第194回新沖縄放射線カンファレンス
2023年7月26日に第194回新沖縄放射線カンファレンス(以下、沖放)が琉大病院読影室+オンラインにて開催されました。沖放は琉球大学病院を中心として県内の放射線科医が集まり、経験した教育的な症例や稀な症例を共有するカンファレンスです。今回は2つの症例報告があったのでここに共有します。
【軟部組織軟骨腫】出題:琉大病院 伊波、 解答:中頭病院 上地
軟部組織軟骨腫は骨膜との連続性をもたずに軟部組織内に発生する、主に硝子軟骨から構成される良性軟骨性腫瘍です。頻度はまれで、四肢に好発する無痛性軟部腫瘤としてみつかります。画像所見はCTでは境界明瞭な軟部腫瘤、骨との明らかな連続性はなく、33~70%で石灰化がみられ、軟骨病変に特徴的なリング状石灰化を示します。MRIでは軟骨組織を反映してT2WI高信号、ADC高値を示します。まれな疾患ではありますが、軟骨成分の特徴的な所見を拾い上げることが診断のポイントとなる症例でした。
【異所性膵炎】出題:那覇市立病院 又吉、 解答:琉球大学病院 湯本
異所性膵(迷入膵)は解剖学的に正常膵とは連続性を欠き、支配血管も異なる膵組織と定義されます。膵に近接する臓器に発生頻度が高く、頻度順に十二指腸・胃・空腸・腸間膜などに発生します。多くは無症状ですが、まれに異所性膵の膵炎をきたすことがあります。異所性膵炎ではアミラーゼが必ずしも異常を示さず、診断に苦慮することがあります。異所性膵の画像所見は単純、造影各相で、正常膵と同様の構造、造影パターンを示す腫瘤を呈します。膵炎が生じると周囲腸管壁の肥厚や脂肪織濃度の上昇がみられます。異所性膵でも膵炎を起こしうるという教育的な症例でした。
文責:土屋
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