第193回 新沖縄放射線カンファレンス
2023年6月28日に第193回新沖縄放射線カンファレンス(沖放)が開催されました。
沖放は琉球大学病院を中心として県内の放射線科医が集まり、教育的な症例や稀な症例を共有するカンファレンスです。今回は2例の症例提示がありました。
【回腸子宮内膜症による腸閉塞】
1例目は腹痛を主訴に受診した、回腸子宮内膜症による腸閉塞の症例でした。回腸の子宮内膜症は希少部位子宮内膜症と言われ、腸管の他に膀胱や尿管にも見られます。腸管の子宮内膜症は12-37%程度と言われており、直腸・S状結腸、小腸、虫垂の順で多いと言われています。
卵巣は出血性嚢胞が主体であるのに対し、希少部位子宮内膜症は充実成分が主体で増生した線維化や平滑筋が目立ちます。微小出血を検出するためにSWIが有用な場合があります。
また、腸管子宮内膜症に特徴的な所見として、病変が漿膜側から筋層に及ぶとT2WI低信号の壁肥厚を呈し、更に粘膜下層や粘膜に浮腫や病変の浸潤が及ぶmushroom cap signが有用です。
月経後に腹痛が増強し腸炎として対応されていたという病歴があり、病歴の重要性も再認識した教育的な症例でした。
【筋原発もしくは筋肉浸潤を呈した悪性リンパ腫】
2例目は左下肢腫脹、歩行困難を主訴に受診したDLBCLの症例でした。左大腿部腫瘤、子宮腫大、胃壁肥厚、皮下結節、多発リンパ節腫大等全身に様々な所見を呈していました。腫瘍内を血管が貫通するCT angiogram signやMRIでの強い拡散制限が診断に寄与します。
筋原発の悪性リンパ腫はリンパ腫全体の0.11%、筋浸潤の悪性リンパ腫は非Hodgkinリンパ腫で1.5%、Hodgkinリンパ腫で0.3%と頻度は低く、本症例は稀な1例として症例提示されました。
血液検査でもIL-2R, LDH上昇を認めており、こちらも臨床所見と画像診断両方の重要性を感じました。
知念
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