見出し画像

深町純(JUN FUKAMACHI)

ON THE MOVE[[78]深町純(JUN FUKAMACHI)
ALFA(FIRST PRESS ORIGINAL)*見本盤
 
日本のクロスオーバー、フュージョンの立役者、深町純のニューヨークのオールスターミュージシャンを集めて1978年に発売された、この頃の彼の「No.1」代表作。超名盤アルバム!
 
**ON THE MOVE
深町 純 自身によるライナー・ノーツ/新しいアルバムを作ろうと思った。それは歌のあるインストゥルメンタルのアルバムだ。それまで数枚NY録音のアルバムを作っていたが、それらはかなり実験的色彩の強いものだった。今度はもっと聞きやすい、ポップなものにしたいと思った。曲は DEPARTURE IN THE DARK を除いて、全てアルバムのために作曲、編曲された。
 
ON THE MOVE
この曲の Richard Tee のピアノとベースの Will Lee は最初から僕の頭にあった。ダンサブルでファンキーなものにしたかった。サブメロディーにグレン・ミラーの「Moonlight Serenade」が彷彿とするようにした。この曲を特徴付けているものは冒頭と間奏に出てくるジェット音だ。これは僕の友人であった騒音の研究者が測定のために、基地で実際に F-16 の Touch And Go を録音したものを使わせてもらった。ジェット戦闘機の音を間近で録音する事など、普通は出来ないことなのだ。アフターバーナーを一杯にあげて上昇していくこの音は、今聞いても素晴らしい。この当時既に僕は、将来的にあらゆる音がサンプリングされ音源として使われるだろうと考えていた。
YOU'RE SORRY
僕は Michael Brecker のバラードが好きだった。Mike Mainieri の「Love Play」というアルバムの中に「I'm Sorry」という曲がある。Michael Brecker の素晴らしいソロがあって、そのオマージュとして、あるいは日本風に言えば返歌として書いた曲だ。Mike Mainieri も弾いてくれ、何とも僕としては嬉しい作品になった。僕は YAMAHA の GS にレスリーを使っている。特に Steve Gadd の三拍子のドラミングに息をのむ思いだった。
LETTER TO NEW YORK
これは僕がやりたかった歌の曲のスタイルだともいえると思う。Zachery と Frank のヴォーカルに続いて僕のメロは Mini Moog にマウス・バグを使っている。Michael には僕の好きだったエフェクタープレイを頼んだ。Will のベースも予想通りのできばえだ。僕にとって今でも、当時のNYのサウンドはこういうものだったと思う。なおこのアルバムの全曲のタイトルと歌詞は福沢エミさんが書いてくれた。
DEPARTURE IN THE DARK
この曲はNHKのドラマ「早筆右三郎」のタイトルバックのために書いた曲だった。時代劇の音楽としては恐らく斬新だったのだと思う。僕はこの曲が気に入っていて、書き下ろしではないがこのアルバムに入れた。Randy のエフェクティブなトランペットから Anthony Jakson の登場だ。Anthony はこの頃、レコーディングではテイクの度に新しい弦を張り替えて録音した。張り立てのギーンと言うサウンドが良いのだと言っていた。ギターの Barry Finnerty は僕は初めてのミュージシャンだったが、Randy が紹介してくれた。彼はこの録音の後、マイルスのバンドに参加する。僕のピアノソロはNYの同録であり、一切の差し替えもされていない。
DANCE OF PARANOIA Op.2
Randy と Michael と David Sanborn、つまり Brecker Brothers のサウンドが好きだった僕は、僕なりの曲を書きたいと思っていた。ジャズでもロックでもない新しいインストゥルメンタルの楽曲を目指していたのだ。もちろんこういう語法は Randy 始め、このアルバムに参加してくれたミュージシャン達から教えられたものだと思う。
WHEN I GO YOUR WAVE "PATHTIQUE"
これはベートーベンのピアノソナタ「悲愴」の第二楽章だ。恐らく世界で最初にアレンジされたものはこのアルバムだと思う。世界的に大ヒットしたのはしばらく後の事である。Steve からもこれをアメリカで出せばヒットしたのにと後で言われた。この Steve のドラムも僕は大好きだ。このシンセのアルペジオは、テープを倍に遅くして録音したものでNYでダビング作業をした。
EARLY EVENING LULLABY
Lani Groves のソロヴォーカル。ギターは Eric Gale。どんな曲を弾いてもいつも Eric の色になってしまう、本当に不思議なギタリストだ。サックス・ソロは George Young。彼は「ジュン、この曲は子守唄だよね。だからそういうように吹くよ」と、本当に子供をあやすように優しい演奏をしてくれた。
DEPARTURE IN THE DARK -AGAIN-
これは実は「DEPARTURE IN THE DARK」のフェードアウト部分なのだ。演奏が盛り上がって、つまり10分以上もこの曲を演奏したことになる。あまりにも素晴らしい演奏なので、その部分だけ改めてここに一曲として付け加えた。
 
***[Departure In The Dark」はこの後、1980年代以降に 深町純 と 和田アキラ 氏との共演となるバンド「KEEP」や、2012年以降の「KEEP Legend」でも度々演奏されており、深町純 を象徴する楽曲群の中の1つになっています。曲後半のギターソロはこの曲の重要な要素となっており、このアルバム「On The Move」の Barry Finnerty(バリー・フィナティー)氏の見事なソロがきっかけだったのかもしれません/Barry Finnerty 氏は自身のリーダー作の他、深町純 の「The Sea of Dirac 1977」「On The Move 1978」や、Brecker Brotheres、Crusaders を始め数々のアーティストのアルバムに参加されており、巨匠 Miles Davis 氏の1981年復帰第1作「The Man With The Horn」への参加実績があります。(ただし1曲目「Fat Time」の有名なギターソロは Mike Stern 氏))
 
エグゼクティブ・プロデューサー - 村井邦彦、川添象郎
プロデューサー - 深町純
レコーディング・エンジニア - Donald Berman, Tom Milmore
ミキシング・エンジニア - 深町純, Yasuo Morimoto, Yasuhiko Terada, Norio Yoshizawa
Mixed at Studio "A", Tokyo, May 1978
写真 - Ken Ohara
イラストレーション - Stan Fernandes
アート・ディレクション/デザイン - Ed Lee
 
01. On The Move 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi
  / Lyric writer: Emi Fukuzawa)
 Jun Fukamachi  :Yamaha CP-30,Synthesizer
 Steve Gadd :Drums
 Will Lee :Electric Bass
 Richard Tee :Acoustic Piano
 Barry Finnerty  :Electric Guitar
 Sammy Figueroa :Percussion
 Randy Brecker :Trumpet
 George Young :Alto Sax
 Michael Brecker :Tenor Sax
 Barry Rogers :Trombone
 Ronny Cuber :Baritone Sax
 Chorus :Lani Grovers
     :Ullanda McCullough
     :Deborah McDuffie
     :Zachery Sandars
     :Frank Floyd
02. You're Sorry) 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi)
 Jun Fukamachi :Yamaha CP-30
 Steve Gadd :Drums
 Anthony Jackson :Electric Bass
 Barry Finnerty :Electric Guiter
 "Crusher" Bennett :Percussion
 Michael Brecker :Tenor Sax
 Mike Mainieri :Vibes
 Ullanda McCullough :Background Vocall
03. Letter To N.Y. 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi
   / Lyric writer: Emi Fukuzawa)
 Jun Fukamachi :Synthesizer
 Steve Gadd :Drums
 Will Lee :Electric Bass
 Richard Tee :Acoustic Piano
 Barry Finnerty :Electric Guiter
 Sammy Figueroa :Percussion
 Michael Brecker :Tenor & Electric Sax
 Zachery Sandars :Lead Vocal
 Frank Floyd :Background Vocal
 Chorus :Lani Grovers
    :Ullanda McCullough
    :Deborah McDuffie
04. Departure In The Dark 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi)
 
 Jun Fukamachi :Acoustic Piano
 Steve Gadd :Drums
 Anthony Jackson :Electric Bass
 Barry Finnerty :Electric Guiter
 "Crusher" Bennett :Percussion
 Randy Brecker :Trumpet & Electric Trumpet
 David Sanborn :Alto Sax
 Michael Brecker :Tenor Sax
 Barry Rogers :Trombone
 Ronny Cuber :Baritone Sax
05. Dance Of Paranoia Op.2 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi)
 Jun Fukamachi :Acoustic Piano, Synthesizer
 Steve Gadd :Drums
 Anthony Jackson :Bass
 Barry Finnerty :Guiter
 "Crusher" Bennett :Percussion
 Randy Brecker :Trumpet
 David Sanborn :Alto Sax
 Michael Brecker :Tenor Sax
 Barry Rogers :Trombone
 Ronny Cuber :Baritone Sax
 Mike Mainieri :Vibes
06. When I Got Your Wave "Pathetique" 
 (Composer,: L.V.Beethoven
  / Arrangement: Jun Fukamachi)
 Jun Fukamachi  :Yamaha CP-30,Synthesizer
 Steve Gadd :Drums
 Will Lee :Electric Bass
 Richard Tee :Acoustic Piano
 Barry Finnerty  :Electric Guitar
 Sammy Figueroa :Percussion
 Randy Brecker :Trumpet
 George Young :Alto Sax
 Michael Brecker :Tenor Sax
 Barry Rogers :Trombone
 Ronny Cuber :Baritone Sax
 Chorus :Lani Grovers
     :Ullanda McCullough
     :Deborah McDuffie
     :Zachery Sandars
     :Frank Floyd
07. Early Evening Lullaby 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi
  / Lyric writer: Emi Fukuzawa)
 Jun Fukamachi :Acoustic Piano, Synthesizer
 Steve Gadd :Drums
 Anthony Jackson :Electric Bass
 Barry Finnerty :Electric Guiter
 "Crusher" Bennett :Percussion
 Eric Gale :Electric Guitar
 George Young :Alto Sax
 Lani Groves :Vocal
08. Departure In The Dark - Again 
 (Composer, Arrangement: Jun Fukamachi)
 Jun Fukamachi :Acoustic Piano
 Steve Gadd :Drums
 Anthony Jackson :Electric Bass
 Barry Finnerty :Electric Guiter
 "Crusher" Bennett :Percussion
 
 
https://youtu.be/6Dri2nvN7jo?t=9

ここから先は

0字

¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?