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【女性アイドル】2020年「個人的」良曲紹介

色々あった2020年もそろそろ終わろうとしています。
前代未聞のコロナ禍に見舞われた今年、アイドルの世界も多大な影響を受けました。

徐々に有観客でのライブも再開されだしましたが、コール無し、マスク着用の厳命、特典会でのパーテーションなどなど、とにかく制約が多く、これまでのライブでの当たり前が通用しなくなっています。

特にコールは、アイドルのライブにおいて曲の一部のようなものなので、無いことの寂しさはぬぐえませんし、「お気持ちは手拍子や拍手で」といわれたところで限界もあります。

ライブに制約が生まれた結果、アイドルを評価する軸さえも変わっていっているような気もします。
例えば、コールなど他の要素を排除した、純粋な曲としての良し悪しが今まで以上に評価されてきているのではないでしょうか。

こうしてものの見方さえ変わってきた2020年、この一年にリリースされたアイドルの楽曲にはどんな曲があったのでしょうか。
個人的にグッと来た曲について、今回はご紹介していこうかと思います。

ただ、予防線を張るようですが僕の立ち位置としては、よくライブに行っていたのは5年ほど前で、それ以降は東京パフォーマンスドール(TPD)のライブに行っていた程度で他アイドルはほぼ見ていなく、長い空白期間のあと数カ月前から久しぶりに他アイドル現場に通いだしたという「出戻りアイドルヲタク」のようなものなので、今活躍しているアイドルをしっかりと抑えられているわけではありません。

それに加え、以下に挙げるアイドルは、これまで書いてきたライブレポや曲レビューで取り上げたグループばかりと、かなり偏りがあります。
ご承知おきください。

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まずはTPDから。

◆TALES / 東京パフォーマンスドール(TPD)

「会いたくて」という歌詞が頻繁にでてくるこの曲は、コロナ禍によって外にもなかなか出ることが出来ず、会いたい人にも会えないという状況の中書き下ろされました。

冒頭では、そうした状況下にあって先も見通せないことの不安が表現されています。

「無色透明な空を どんな色で どんな形で 描こう 何一つ決まっちゃいないけどね」

一方、終わりではこう締められます。

「繋いだこの手の 先には広がっている あの日見た青空」

「無色透明な空」から「青空」への変化を告げることで、不安も期待もある現在を越え、明るい未来がもう目の前に来ていることを暗示してくれているかのようです。
ここにさわやかなメロディーとTPDメンバーによる優しい歌声が重なることで安心感が生まれてきます。

物腰の柔らかな雰囲気の曲であるため、打ち込みがメインの曲をキレキレのダンスで魅せるTPDの従来のイメージからは遠いような曲ではありますが、「こういう曲もこなせる」ということを示したという意味では「TALES」のリリースは一つのエポックとなっているのではないでしょうか。
今後は、勢い一辺倒のライブに緩急をつける位置づけの曲になるのかもしれません。

先日は新生TPDの結成7周年記念ライブも行われましたが、その時の1曲目は「TALES」でした。
11カ月ぶりの有観客ワンマンということを踏まえた上で生で聴く「TALES」というのは、音源で聴くのとは違う感慨がありました。

◆SUPER JET SUPER / 夢みるアドレセンス

昨年末から新メンバー2人を加え、新体制となった夢アドは、9月に新体制初のアルバム「SUPER JET SUPER」をリリースしました。その表題曲です。

僕は今年に入って数年ぶりに夢アドのライブに行きだし、まさにそのころが「SUPER JET SUPER」のリリースイベント期間だったのですが、その際のミニライブでは毎回のように披露されていた曲という記憶があります。
そのこともあってか個人的には思い入れが強いです。

この「SUPER JET SUPER」というアルバム自体、テンションの高めな曲ばかりで占められているのですが、あえてこうした構成にすることによって、それこそジェット機のように新体制の勢いを加速させていこう!というグループとしての意気込みが伝わってくるようです。

その最後を飾る曲である「SUPER JET SUPER」も他のアルバム曲と同様、四つ打ちのノリノリな曲ではあるのですが、不思議と少しの哀愁も感じる曲でもあります。これは他の曲にはあまりみられない部分です。

ライブでイントロのギターが流れ、メンバーがそれぞれの立ち位置へと歩きはじめる瞬間、楽しかった時間も終わってしまう寂しさをなんだか覚えてしまいます。
楽しいばかりのアルバムの最後に位置する曲だからそうした印象がより強いのかもしれません。

音楽を表現するのに語彙が乏しくて残念ですが、ハッピーなABメロからサビに移るときにひと展開あり、そこも感情を揺さぶる箇所なのかもしれません。

STAND BY ME  もういっぱい STAND BY ME ずっと 隣にいてくれ

サビのこのフレーズなどは、「新生夢アドについてこれるのか?」という問いかけのようにも感じます。考えすぎですかね。

◆情熱リボルバー / 転校少女*

BURN アツイ火を点け 導火線 走り出す」といった歌詞が乗ったロック調のメロディ、空手の後ろ回し蹴りを思わせる特徴的な振りつけ、そして何よりタイトルからもイメージできるように、激しい攻めのナンバーです。

「情熱」という単語からはまさに燃えるような赤色を連想しますが、衣装もそれを反映するかのように、暖色系の色をした花がちりばめられたボタニカル柄のものとなっています。

この曲のリリースにあたって行われたインタビュー記事では、リリース日が真冬の2月と言うこともあり「この時期に着るような衣装ではない(笑)」とか「夏を先取り」とか冗談っぽくメンバーがコメントしていました。
確かに夏っぽい衣装ではあるのですが、結果として夏を通り越して2020年の間中ずっと、この衣装でイベントやライブをこなしていました。

転女_7


また、衣装に絡めると、MVにおける「赤」の強調という点も注目すべきかなと思っています。

MVのダンスショットは、格闘技のリング上でのカットとなっているのですが、照明は画面奥の花道からそのリングと踊っているメンバーを照らすのみで、それ以外の背景は真っ暗です。

各メンバーのリップシーンも同様です。当人を照らすライトだけで後ろは真っ暗です。

思わず画面の輝度を上げてしまいそうな暗さなのですが、この暗さがあることによって、衣装やメンバーの顔色などに由来する赤色がより際立っているような気がします。

画面の奥に吸い込まれそうな黒に対し、こちらに向かってくる進出色である「赤」は対比効果的によりくっきりと浮かんで見えます。
それにより立体的に訴えかけてくるものがあります。

また、この曲ではメンバーの歌い方も特徴的かなと思っています。
歌い終わりとともに息を吐き出す様子がイヤホン越しにも伝わってくるのですが、こうした息継ぎの仕方はあまり無いのではと思うのです。

例えば、1Aメロの最初のパート。語尾を明らかに切っています。

「どーしゃぶりのッ アウェーイ感がッ あたまッ 押さえつけーるーーゥッ」

文字に起こすと、なんだこれはといった感じですが、普通はカンニングブレスのようにするところを、「情熱リボルバー」では各フレーズ間をぶつ切りのようにし、ブレス位置を明らかにすることによって、それぞれのフレーズがより入り込んでいくしような気がします。

そしてこの歌い方こそが、格闘技の試合に挑んでいるMVの世界観や歌詞の切迫感と非常にマッチしているように感じます。
ステレオタイプなアイドルの歌い方になっていないところがこの曲のミソなのかもしれませんね。

とりわけ松井さやかさんと塩川莉世さんの歌い方にはそれが典型的に出ていて、「かっこいい...」と思ってしまいます。

大サビ前、松井さんのシャウトする「OH MY SOUL」も圧巻です。今年の11月21日にはZepp Tokyoで6周年記念ライブが行われたのですが、このパートとともに上がった火柱の円柱は記憶に色濃く残っています。

それから、曲の評価からは脱線しますが、転校少女*はライブ映像をよく公式YouTubeチャンネルにアップしてくれています。

長尺のライブを公開してくれるのは、ライブでしか聴けないようなリミックスやマッシュアップを聴いて次回以降のライブの予習とすることができるとともに、セットリストにおける各曲の流れをつかめて非常に重宝します。

贅沢な願いですが、来年以降もライブ動画を上げてほしいです。

◆Magic All Night / サンダルテレフォン

サンダルテレフォンは、TPD目当てで行った対バンライブのオープニングアクトとして登場していたときに初めて見ました。
つい先月、11月のことです。その時受けた衝撃や感情は以前のレポに書いた通りなのですが、改めて聴きなおしても良い曲が多いです。

そのため、何について書くかは非常に迷いました。
今回はこの2曲だけピックアップします。

まずは今年2月リリースのシングル「Magic All Night」の表題曲です。


「Magic All Night」は、どこかハロプロっぽさを感じるなという第一印象です。。
くだんの対バンライブのレポで初めて耳にした時には「泡沫サタデーナイト!」っぽいと書いてみたり、別の曲のレポでは「いやいや、ロマンスの途中の方が近くないか?」なんて例えてみたりしましたが、とにかく曲全体にハロプロの雰囲気をにじませています。

フリコピも楽しそうですし、「夢を見させるから」という歌詞通り、夢の中にいるかのような世界観も素敵です。小町まいさんの歌声は抜けていますね。

洗練された音でありながら、ちゃんとアイドルの曲として成立している。

他の持ち曲「コーリング」や「Follow You Follow Me」を聴いていても感じるのですが、サンダルテレフォンの曲はおしゃれさを備えつつ、アイドルらしさもしっかり押さえているという点で非常に良いなと思いますし、こここそ多くの人に刺さるであろうポイントなのだろうなと感じます。

◆Sleeping Beauty / サンダルテレフォン

こちらはMagic All Nightのカップリング曲ですが、MVは無くダンスレッスンver.のみがYouTubeに公開されています。

先ほどの「Magic All Night」とは打って変わり、激しめのダンスナンバーです。

比較的「フリコピ」がしやすい曲が多いように感じるサンダルテレフォンの曲の中では、真似するのが難しそうに感じますし、それよりも魅入ってしまいます。

「目醒めさせないでよ」というフレーズとは裏腹に、目を覚まさせるようなベースラインの重低音も気持ちが良く、ライブハウスで高い音圧とともに聴いてみたいなと思う一曲です。

またまた脱線してグループ自体の話になってしまいますが、サンダルテレフォンのメンバーは、ツイッターで関連ワード(グループ名や個人名)を頻繁に検索しているようで、それらのワードが入ったツイートに対してよく「いいね」をしています。

さすがに関連ワードが入ったツイート全てに目を通していいねを押しているわけでは無いとは思うのですが、それでもツイッターのTLにはかなりの頻度でメンバーの「いいね」ツイートが回ってきます。

固定ファンの方のツイート、ライブで初めて見た人の感想ツイート、様々回ってくるのですが共通して「良かった」などという絶賛コメントが並びます。

僕はまだ一回対バンライブで見ただけなのですが、実際ライブは良かったのだろうと思いますし、こうしたツイートを目にするたびに早くライブに行ってその感情を共有したいという思いがあります。

そんなことを考えながら機会を伺っていたのですがようやく、12月21日(月)に開催される定期公演のチケットを押さえることができました。
公式ツイッターを見ていてもFC先行販売以降はなかなか告知がなされておらず、売り切れたのかな?と不安だったのですが取れて良かったです。
2020年の「ダルフォン納め」を済ませられそうです。

記事としてはここまでで終わりのつもりだったのですが、年内ギリギリ12月に入ってこのMVが公開され、ふと目に留まりました。最後のご紹介となります。

◆Non Stop Kyushu / 九州女子翼

厳密にいえば、あくまでMVが公開されたのみで、まだCD/配信音源化はされていないどころかライブでも披露されていない曲(2020年12月20日現在)なので、果たしてこれを2020年の曲として良いのかについては微妙なところですが、聴いた途端に「おっ」と思ってしまった曲なので書かずにはいられませんでした。

ノリが良いディスコチックな曲調で、手を叩いたり身体を揺らしたくなります。
歌詞に入っている「綺麗さ」「可愛さ」「力強さ」というのは九州女子翼のテーマだそうで、自己紹介的な曲でもあるんですね。
メンバーの実玖さんのリップシーンは良いです。

九州女子翼もサンダルテレフォン同様、今年に入って、というかほんの1,2カ月前にグループの存在を知ったレベルなのですが、この「Non Stop Kyushu」も含め九州女子翼の多くの曲を手がけているのが筑田浩志さんだそうです。

以前に曲レビューを書いた「じゃじゃ馬と呼ばないで」も筑田さんの作曲ですが、「Non Stop Kyushu」もテイストとしては似ていますし、「じゃじゃ馬」同様この先も長く大事にされる曲なのではないかなと思っています。

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ここまで書いてきましたが、ツイッターやYouTubeを見ていると、良い曲を揃えた魅力あるアイドルグループというのは有名無名問わず他にもまだまだいるようです。
あまりに手を広げすぎても収集がつきませんが、2021年にはより多くのアイドル、そして良曲に巡り合えることを楽しみにしています。

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