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キャリアバラエティ Vol.40 山﨑博代さんの場合


 キャリアバラエティ、今回ご紹介するのは、航空会社に在籍し、派遣会社で研修の企画や実施のお仕事をしながら、絵本を使ったワークショップをさまざまな場所で行っている絵本ライフコーディネーターの山﨑博代さん。学生時代のお話や、航空会社でのお仕事、絵本に出会ったきっかけなどこれまでのことについてお伺いしました。


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【山﨑博代さんのキャリアバラエティ 1/4】
 山﨑さんは福岡市で生まれ育ちました。自主性を尊重するご両親のもと、自由に伸び伸びと過ごし、3歳の頃からバレエやピアノを習っていました。小学校に入学するときに、お母さまから「バレエどうする?続ける?」と訊かれた山﨑さん、なんと「小学校に入ったら勉強が忙しくなるから辞める」ときっぱり。お母さまは山﨑さんの意思を尊重してくださったとか。
 小学校から高校までは女子校へ。ランドセルを持たずに、お弁当だけを持って登校したり、お昼に抜け出してラーメンを食べに行ったり、はたまたテストをボイコットしたこともあったとか。山﨑さんご本人は「決してよい子ではなかったけれど」とおっしゃいますが、自由でゆるやかな校風の中、楽しい学生生活を送っていたそうです。
 高校卒業後、親元から離れたい思いが強く東京の学校に進学します。東京での学生生活を送るにあたっての条件は「寮に入ること」。規律のある環境に身を置かないと!というご両親の方針のもと、修道院の寮に入寮し、学生生活を送ることになりました。


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【山﨑博代さんのキャリアバラエティ 2/4】
 寮での生活は不便で厳しい面もありました。当時の門限は夜9時。事前に届け出をすれば延長や外泊もできるそうですが、遊びたい盛りの学生にとって9時は早い。門限に間に合わず、こっそり寮生に開けてもらったりしたこともありましたが、見つかって𠮟られたことも。また、それまで好き嫌いが多かった山﨑さんですが、好き嫌いを言っていると「食べるものがない!」状態に。それが功を奏したのか、好き嫌いが克服できたそう。
 大学では、観光事業研究部に所属し、観光白書を読む勉強会に参加したり、山手線一周のナイトウォークなどのイベントや、自分たちで企画・主催し、スキーバスツアーも実施したとか。ここで、企画することの楽しさや旅の面白さを知り、後の就職活動の際の指針となりました。
 大学卒業を控え、就職活動の時期になった山﨑さんは、損保や商社、そして航空会社を受験します。旅が好きで、企画を立てることが楽しいと感じていた山﨑さんでしたが、旅行会社は受けておらず、それは、バスや鉄道、飛行機など、移動そのもの、移動する時間も楽しめるといい、という思いが根底にあったからかもしれません。そして航空会社に入社します。


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【山﨑博代さんのキャリアバラエティ 3/4】
 入社後は、地元の福岡に戻ります。最初の配属先はコールセンター。同期のほとんどは空港勤務を希望する中で、山﨑さんは市内で働きたいと自ら希望したとか。同期にも恵まれ、社会人生活のスタートを切りました。しばらくすると、旅客販売部に異動、女性初の法人営業となり、山﨑さん自身も最初は「いったい何をするの?」という状態だったそうです。取引先企業に対する営業に加え、当時は世の中全体の経済状況もよかったこともあり、パーティーやイベントなどさまざまな企画に携わり、楽しく充実した日々を送っていました。
法人営業の部署には長く在籍していましたが、国際線の座席予約のコントロールを行う部署へと異動します。旅行会社の担当者と調整しながら、いかに席を確保し、配分するかに心を砕きながらの仕事でした。
 同業他社との経営統合など社内ではいろいろなことがあった時期、山﨑さんは九州地区の組合の委員長を務めます。それまでの部門の中でのモノの見方、考え方とは違い、他部門、社内全体(経営状況、安全面、賃金など)のことを考える視点の違いに気づかされたことは、大きな財産になったと仰います。その後、総務・人事部門に異動となり、採用業務などに従事していましたが、会社が経営破綻となってしまいます。


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【山﨑博代さんのキャリアバラエティ 4/4】
 経営破綻という大きな出来事の中、山﨑さんは破綻処理の担当となり、九州各地を飛び回り、人員削減計画やコスト削減計画など、担当者と丁寧に対話しながら進めて行きました。休日でもお構いなしにかかってくる電話や仕事の依頼など、心身ともに本当にハードな日々だったそうです。プライベートでもお父様を亡くし、愛犬を亡くすなど、悲しい別れがありました。破綻処理もなんとか落ち着いた頃に、ふと「自分ってなんだろう?」と思い、心理学を学び始めます。
 絵本のワークショップに出会ったのもこの頃です。経験や価値観を投影して、さまざまな解釈ができること、何よりも心が動くことが大人が絵本を読むことのすばらしさです。東京や大阪まで学びに出かけるなど、縁と学びがどんどんと広がっていきました。
 現在は、本業を持ちながら、絵本のワークショップを開催されていますが、「今後は絵本の活動に軸足を移していきたい。絵本は自分の心を映す鏡。絵本を媒介に他者と関わり、他者とのかかわりの中で自分を知ることができる、そんな体験を多くの人に届けたい」と今後の展望を語ってくださいました。大人にこそ絵本を、とおっしゃる山﨑さん。これから先、たくさんの人に心が動く体験を届けていかれることでしょう。

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