Amazon事業者の全員が直面する「現金なぜ増えない?」問題
AmazonのECプラットフォームでビジネスを展開している方々、日々の忙しさの中でこんな疑問はありませんか?
「利益が上がっているはずなのに、なぜか銀行口座の残高が思うように増えない…」
「利益計算を間違っているのか?」
「知らないところで他に経費がかかっているのか?」
これらの疑問が頭をよぎり、不安に感じたことがある方も多いでしょう。
実は、これは全ての物販事業者が必ず直面する大きな壁です。この壁を越えない限り、次のステージへ進むことは難しいのです。
そこで、本記事では「現金が増えない」問題の原因と、その解決策についてわかりやすく解説していきます。
キャッシュフロー管理の重要性
現金の動きを意味する「キャッシュフロー」。
これを正しく管理することは、物販事業を成功させるための最重要課題です。売上や利益がいくら好調でも、現金が手元に不足していれば事業は行き詰まります。
キャッシュフロー経営では、収益のみに注目するのではなく、現金の流れを見える化し、効率的にコントロールすることを目指します。
これにより、予期せぬ資金不足を未然に防ぎ、経営を安定させることができます。
現金が増えない主な原因
「売上はあるのに現金が増えない」原因は、以下の3つに集約されます。
売掛金の増加
売上は計上されても、実際の入金が遅れている場合があります。
特に掛け売りが多い場合、売掛金が積み重なり、現金回収が遅れることがあります。この遅れにより、仕入れの支払いが間に合わず、キャッシュフローが悪化する可能性があります。在庫の増加
成長期には仕入れが増えますが、在庫が過剰になれば資金が動かなくなります。これが、現金が不足する原因の一つです。無計画な仕入れや投資
計画的でない仕入れや新たな投資が、現金不足を招くことがあります。特に事業拡大期には、新商品を次々と仕入れるためこのリスクが顕著です。
キャッシュフロー改善の基本戦略
では、どのようにして現金不足を解消すれば良いのでしょうか?
ここでは、具体的な改善策を紹介します。
売掛金を早期回収する仕組み作り
Amazonだと周知のとおり、支払いリクエストが可能です。何回行っても手数料はかかりませんので大きな支払い日の5日前に申請し現金を確保しましょう。(リクエストから3~5日かかるため)
BASEなどのカートシステムにおいては手数料を支払えば入金を早めることが可能です。
物販事業に限りませんが、いかに入金を早めるかがキャッシュフローの観点で非常に重要になります。買掛金 特に仕入代金は逆に遅らせる最大限の努力を行う
特に2で行える対策が多いため、この施策は知っていれば知っているほど
キャッシュアウト(事業破綻)のリスクが減ります。
■ 締め日の異なるクレジットカードを3枚使い分けて支払いから引き落と
しまでの支払い期間を少しでも長くする
これはネットで検索すれば具体的なおすすめカードが出てきます。
ただネットで検索するとアフィリエイトのサイトに誘導されるので
以下におすすめの支払い期間を長くするカードの種類を記載します。
カードの締め日の翌日にカードを使用するのが最も支払いまでの日数
を稼げます。
◉カードA社 末締め翌々日の1日払い
毎月1日~5日までの仕入れはこのカードで仕入れると決めておく
◉カードB社 10日締め翌月4日払い
毎月11日~15日の仕入れはこのカードを使用
◉カードC社 15日締め翌10日払い
毎月16日~20日の仕入れはこのカードを使用
「この期間以外の日には仕入れの支払いを行わない」と決めること
これが3枚のカードを使い分けたキャッシュフロー改善のための対策 です。
paypal手数料3%弱、請求書のカード払いサービスの3~4%を支払って
でもクレジットカードで支払って直接振り込みは行わないようにする
ことが重要です。
手数料が勿体ないから即振込みを行うという方針の方は、黒字倒産の
リスクが高まります。
この支払い期日を伸ばす手数料も利益計算の必要コストとして予め
入れておくのが重要です。
支払い手数料の金額÷仕入れ個数でその影響度を計算するとキャッシュ
アウトリスクを低減できる効果の割にはたいした金額にはなりませ
ん。
■中国OEMの場合には頭金30%、工場からの発送時に残り70%を支払う
という交渉を忘れずに行う
これは実は中国では常識です。でもこちらから依頼しないと代行業者の
スタッフも含めて提案してくれないので交渉しないと損する内容です。
これをやらないと例えば1月1日に製造依頼をして、先に50万円を全額支
払ったとしたら、カードを使用しても2月中に50万が口座からなくなり
ます。 現金が減るのに、2月月初~中旬にようやく日本に到着し販売ス
タート。口座に売上が入金されるのは2月末。
これが黒字であるはずなのに、口座の現金が減っていく理由です。
こういった交渉力がある代行業者を選ぶというのも一つです。
この重要性を把握していない代行業者は物販事業に詳しいプロではない
ので離れた方が良いです。仕入れ計画を最適化する
新商品を次々に短期間で仕入れるのではなく、毎月の仕入れ上限額も設定
しておくことで支払い不能になる最悪の事態のリスクを低減できます。
実は仕入れを増やしている間は現金が増えにくいので、以下の図のように仕入れ額を水平に均して現金を一旦増やすフェーズを設けた方が安全です。 これは小規模事業者も大企業も同様です。大企業は売上計画だけでなく、この仕入計画も担当部署がしっかり管理しているはずです。
これを管理していない会社は黒字倒産に繋がるリスクが高まります。
私は年商1000億円の企業の経営企画部のスタッフとして勤務していたときに同じフロアの財務部とこのキャッシュフローコントロールも非常に緊張感をもちながら、情報交換と協議を行っていました。
大企業でもこのキャッシュコントロールをミスすると、黒字でも突然倒産してしまうからです。
【キャッシュフローコントロールを重視している大企業の事例】
Amazon は2001年まで持続的な(戦略的な)営業赤字でした。Amazonは商品売上の現金は即日会社の口座に入りますが、ベンダーやセラーへの売上金の入金は1週間後ですよね? つまり、前述のとおり、入金を早めて、出金を遅らせるので出品者が増えれば増えるほど、現金がどんどん増大していくキャッシュフローの構造をつくっているのです。
メルカリも同様に持続的な営業赤字の会社です。メルカリの場合にはポイント制度が現金を増やしてプラスのキャッシュフローを生み出し続けている要因です。 メルカリで売上た売上金は自動でメルカリのポイントになります。
事業者と異なり、一般の人はポイントを貯めるという習性があるので、手数料を払って現金化するよりも次回メルカリで購入するときのためにすぐに換金せずにポイントを貯めていきます。
メルカリとしては手数料売上はすぐに自社の口座に入れられるけど、売上金の出品者への支払いは上記出品者の意図により必然的に伸ばすことが出来ているという仕組みです。
上記2社だけではなく、キャッシュフローコントロール以前にキャッシュフローを少しでも有利にするためのビジネス設計をどの会社も行っています。
4.融資を受けれるときに受けておくこと
これは当たり前のことですが、最後にもってきているのは上記3つの対策
を取らないまま借りたお金を増やしてもすぐになくなるためです。
お金がなくなってからは銀行はお金をなかなか貸してくれません。現金
があるうちに、事業内容だけでなく、キャッシュフローコントロールも
きちんと行っていることも銀行にアピールし借りれるときに借りるのを
おすすめします。
繰り返しますが、税理士に丸投げ、上記3つの施策を行わないままの融資
は一時的な対策にしかなりませんのでご注意ください。
まとめ
「利益は出ているはずなのに、現金が増えない」という悩みを解消するには、上記のキャッシュフローコントロールと適切な管理が必要です。
売上や利益だけに注目せず、現金の流れに目を向けることで、事業をより安全に成長させることができます。
本記事で紹介した方法を取り入れることで、物販事業の「現金が増えない」問題を克服し、次のステージへ進むための基盤を築いてください。