見出し画像

LUMIX S9 発売にカメラ初心者が思う事

LUMIX S9が発売されました。

Xでは賛否両論ありましたが、盛り上がっていたことは間違いないようです。

僕なりに今回のS9発表、発売に関して思った事があるのでここで雑談的にお話ししたいなぁと思います。

誰が何を言うねん

僕は普段、LUMIX S5を使用しています。

年齢は40代なので、まぁカメラ爺に片足を突っ込んでいるわけです。
ただし、カメラを始めたのは約1年半前です。

カメラを趣味にされている方でカメラが発売されるたびに良くも悪くも評価したがる人って、カメラ歴も年齢もそこそこ重ねている方が多いかなという印象を受けました。

つまり私はカメラ歴は浅いのに、年齢はそこそこいっているという、この界隈ではなかなか稀有な存在なのかなと思っています。
かつ過去に携帯電話の販売もしており、様々な企業のマーケティング(主に携帯やスマホについているカメラの)を見てきましたし、仕事でもマーケティング的なことを常々やってきました。

という事で、
カメラ初心者目線でS9の内容やカメラのマーケティングについてお話しします。

※S9の詳細な機能一覧などは他の方や公式ホームページにありますのでそちらを参考にしてください。
※公式から依頼されているわけでもないので、細かい数値的なものは誤りがあるかもしれません。


S9で騒いでいたこと

今回のS9の特徴(Xでわいわい騒いでいたこと)と僕が気になった点をまとめると、

・ファインダーなし
・メカシャッターなし
・ホットシューではなくコールドシュー
・4K動画録画時間15分まで
・価格約20万円
・広角単焦点レンズ S-R26 付属(キャンペーン)
・アプリ
・リアルタイムLUT

…と、こんなところでしょうか。
(今回は一つ一つああだこうだではなく、初心者視点、マーケティング視点でべしゃります。)

ターゲットは「スマホカメラ⇒一眼ミラーレスフルサイズ」

今回のS9のターゲットは誰なのか、ですが、はっきり公式が言っているわけではないですが、発表時の動画やアプリで連携しやすい内容を謳っていることから、

『スマホカメラで写真を撮ることは初心者ではないが、いわゆるしっかりしたカメラで撮った事がない人』

なのかなと思います。

スマホカメラユーザーのカメラの扱い方をできるだけ損なわずに一眼ミラーレスにスライドしたいのではないかと思いました。

※以下 スマホカメラ⇒スマホカメラ、一眼ミラーレスカメラ⇒カメラ とします。

新たな顧客を創出するにはわかりやすいイメージと削る事が重要

わかりやすいイメージとは

他の市場から顧客を作り出す(または呼んでくる)には、わかりやすいイメージが重要だと思います。

どれだけ機能や性能を謳っても、使ったことがない人にはいまいちピンときません。

従って使用したときの楽しい感じ、価値あるものだというイメージが湧くようなプロダクトデザイン、ひいては広告でのキャッチコピーやキャラクター、画像、動画などが重要になってきます。

機能の重要性がわからないのだから、だったらカッコいい、かわいいものを使いたいですよね。

今回はスマホカメラからのスライド顧客創出だと思うので、やはりプロダクトデザインはスマートでオシャレなものが必要になると思います。
スマホ自体がオシャレですからね。
となると、ファインダーは不要になります。
スマホにはファインダーがないですから。
僕自身カメラを始める前は、カメラのファインダー軍艦部分を「だっさー、なんで盛り上がってんねん、マジで軍艦やん笑」と思っていました(今はそんなことないですよ)。

ということで、今回のS9のデザインは最近流行りの「レトロ感」「エモさ」を入れつつ、凹凸のないスマートなデザインになっている事に関しては率直に「いいな」と感じました。

こうなるとメカシャッターも不要となりますね。
だってスマホカメラにはないですから。
(フリッカーが発生しても、「エモく」なるんでしょう。)

この辺りSNSでは賛否両論になっており、
初心者が買わせるには逆に不親切だみたいな意見も上がっていましたが、
確かに最初から本格的にカメラをしたいという人には不向きなカメラだとは思います。
ですがあくまでターゲットはスマホカメラユーザーのスライドですから。

それにこのS9をきっかけに本格的にカメラを始めたいと思えば、S9を売って新たなカメラの購入を考えれば良いだけの話しだと思います。

完璧なものなんてないですし、使えばきっと欲が出ます。

実際僕ももともと動画目的でS5を買ったのに、今では写真メインになっていますからね。だから「あー、もっと写真に振り切っているカメラにすれば良かったなー」と思う事もありましたが、それは使ったからそう思ったわけなんでね…。

選択肢や機能を削ることは購入者の為でもある

逆にあれこれ機能や装置を詰め込んだり、あとで拡張できるようにしても、きっとターゲット層は「なんだか面倒くさそう…」と感じるように思います。
さらに他メーカーでも出ている同じようなカメラと比較し比較疲れし、購入のタイミングを見送ってしまう事にもなるでしょう。
(拡張の選択をなくすという意味でホットシューではなくコールドシューになっているのだと思います)

とにかくカメラ初心者にはスマートに訴求することが重要だと思います。
(これはS5を購入するときに非常に強く感じました。)

つまり削って制限することで用途を明確にし、
これを買うべき人は私だ!
と購入者の背中を押すことになるわけです。

だからファインダーやメカシャッターなどを取り除いた事は、マーケティング的な観点からいって必然的なことだったと思います。

となるとLUTが意味不明 ※接客時面倒臭い

S9の魅力的な機能である「リアルタイムLUT」ですが、これ自体が意味不明なのではありません。
とても楽しい機能ですし、僕も動画も写真も編集時はLUTを使用することがあります。

・なぜ「LUT」という名称のままにしたのか
・なぜ 39個も登録できるようにしたのか

そもそもスマホカメラを使用している人にとっては、LUT より「フィルター」の名称を使う方が馴染みがあると思います。

これはLUMIXが動画の匂いを残して、動画への興味を促す導線にしたいのか、いまいちわかりませんが、それにしてもターゲットがスマホカメラからの移行だとしてるなら、「LUTカラーフィルター」などとするべきだったかと思います(文法的な意味を突っ込まないでくださいねw)。
まぁそうしちゃうと

そしてなぜ39個…。
多過ぎん??笑
多すぎて使うときに疲れるよ。
せっかく機能をそぎ落としたんやから、20個くらいで良くない?
まぁここは個人的なものが左右するからあれやけども…。

ほんとにこれだけは勿体無い。
毎回「うんうん…で、LUTって何?」と質問される販売現場が想像できます笑
「えーっともともと動画で使用されているもので…」面倒くさ。笑

動画ってそんなに長く撮る?

4K動画の録画時間は15分まで
となっていますが、
前々から思っていました。

長時間録画そんなに要る?って。

僕には子供がいて、運動会や発表会の際は三脚に据えて長時間録画すれば、放ったらかしで別のカメラで写真も撮れますが…。

実際長時間録画しないですね…。
最初は長時間録画してましたが、編集するとき結局「切る」んですよね。
長尺で編集しても結局自分の子供が出てくるまでは飛ばします笑

僕の話しは置いといて…
そもそもスマホカメラでも長時間録画しますか?
あくまでスマホカメラユーザーのスライドなので、スマホでの動画の扱いができていればOKだと思いました。
昔スマホカメラで子供を動画撮影していた時も、15秒から長くて3分とかでした。

短く録画したものをいくつか繋ぐのがスマホカメラユーザーの使い方です。

だからこれも納得。

なぜ広角単焦点レンズ S-R26を付属させたのか

僕は当初S9の噂が出たときに、単焦点レンズ S 50mm f1.8 を付けると思っていました。

だってスマホカメラユーザーが一眼を手にして最初に感動して声にするのは「綺麗なボケやなぁ」だと思います。
僕もS5を手にしたときはその美しさに感動しましたよ。
ならばそれをより享受できるとしたら単焦点しかないでしょ!
…と思っていましたが、付属してきたのはS-R26という、f8のパンケーキレンズです(キャンペーン期間中に付属してくる)。
しかもマニュアルレンズ。
おそらくは、スマホの広角での撮影の流れを意識したでしょうか。
広角でf8ならマニュアルレンズとはいえピントは合わせやすいですよね。
なんとなくカメラ触っている感は出ます。
もちろんスマホと比べたらその解像度は素晴らしいと思います。
(それか、レンズに興味を示すベテラン勢への逆セット販売なのかな?)

それでもスマホユーザーがカメラを買うとなったら、やはりわかりやすい「綺麗な映り」だと思います。
ここが残念に感じました。

もちろんキットレンズになっている S20-60 や S28-200 は素晴らしいと思いますけどね。

様子を見て、しばらくしてから新しいカラーリングとともに単焦点レンズとのキット販売も出るでしょうね。

アプリ「LUMIX Lab」の存在意義

これ!本当に望んでいました。

カメラを始めてからこれまで、各メーカーがカメラ市場を広げたいというなら、もしくはスマホカメラに奪われたユーザーを取り戻したいというなら、なぜスマホユーザーも納得するアプリを作らないのか。
細かい編集はできなくても、せめてインスタでできる程度の編集を行えるメーカー専用のアプリをなぜ作らないのかと。

もちろんカメラ内のデータをスマホに送る事のできるアプリはありますし、送っちゃえばスマホのインスタやLightroomアプリで編集できますから何も問題ないのですが、問題は『イメージ』だと思っていました。

「これで撮れば編集も思いのまま!」

なんて謳えば、使いやすそうなイメージがつきませんか。
人はプラットフォーム的なものが変わることにストレスを覚えます。
電車の乗り継ぎが2回あるとなんとなく面倒な感じじゃないですか?

実際使ってみたら使いにくかった、とかまたいろいろ賛否出てきそうですが、いいじゃないですか。そこからまた改善していけば。

また先ほどのLUTも自分で作れそうですし。
もちろんここはある程度のチュートリアルやその作り方にある程度のパッケージ化されたものがあるとわかりやすいとは思いますけどね。
例えば、出てくる質問に選択で答えていくだけでベースとなるLUTが作れて、そこからこだわる人はいじってください、みたいな。
もともとあるLUTを変更するのもいいですが、自分で答えを選択すると最初から自分で作った感覚ができるじゃないですか。
そういった細かい事も顧客満足につながるんですよね。
これが上手くいけば、編集アプリが素晴らしいのに、カメラの価値も一緒に上がります。

あとはスマホとカメラの接続をスムーズにすることは必須かなと思います。
これがどこまでできているのかでアプリが活きるかどうかが決まるでしょうね。

そにかくスマートに。

なぜこんなに細かくアプリに関して話すのかというと、
以前いろんなカメラをウェブで見ていたときに、

『ZEISS ZX1』

というカメラを見つけました。
これ、カメラ本体にandroidが搭載されていて、なんとカメラ本体でLightroomで編集出来たり、そのままSNSにアップロードできるというとんでもないカメラでした。

ZEISS ZX1
andoidOS搭載により、Lightroomが使用可能

『欲しい』と思いました。
本体もスッキリしていて、S9のようなスクエアタイプのカメラです。
(ファインダーはありましたけどね。)

ただ、このカメラ100万します。
100万…
うーん、それならレンズたくさん欲しいなぁ
いやいや、Leica行きますか!
ってなりません?
高すぎます。
価格って重要。

20万円という価格はNG?

S9が発表される前、20万円を切るんじゃないか、とかそうであって欲しい。
などいろいろありましたが、約20万円で発売。

うーん、直感で「高い」です。

いやいやわかりますよ。
フルサイズです。
わかっています。

ですがそれは、『カメラを知っている人の価値』です。

ターゲットがスマホユーザーですよ。
かつミラーレスにスライド移行させたいわけですから。

そうなると、「スマホに20万もかけるならカメラの方がいいっしょ!」
とゆーちゅーばーの声が聞こえてきそうですが…。

特にここからは日本独特のマーケットにはなりますが、
スマホに20万もかける若者がスマホを機種変更するときなどに、
『20万円出している』という感覚、
あるでしょうか。
僕はないと思います。

スマホの割賦分割販売が始まった当初、僕は携帯電話業販売員をしていました。
これが始まったとき、本当に現場や顧客は荒れました。
それまで0円~1万円程度を支払って新規・機種変更できていたものが、
なぜ割賦販売にと。
それからです。携帯電話やスマホの値段が上がり始めたのは。
上手いんですよね。普段払っている通信料に混ぜるというやり方。

それと同時に、スマホを購入する際(契約時)にはお金はかからないというものが当たり前になっていく状況を目の当たりにしました。

これが一般消費者のスマホ購入の『感覚』です。
同じように、カメラも分割で買うでしょうか。
スマホの分割払いはあまりにも当たり前になり過ぎて、借金している感覚がないんですよね。
これがカメラでカードの分割払い契約となると、それまで買い物に分割払いをしたことはないので、きっと何かものすごい契約をしているという感覚が大きくなると思います。

スマホのように、もともと支払っているものに混ぜることはできません。

僕は日本でスマホカメラユーザーをカメラ市場に引き込めないのはここに原因があると思っています。

海外の場合だと、日本よりもスマホはより安いものを購入する傾向にあると思うので、より20万円は高いと感じると思うでしょうね。
(円安円高の話しはなしにします)

だから、そういった感覚で言うと、やはり20万円は直感的に「高い」です。

なので、販売と一緒に実質分割払いの支払い方法をS9だけに適用する特別な支払方法を同時に提供すれば良かったのにな、と思います。

スマホの購入と同じように、分割支払い感がないような何か…。
契約時のスマートさか、
サービス名、キャッチコピーなのか、

とにかく「20万円」という絶対値での高さを感じさせないものを用意してほしかったなぁと思いました。

結局誰が得するカメラ?

今までこんなにスマートなフルサイズのカメラがあったかな、と思います。
もし僕がカメラを始めた1年半前にこの機種が出ていたら必ず購入していたと思います。

気軽に綺麗な写真が撮れるなんてとても良いと思います。
ごちゃごちゃ煩いのがないのもわかりやすいです。
だからカメラ長年使用されている方も、少し遊び的な使い方できてオシャレですよね。

初心者には気軽に本格的なカメラへの入り口として。
そしてカメラベテラン勢には気軽なスナップシューターとして。
家族にはみんなが使える1台として。
誰でも気軽に楽しめる本格カメラとして最高の機種なんじゃないかな、と思いました。

発売までいろいろありましたが、
このスマートなスタイルでカメラをきっかけに。カメラの素晴らしさをもっと多くの人に伝わればいいなと思います!

ちょうど友人がS9を購入したようで(まさにカメラ初心者です)、
いろいろ操作を教えに行くことになりそうです。
また触ってレビュー出来たらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

それではまたー。

乱筆乱文多謝!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?