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2020年11月27日記/トレンチコートストレスサムライアランドロン
*旧ブログexciteblog 「M's」2020年 11月 27日付、より移動。
アラン・ドロンの映画「サムライ」は、ウルトラ非日常の映画。凡人のしょうもないクヨクヨもどこかへいってしまう。
例えば、私のバーバリーロンドンのトレンチコートは、2005年くらいに東京の表参道の直営店で約17万円で買った。毎年着続けたわけでもないのにズタボロだ。コットン100%なのに洗濯機でガラガラ洗った。
*2024年現在、このコートはもう手元にはない、処分した。着る本人も、コートもヨレヨレ、みすぼらしくなり過ぎた。
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買ってから5年程度は、ちゃんとドライクリーニングに出していた。年に2回くらい。形は、膝が隠れる程度のオーソドックスなラグラン袖のレディーストレンチコート。でもトレンチコートがピカピカのトレンチコートのままでいられる期間は、とても短い。
あっという間に、静電気で埃が、襟、袖口、裾の部分に吸い寄せられ、みるみるうちに黒ずむ。ジーンズの染料も裾の裏側部分に移る。
ギャバジンのトレンチコートを買ったら、この関門を乗り越えなければ、トレンチコートを着倒す快楽に到達しない。
実際、バーバリーのトレンチコートを買ってはみたものの、この日々蓄積される黒ずみに耐えられなくて、処分してしまった人を知っている。
ドライクリーニングに一年に1、2度出したくらいでは追いつかない汚れとの戦いが待っている。正統派のトレンチコートを長年着ることは、このストレス、ドライクリーニングの頻度との戦いでもある。
もっとも私は元々「刑事コロンボ」型なので、近頃は割り切ってしまっている。つまり汚れたまま着ている。
アクアスキュータム?のトレンチコートを着たジェフ•コステロ(アランドロン)は、そうした日常の汚れとは無縁のまま組織や警察に追われる。トレンチの襟を立て、ベルトをきっちり通したバックルは中央ではなく、左に寄せている。
様式美。何度も言うようだけど、形から入る美学に圧倒されて、トレンチコートの攻略意欲は高まる。なんのことやら。