ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』 2020年2月 (NHK100分で名著) 2020.1.27

英仏伊など西欧を味わった多くの日本人の目は、東欧や北欧に向いているのではないでしょうか。なかでもチェコのプラハは人気の街に感じます。10月上旬に、そこに行く機会がありました。スメタナの曲で有名なモルダウ川が流れています。プラハはその蛇行部分の突き出たところを拠点に広がった街のようです。市街地は5階程度の赤い屋根の建物が続き、トラム(路面電車)が走っています。地下鉄もA・B・Cの3ルートありました。朝方は犬を散歩させている人が多く、街角の居酒屋ではビールを飲み語り合っています。観光地のショーウインドーには、ボヘミアガラスや琥珀、操り人形がありました。この機会に、1989年11月16日のビロード革命をリードし大統領になった、劇作家のハヴェルを紹介した、NHK100分で名著のテキスト『力なき者たちの力』 を再読してみました。番組のHPも残っています。1989年はすでに、30年以上前のことで、当時の若者も老齢になりました。天安門事件(1989年6月4日)やアラブの春(2010-12年)は多くの不幸を招いただけのようにも思います。難しいことです。日本の状況はお金に左右される、土地と金融、会社、ビジネスの資本主義。ハヴェルの語る反体制派「dissident」はそれに置いていかれた人を意味し、多くの人は「力なき者たち」の状況にあり、ハヴェルの言葉が違った形で力を持つのでないかと感じます。

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