を一部加筆修正して転載。

当初は作曲や演奏が最も難しいものだと思っていたが、実際にはミックス/マスタリングこそが最も難しい。この気持ちが判るのは実際にDTMをやっている人間だけだろう。良い音を出したいのは勿論だが、自分がやっている音楽性にマッチした音だったり世間的な評価よりも自分が心地良いと思えるサウンドを何よりも追求したい。今回紹介するのは世間的な評価よりも俺が個人的に好きなサウンドを出しているバンド、Enmityだ。

アリゾナ州のブルータルデスメタル/デスグラインドバンドEnmity。Rob WeberとChad Weberの兄弟による2人組なんでユニットと呼ぶべきだろうか。1995年にスタートしデモやEPをリリースしているが、俺がよく聴いているのは2005年にリリースされた初のフルアルバム『Illuminations of Vile Engorgement』だ。

ゴリゴリと言うよりもギョリギョリした岩みたいな独特のギターサウンドでスラミングと呼べるかどうか微妙なテンポダウンと終始似たようなミュートリフ&ブラストが交互に顔を出す、という極めて偏り過ぎなブルータルデス/デスグラインドをプレイしている。肉しか食わないアンチヴィーガン位の偏りっぷりだ。

Voはピッグスクィールとはまた異なるタイプの豚声としか言えない独特のモゴモゴした唱法で、完全に歌詞は聴き取れないんだがそこが良い。クソ真面目な歌詞だろうと曲聴いても全然判らないのがブルデスやゴアグラインドの美点ってやつだ。

メタルコア、デスコアやDjentのようなクリアで洗練されたハイレベルなプロダクションに慣れた耳だとこの極端過ぎるサウンドはチープに聴こえるかも知れないが、ローを重視したギョリギョリサウンドが個人的にツボでついつい本作をリピートしてしまう。実は俺がやっているブルデスプロジェクトDeath Zombie From hellの3rdアルバム『How Can You Smile Like That...Murderer』のミックスは本作を意識した部分が多い。そこまで似たサウンドではなく流石に今聴くと籠らせ過ぎたと思うが、一度ああいうサウンドをやってみたかったんで満足している。

ただ本作以外の音源はギターが何故かモノラルっぽかったりでマジでチープなんで全然聴いていない。俺が好きなのはこのアルバムだけだ。ラーメン大学でラーメン食わずにチャーハンしか食わないようなグルーヴだ。

ちなみに2024年にPutridityが『Rotted Divinity』をカヴァーしたテイクをアップしている。プロダクションが一気に向上した事で細かい部分が判明し、改めてEnmityのカッコ良さを認識出来たのが嬉しい所だ。


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