僕と関東旅行 第三回「東京事編」
どうもこんにちは、「最近、眠い。」だ。
筆者は8月17日~8月20日の間、関東近郊に旅行をした。この文章はその4日間の出来事を記した体験記の第三回である。(第一回、第二回はこちらから読むことができます)
全五回を予定しているので、よろしくお付き合い頼む。
第5章
俺は歩いていた。
空には燦々と輝く太陽、肌を焦がすような光と灼熱のアスファルト。
ーーー一何が起きている?ーーーー
周りには大勢の人間がいる。
俺は帽子を被り、右手にはスマホ、左手にはコーヒーを持っている。
スマホの画面に目を落とすと、時刻表示は”8月19日10時30分”だった。
俺は訳も分からずキョロキョロと辺りを見回した。看板がある。
ここは駅の近くなのか。
しかし、俺がなぜこんなところにいるのか、一向に思い出せなかった。
5時間前
俺は知らない天井の下で目を覚ました。
「知らない天井だ」
どうやら俺は記憶喪失のようだ、エヴァのことだけは覚えているが(面白かったから)。
スマホの画面に目を落とすと、時刻表示は”8月19日5時30分”だった。俺は相当早起きなんだろう。
俺は肺臓を大きく膨らませ、「ふぅ」とため息をつく。
何か準備をしなければいけない気がした。スマホのメモに何かヒントはないのか。
なるほど、どうやら俺は幕張周辺で行われるフェスに行くらしい。
記憶はないが、過去の俺が行きたがっていたなら、行くのが得策だろう。地図アプリで調べると、今いるのは千葉県千葉市内のホテルらしい。ここからならすぐにいけそうだ。
俺は日焼け止めを塗り、ホテルの冷蔵庫に入っていた林檎ジュースを飲み干して出発した。
*
ホテルの外に一歩出ると、ジリジリと暑い日差しが照りつける。俺は近くのコンビニでおにぎりと飲み物、そしてメモにあった通り凍った飲み物を購入した。
兎角暑い千葉市内を駅に向かって歩いていると、珈琲店を発見した。
今の俺に足りないのはこれだ、間違いない。迷いなく冷やし珈琲を購入した。
千葉市から幕張までの経路を調べ、珈琲片手に向かう。それにしてもすごい数の人だ。
なんだか頭が痛くなるほど人が多い。
うっ…頭が…痛くなる…
…。
第4章
俺は歩いていた。
日が沈み暗くなった、妖しいネオンが輝く街の中を歩いていた。頭上にはモノレールの線路がある。
ーーー一何が起きている?ーーーー
俺はなぜか汗だくだった。そしてとてつもなく腹が痛い。なぜだ。
俺は右手にビニール袋、左手にスマホを持っている。ビニール袋には駅弁と思われる小包。スマホは地図アプリが立ち上げられており、ホテルの位置を表示していた。
「とりあえずこのホテルまで行ってみよう」
何も分からない状況で、”行くべき場所がある”という事実だけが俺に力をくれた。
人通りのない道を歩いていると、なんだか腹痛も和らいできた。
*
ホテルに辿り着き、部屋に入る。とりあえず自分の持ち物を確認してみたが、変なものは何も入っていなかった。普通の旅行者の持ち物といった感じだ。
スマホの画面に目を落とすと、時刻表示は”8月18日18時30分”だったが、時刻が何か関係あるとは思えない。
うむ、困った。困り果てた俺にできることといえばもう…。
持ち物の駅弁を食うことしかない。
うっめ~!!
あれ、酒もあんじゃ~ん!!うっめ~!!!
食べ終わった俺は、満腹でいい気分だった。
あぁ、いい気分。いい気分すぎて、なんか、頭が…。
…。
3時間前
俺は歩いていた。
大勢の人混みに流されながら、暑い屋内を歩いていた。
周りを見渡すと、看板があった。
ここは品川駅らしい。なんでこんなところに…。
なんだか背中がズキズキと痛む。喉も乾いたし腹が減っている。
俺は体調不良の記憶喪失者らしい。
とりあえず近くに珈琲屋があったので、冷やし珈琲を購入した。
やば、うまいなこれ。
いや、まずは手がかりを探さなくては…。
手がかり…手がかりかぁ…
腹の虫が泣きおる。弁当を買おう。
俺は思いついたら止まらない。手がかりそっちのけで美味しそうな駅弁を購入した。
ハァァ、満足満足…。
いや、今は手がかりだ。
それにしてもなんだか背中が痛む。もしかして背中に手がかりが…?
俺は鏡で自分の背中を見てみた。
「何っ?!」
なんと、俺の背中には覚えのない刺青が彫ってあったのだ。
誰が、何の目的で入れたのか分からない刺青をみて、俺の心臓の鼓動が速くなる。
刺青には、箇条書きでこう書かれていた。
19日サマソニ幕張で
メメントおもろすぎワロタ
リルナズX、刑務所に入るMVの時、あんなちっさい工具でどうやって脱獄穴掘ったんだろ
家の鍵閉めたっけ
ノーマンリーダスみたいな人生がいい
家の鍵を忘れるな
う~ん、確かにメメント面白かった。しかも俺はサマソニに行くらしい。幕張ってことは、今すぐ千葉に行かなきゃならないのか。
俺は後で忘れないようスマホのメモ機能にサマソニの件をメモし、千葉行きの電車のホームに向かった。
*
ホームにたどり着く頃には緊張ははたと消え、俺は落ち着いた心で電車を待った。
どうやら電車は遅延しているらしい。
ここで一つ、不安が生まれた。帰宅ラッシュの時間かつ遅延で待っている人も多いだろう。これ鮨詰め状態では?
数分後、俺の予感は的中した。ぎゅうぎゅうである。
俺はぎゅうぎゅうの車内で、この地獄の終わりをひたすら待った。品川から千葉までの各停、長すぎる。コーヒーのせいでお腹も痛くなってきた(俺はお腹が弱い)。
そもそも俺は人混みに慣れていない。そのことを自覚した途端、普通に体調が悪くなってきた。
うっ…気分が悪い…気分悪すぎて…意識が……。
…。
第3章
俺は歩いていた。
午後一番の灼熱に照らされた辺り一面を埋め尽くすオタク、メイド、外国人。
ーーー一ここはアキバだーーーー
俺の直感がそう告げた。
幸せすぐる。記憶喪失して気づくとアキバって、ワイ将幸せ者でつか?
手に持っていたスマホで時刻を確認すると、時刻表示は”8月18日15時00分”だった。
全然時間あるじゃん。肝臓弱いけど酒でも飲んで暇つぶs…。
俺は気づいた、背中が痛い。もしかして記憶に繋がる鍵が背中に…?
19日サマソニ幕張で
リルナズX、刑務所に入るMVの時、あんなちっさい工具でどうやって脱獄穴掘ったんだろ
家の鍵閉めたっけ
ノーマンリーダスみたいな人生がいい
家の鍵を忘れるな
うーん、よく分からない刺青だけだ。でも一つだけ共感できるものがある。
”ノーマンリーダスみたいな人生がいい”
これだけは腑に落ちる。よし、目指そう、ノーマンリーダス。
*
ということで、山手線に飛び乗った俺は品川に向かった。何故か、説明しよう。
ノーマンリーダスが出演したゲーム「DEATH STRANDING」を制作したコジマプロダクションのグッズをファミマ品川シーズンテラス店で購入できるからである。
品川に向かう車内で、俺はノーマンリーダスのことを考えていた。
彼の出演作…例えば、メメントのこととか。
あ、出てないっけ。
でも面白かったし、背中に彫っておこ。
”メメントおもろすぎワロタ”っと…
い、痛い痛い痛い痛い!!!刺青痛い!!!!
うっ…痛みで意識が…
…。
2時間前
俺は座っていた。いや、泣いていたような気もする。
ここは…カウンター席のようだ。目の前には空のどんぶりがある。何か食べたようだが思い出せない。
支払いを済ませ、店を出た。暑い。どうやらここはアキバらしい。
どうせ記憶もないし、イヤホン専門店でも行ってみるか。
精気のない目で俺はノロノロ歩く、まるで亀だ。あまりの日照りにやられてしまう。
イヤホン専門店についたが、特にやることがない。一通り試し聴きをしてみるが、めぼしいものもない。10分くらいで店を後にした。
さて、どこへ行こうかと悩んでいる俺の前に現れた…
飲んでいくしかない。俺はすぐさま入店し、冷やし珈琲を注文した。
薫り高い!!最高である。俺は冷やし珈琲を飲み、少し涼んで店を後にした。
店を出たものの、とにかく暑い。暑すぎて脳が溶ける…
あれ…脳が…意識が…
…。
第2章
俺は歩いていた。
炎天下を歩く無数の人々、高架下で休憩している人もいる。この特徴的な街並み、上野だ。
ーーー一何が起きている?ーーーー
俺の手にはスマホが握られている。時刻表示は”8月18日13時00分”だった。
戯れにスマホの写真ホルダーを見てみる。博物館の展示物のような写真がたくさん並んでいた。
ふっ、記憶喪失か…。
…腹の虫が泣きよる。飯だ、飯。ローストビーフ丼がいい。
*
やってきました秋葉原。美味しいお店もわんさかござい。本日わたくしがいただくのはこちら。
うまい!!味変をしながら多角的に楽しめる。
実はこの店人気なもので少し並んだが、この美味が味わえるのならその時間も惜しくない。
うますぎて、なんか涙が…
あ、あれ…おかしいな…目から涙以外の何か…
記憶だ…や、ヤバい…記憶が…
…。
2時間前
俺は立っていた。
多くの人が行き交っている場所に立っていた。ここはどこだ…。
何をしようとしていたか、うまく思い出せない。
目の前に大きな建物がある。
建物の看板を見ると
と書いていた。
うむ。まぁ記憶喪失の身だし、何してもよかろう。入ろっと。
俺は宇宙、生物、海洋研究、科学史など、様々な展示物を見て回った。どれも一様に面白い。
中でも俺の目を引いたのは、コンピュータと素粒子研究だった。
初期のコンピュータや素粒子加速器など、人造のものを見ているとテンションが上がる。個人的に素粒子研究が大好きで、さっぱり分からないものの偶に調べており、そういう経緯もあって俺にとっては興味深いものだった。
展示を鑑賞し、満足して博物館を出た。相変わらず暑いが、なんだかいい気分だ。今日はこのまま博物館巡りなんてのも悪くな…
うっ…展示を見るのに頭を使いすぎて、血糖値が…
だ、誰か栄養を…!
豊富な動物性タンパク質を…!
…。
第1章
俺は休んでいた。
周りを見るかぎり、どうやらここは秋葉原駅前のタリーズらしい。
ーーー一何が起きている?ーーーー
手にはスマホ、テーブルにはタリーズの美味しい冷やし珈琲がある。俺は冷やし珈琲を一口啜ると、スマホで時間を確認した。
スマホには”8月18日10時30分”と表示されている。これまで何をしていたのか思い出せない…。
「くそっ、ダメだ。こういう時こそ冷静にならねば」
その時、パンツの右ポッケに何か入っていることに気づいた。
あ、これAirpodsだ。これで音楽を聴いて落ち着けば、何か思い出せるかも。
俺は早速、音楽再生アプリを開いてシャッフル再生のボタンをタップした。
流れてきたのはYMOだった。
俺は記憶を失っているものの、妙にこのサウンドに惹きつけられた。きっと記憶を無くす前、好きだったに違いない。これが記憶を取り戻す糸口になるかも!!
俺は持っていたスマホでYMOやテクノについて調べ始めた。
すると、一つの情報がヒットした。
国立科学博物館が主催するイベント「電子楽器の創造展」があるというのだ。
俺は今、幸いなことに東京にいる。行かない手は無い!!
俺は会計を済ませてドトールを飛び出し、上野に向かって走り出した。
が、どうやら記憶のない間に朝飯をたらふく食べていたらしく、急に走った影響で脾臓が収縮して脇腹が痛くなってきたので電車で上野に向かった。
*
俺は国立科学博物館前に到着した。青く澄んだ上野の空に浮雲が見える!!いい天気だ!!
どこだ!!入り口はどこだ!!
ここは常設展入り口…。
ここは特別展入り口、電子音楽展とは別の展示だ…。
あれ、ない?
なぜ?!
俺は慌ててスマホを取り出し、もう一度検索した。
公式ホームページにはこう書いてあった。
現実世界では開催されてないというのか…。
そんな…まさか…
嘘だぁぁぁぁ!!!
うっ…ショックで記憶が…
…。
3時間前
筆者(最近、眠い。)は今日も快活に飛び起きた!
ジェイコブコリアーのライブから一晩明けた今日、筆者は1日中東京観光するのだ。
さらにその後、千葉県へ向かい、19日に幕張で行われるフェス「SUMMER SONIC 2023」へと向かうのだ!!
さーて、今日も朝ごはんをたらふく食べ、肺臓に空気をたくさん取り込んで林檎ジュースをがぶ飲み!!荷物の準備もOK!!Airpodsもポッケに入れて、これで完璧だ!!
意気揚々とホテルを出て、東京観光の最初の目的地である秋葉原に向かうため、ゆりかもめに乗車した筆者。
しかしこの後、東京の魔の手が筆者を襲う…。
ゆりかもめに乗り込み着席した筆者の正面には、疲れた顔の中年サラリーマンが鎮座していた。
なんだかほんとに疲れていそうだったので、筆者は「こんな暑い中ご苦労様だなぁ」などと考えていると、サラリーマンは懐から一本の爪楊枝を取り出した。
「(おっさん特有の”アレ”か…)」
そう、おっさん特有のアレとは、つまり歯の間の異物を取る習性のことである。歳をとると、歯と歯茎の隙間が大きくなるらしく、そこに食べかすが溜まるのだ。その食べかすを取るため、歯と歯茎の間に爪楊枝を入れて掃除するおっさんが偶にいる。
筆者は「今やるか…?」とは思いつつも、電車内で一般的に気にされるような迷惑事象があまり気にならない人間なのでスルーしていた。
次の瞬間、事件は起きた。
そう、サラリーマンのおっさんが取った食べかすを自らのスーツのパンツに擦り付けているではないか。
おっさんのパンツを見てみると、黄と白の混じったような薄い線が何本も付着している。
これは流石に汚い。
衛生観念が終わっている筆者も、流石にこれにはドン引きせざるを得ない。
しかし次の瞬間、最大の事件が起きた。
なんとおっさんは、電車の中で歯間掃除をして食べかすをパンツにつけるだけでは飽き足らず、乾いてカピカピになった食べかすを電車の床に投棄したのである。
筆者は思った。
「東京って怖ぇ…」
おっさんは周りの目を物ともせず、ひたすら食べかす掃除を繰り返す。
取る…
付ける…
払う…
取る…
付ける…
払う…
ゴシゴシ…
サスサス…
バッバッ…
(食べかすの円環)
廻る運命、人類は愚かな歴史を繰り返してきた。
円環に巻き込まれた人間は、もう戻れない。
無限の苦しみの中、食べかす掃除を繰り返すだけだ。
「終点~、新橋駅です」
やったー!!!!!
わーい!!わーい!!!!
やったやったやった!!!
フォぉぉぉぉぉぉぉォウウゥゥ!!!!
筆者の人生でこんなに電車を降りるのが嬉しかったことは今までない。
筆者は爆速で降車し、新橋駅で乗り換えて秋葉原に向かった。
秋葉原についた筆者は、息も絶え絶えでタリーズに逃げ込んだ。
「東京怖い…」
そう、この歯くそ事件で筆者は心に傷を負ったのだ。
これこそが真実。
歯くそを忘れ、幸せな大都会・TOKYOに浸るための防衛本能…それが、
最終章(19日午前10時30分)
俺、いや、筆者は全て思い出した。
というか、全てどうでも良いのだ。
いま筆者がいるのは、灼熱の幕張。
縦横無尽に行き交う無数の人々、カップル、陽キャ、カップル…
そう、筆者はついに辿り着いた。
次回、「サマーソニック編」!!!!
御期待下さい。
第三回まとめ
第三回はここまでである。次回はこの旅行レポの核心「サマーソニック」に参加した際の体験談となる。
さて、上記した文章を読むのが面倒くさいと、猫撫で声をあげる読者諸君の姿が見える見える。
かわいいね、餌と今回の出来事のまとめをあげよう。
筆者「最近、眠い。」は東京観光2日目を満喫した。
筆者は上野の国立科学博物館を見学したり、秋葉原でイヤホンを見たり、美味しいローストビーフ丼を食べたり、珈琲店巡りをした。
翌日、筆者は夏フェス「SUMMER SONIC 2023」に参加するため、海浜幕張周辺に向かった。
今回も文字数が多くなってしまった。
この文章に、果たして本当に”読者諸君”が存在しているのかはわからないが、もしいるなら謝罪しておきたいことがある。
実はこの第三回、先日(9月12日)に一度投稿していたが、諸事情により一度投稿を取り消し、色々修正したのちに再度投稿したものなのだ。
さらに、修正前と修正後では内容やテーマ、文体や視点などほぼ全てが異なっている。
いま読んでいただいている修正後バージョンは、修正前バージョンの核心となるアイデアが使えなくなったことに起因して筆者が徹夜で執筆(ほぼ1から)したものであるため、クオリティーに難が残る。
修正後バージョンには筆者もあまり納得がいっていない。
そんな駄文にお付き合いいただいた読者諸君に感謝するとともに、謝罪する。これからも温かい目で見守っていただきたい。
いつか修正前バージョンが日の目を見ることがあれば嬉しい(筆者的にも必死で書いたものだったし)。
さぁ、次回はやっと本丸「サマソニ編」である。前座に三回も使ってしまった!!長すぎ!!
それではまた次回!!!