2014年6月19日記/淀川長治さんの解説付きでアラン・ドロンの映画を見た時代
*旧ブログexciteblog 「M's」2014年6月19日付、より移動。
実家で暮らしていたころ、父親がチャンネル権を握っていたが、ときには日曜洋画劇場を見ることができた。
当時は、アラン・ドロンの映画を割に頻繁に放送していた。日曜洋画劇場と言えば自動的に淀川長治さんの解説も思い出される時代だ。
淀川さんがいたずらっ子のような目で、若干興奮気味にお茶の間に向かって語りかけると、これから始まる映画への期待がいやが応でも高まった。
わたしにとって日曜洋画劇場のアラン・ドロンは、特別な存在だった。そのずば抜けた美貌は多くの日本人の心を掴んだし、ティーンエイジャーだったわたしの心も鷲掴みにした。
にもかかわらず、最初から最後まで見た記憶のあるドロンの映画は少ない。「太陽がいっぱい」「冒険者たち」「地下室のメロディー」「暗黒街のふたり」くらいのものだ。
父親がお風呂に入り、運良くアラン・ドロンがリビングのテレビの向こう側にいるとき、それこそ息を詰めてドロンの一挙一動を見つめたりしていた。
アラン・ドロンがいて美しい共演女優がいて、少々のロマンスがあれば充分満足だった。
アラン・ドロンの確かな演技力、服装の趣味のよさ、小道具使い、ストーリーの面白さに気がついたのは、ごく最近のことだ。
昨年テレビで、「チェイサー」「ビッグガン」「友よ静かに死ね」「危険なささやき」が放映されて、遥か昔に見たかったアラン・ドロンの映画をゆっくり鑑賞する機会があったからだ。
現代劇のときアラン・ドロンは、シャツにジャケット姿が多い。美貌を最大限引き立てる目立たないシンプルなスタイルに、今更のように魅せられる。
コーヒーを飲む、タバコをくわえる、朝食を食べる...。うっとりするような仕草や立ち振る舞いの宝庫なのだ。
これを機に、あの頃見たくて見たくてたまらなかったアラン・ドロンの映画を片っ端から見ようと思う。楽しみだ。
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