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5-11歳 子どものコロナワクチン接種について考えよう!(スペース文字起こし・後半)

この記事は2022年3月8日に
小児科医 ほむほむ先生と一緒に
Twitterスペースで配信した内容の文字起こしです。

分量が多いため、前半・後半の2回に分けてお送りします。
 
現在在分かっている医療情報をもとにお話ししていますが、個人的な見解も含まれますので限定公開としています。
 誤字・脱字に関してはご了承下さい。

子どものコロナワクチン 副反応

キュート先生(以下「キュ」):

本日は呼吸器内科医として現場のコロナ診療にあたっているわたくしキュート先生と、小児科医のほむほむ先生と一緒に、子どものコロナワクチン接種、特に5歳から11歳のコロナワクチンについて今わかっていることについてお話しするスペースを行っています。

ここまでで約半分が経過したわけですが、ここからは皆さまも気になっているワクチン接種に関連する副反応についてです。先ほど紹介した5-11歳におけるコロナワクチン接種のNEJMの論文では、ワクチン接種に関連する重篤な副反応イベントは認めなかったとのことですが、その内訳を見ていきたいと思います。

 まずワクチンを注射した部分、「局所」って言いますが、局所におこる副反応としては、発赤が1回目・2回目接種で15%、19%。腫れが10%、15%。、打った部分の痛みが74%、71%となっています。接種した腕の痛みは70%以上の子どもが感じる、ということですのでここは残念ながら子どもでも我慢が必要なところです。
また発熱やだるさなどの全身に起こる副反応についても見てみましょう。発熱が1回目・2回目接種で3%、7%。接種後の発熱はやや大人より少ないような印象があります。だるさが34%、39%。頭痛が22%、28%となっています。この論文では解熱剤のくすりを使った子どもが14%から20%と報告されています。論文の中には1517人中1人だけ、2回目のコロナワクチン接種後2日目に40度の発熱を引き起こしましたが、熱さましを使うことによって次の日にはよくなった、との記載があります。

この論文の中では、多くの人が心配されているコロナワクチン接種後の心筋炎や心膜炎、そしてアナフィラキシーの報告は全くなかったということは安心材料になるかと思います。

この副反応の発現頻度や強さに関しては流行している変異ウイルスがデルタだろうが、オミクロンだろうが関係がありませんので、現時点でも参考になるかと思って論文を読ませて頂きました。

ほむほむ先生にお伺いしたいのは、子どもはワクチンをたくさん打っている印象があって、例えばインフルエンザワクチンでも大きく腫れてしまったり、傷んでしまったり、熱が出たりっていうのはパパとしても経験することなのですが、小児科医の先生から見てこのコロナワクチンの副反応や心筋炎についてはどう感じますでしょうか。

 

ほむほむ先生(以下「ほむ」):

新型コロナワクチンそのものの副反応は他のワクチンとそんなに変わらないのかなって思っています。

たとえば肺炎球菌ワクチンは4回接種するのですが、10-20%の子どもが4回のうち1回は発熱することがあるって言われていますし、はしかのワクチンはそれ以上の頻度で発熱することが分かっています。

頭痛に関しても、注射の後に頭痛がでることがありますよ、って言っただけで頭痛が心配で出てしまう子もいるかと思います。ですので頭痛が出ても回復しますよって言ってあげることも大事です。

ただ子供のワクチン接種に関しては大規模接種というのはなかなか難しいと思います。大人への予防接種では、普通は暴れたりしないですし接種する人に直接お話しできますよね。子どもへのワクチンでは、お父さんお母さんにワクチンの話をしっかりし理解してもらった上で、危なくないように子どもを固定してワクチンを接種をすることも多く、、マンパワーとしての労力は大人に比べて大分かかるかと思います。

あと心筋炎に関しては870万回の接種で11例という極めてまれな頻度っていうことが報告されていますし、心臓に炎症が起こるってなんか重大な病気なんじゃないかって気がしますが、安静にしていて全員回復したっていうことも分かっています[6]

ここはちゃんとデータをとっている、ということが重要で、稀な副作用をちゃんとデータとしてリスクとして拾い上げているということが大事です。分かっているリスクとしてとらえることができます。

 [6]COVID-19 vaccine safety updates: Primary series in children and adolescents ges 5–11 and 12–15 years, and booster doses in adolescents ages 16–24 years

https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2022-01-05/02-covid-su-508.pdf

  

キュ:

いまほむほむ先生がお話しされた心筋炎のデータは、アメリカの実際の現場で5歳から11歳の子どもに接種された2021年11月~12月のデータです。この期間に5-11歳の子どもに対して新型コロナワクチンが約870万回接種されており、副反応の報告があったうち11件が心筋炎と判断されているみたいですが、全員が回復しているということです。5歳から11歳では12歳以上のコロナワクチンの有効成分が1/3量というワクチンの接種量の違いもありますが、5-11歳の子どもでは16-25歳でのワクチン接種に比べて一般的に接種した後の副反応の頻度が低かったという報告もあります。ワクチン接種の副反応として注射した部分の痛み・発赤・腫れや、発熱は気になるところですがほとんどが軽度です。非常にまれですが心筋炎の報告もあり、全員が回復しているとのことです。

 

子どものコロナワクチン 考え方

キュ:

今まで長くお話ししましたが、これはあくまでわたくしの調べたことと個人的な考えが含まれます。5歳から11歳のコロナワクチン接種に関しては多くの人の意見を聞いたり実際のデータを見たり勉強したり、そして今後の知見が積み重なってきたり、国や地域の感染状況で考え方も変わるかと思います。子どもの接種は1日を争っているわけではありませんし、ましてや強制的なものではありませんので、子どもとパパとママでご家庭内でもよく相談し、子どものコロナワクチン接種を納得の上で接種して頂ければと強く願っています。

あまりここでお話しする内容ではないかもしれませんが、実はうちの妻と子ども達もコロナ感染を経験しました。家庭内クラスターにあたるかと思います。わたくしを含めて家族全員自宅待機となりましたが、自分は食事以外の全ての時間をN95マスクといった目の細かいマスクを装着して生活して、一番下のゼロ歳児と自分はコロナ感染しませんでした。3人の子ども達が順々に感染して、隔離期間も順々に長くなり、学校や習い事など結果的に2週間以上の長期間休むことになりました。わたくしの目から見ても子どもたちは症状が軽いとはいえ、2-3日の間は発熱やだるさで元気がないような状況でしたし、その間は自宅から出られず、学校の問題、食事の問題、みんながとてつもなくストレスでした。そしてわたくしは呼吸器内科医としてこの2年間大人のコロナ感染症を数多く見てきて、重症化する場面や残念ながら亡くなる方にも立ち会うことも多かったので、子どものコロナは軽症が多く、重症化の頻度が少ないとはいえ、最悪の状況も常に頭の片隅にあるような状況でした。可能な限りの感染対策は行っていましたが、コロナ感染者と一緒の家に住んでいるため、やはり自分にも感染し、家族や仕事にも多大な影響と言いますか、迷惑がかかるのではと考えました。何度となく妻とどう行動するのがベストなのか話し合いながら過ごしましたが、自分がまだ元気で感染していない状況で、おうちを出て、自主的に隔離生活を行い仕事に復帰することもできたと思いますが、コロナ感染した子どもと妻を家において出てくることはわたくしにはできませんでした。職場の多くの人や自分が担当する患者さん方には多大な迷惑をおかけしましたが、家族の健康管理や生活を優先して仕事をお休みする選択肢を選びました。本当に休んでいる間に代わりの仕事をしてくれた同僚や病院スタッフの皆さまには感謝しております。この自宅療養中に様々なことを考えましたが、どこにコロナが居るか分からない状況において、自分の子ども達がいくらしっかり感染対策を行っても完璧にこなすことはできませんし、幼稚園や小学校、習い事などでも他の子どもたちも足並み揃えてちゃんとできるわけではありませんので、ワクチンという一つの防衛手段で子どもたちの身体を守ることの重要性はとても大切だと考えることになりました。
こういった考え方や捉え方は小児科医の先生からどうでしょうか。

 

ほむ:

難しいところですよね。

オミクロン株に対しても、接種をした方が感染リスクも重症化リスクは下げるのでは、っていうような研究結果は既にあります。

このデータを根本的に揺るがすようなことはないと考えています。ただ、前にお話したように、まだオミクロン株に対してのデータは豊富にあるとは言えません。

現状としては接種に関してはお父さんお母さんの価値観を入れていいんじゃないかなって思います。ずっと待ち続けてタイミングを外してしまうと困ると思いますが、現状としては子どもに関しては親がしっかり接種をしたうえで、子どもの接種の判断はまだ親の価値観を入れて考えらていいんじゃないかなって思います。

米国CDCの報告で、5歳から11歳の子どもでもmRNAワクチンを接種することで重症化を防ぎ入院を半分にするという話もあります。しかそこのようなデータも今月の話です(2022年3月4日公開)[7]

今後さらにいろいろ分かってくることもあるでしょう。

持病があってリスクのある方に優先してしっかり接種をすすめ、その後に考えるということでもいいと思います。

ただ根本的に子どものデータが180度変わるということはないだろうと思います。そのような幹の部分は多くの専門家の方々も大きな違いはないと考えますが、方向性はみんな一緒であるものの今の時点ではまだ十分な根拠に乏しいということから、各専門家で解釈が分かれるように見えるのだろうと思います。

ただし、かかりつけ医として自分の患者さんにワクチン接種を受けた方がいいか、という質問をされたら、現在の状況やデータを理解してもらった上で、多くのケースで接種した方がよりメリットが高いでしょうとお話することにしています。これがかかりつけ医の役割だと思っています。

 [7]Effectiveness of COVID-19 Pfizer-BioNTech BNT162b2 mRNA Vaccination in Preventing COVID-19–Associated Emergency Department and Urgent Care Encounters and Hospitalizations Among Nonimmunocompromised Children and Adolescents Aged 5–17 Years — VISION Network, 10 States, April 2021–January 2022Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)(2022年3月4日公開)

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7109e3.htm?s_cid=mm7109e3_w

 

ワクチン接種を控えた方がいい人

キュ:

分かりましたありがとうございます。わたくしもしっかり考えて自分の中でも理解を深めていきたいと思っています。それではあと10分くらいになりますが、Twitter上でも質問がありましたが、いくつかほむほむ先生に質問よいですか?

 

ほむ:

はい。専門家ではないですが、大丈夫ですか?

 

キュ:

はい。だいじょうぶです。
わたくし呼吸器内科医として重症な喘息患者さんやアレルギーの患者さんを外来でも受け持っているのですが、そういった患者さんたちワクチンを接種してもよいか、って大人ではよく聞かれるのですが、子どもでも喘息とか、アトピー、食物アレルギーの子どもたちっていると思うんですけど。どのように説明していきますか?

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