直線や曲線の通過領域の問題----1
直線や曲線の方程式に媒介変数が含まれていて、媒介変数が動くことで直線や曲線が移動する。そのときに、直線や曲線の通過する領域を求めようというタイプの問題がある。それについて考えてみよう。
例題1
$${t}$$がすべての実数を動くとき、直線$${2tx+y+t^2=0}$$の通過領域を求めよ。
(解答)
ある点$${(3,4)}$$を直線$${2tx+y+t^2=0}$$を通過するとはどういうことだろうか?
等式$${3\times (2t)+4+t^2=0}$$を満たすtが存在しているということに他ならない。
では、点$${(a,b)}$$を直線$${2tx+y+t^2=0}$$を通過するとは、$${2ta+b+t^2=0}$$となる実数tが存在することである。
したがって、tの2次方程式 $${t^2+2tx+y=0 }$$が実数解をもつような$${(x,y)}$$がこの直線の通過領域を表している。
そこで、$${\dfrac{D}{4}=x^2-y \geqq 0 ⇒y\leqq x^2}$$
したがって、$${y \leqq x^2 }$$が求める領域である。
例題2
$${t}$$がすべての正の実数を動くとき、直線$${2tx+y+t^2=0}$$の通過領域を求めよ。
(解答)
$${2tx+y+t^2=0}$$が正の解を持てば良い。2個とも正の解のとき、正の解と負の解のとき、正の解と0のときを考えることになる。
(1)2つとも正の場合
$${\dfrac{D}{4}=x^2-y \geqq 0 (⇒y \leqq x^2) かつ -2x>0 かつy>0}$$
(実数解をもち、和も積も正の数であればい良い)
したがって、$${\underline{y \leqq x^2 かつx<0,y>0}}$$の領域(A)
(2)正と0の場合 解が0なので$${y=0}$$、もう一つの解は$${-2x}$$
したがって、$${\underline{y=0かつx<0}}$$の領域(B)
(3)正と負の場合 2個の解の積が負であればよいので $${y<0}$$
したがって、$${\underline{y<0}}$$の領域(C)
この(A)(B)(C)の領域を合わせた領域が求める範囲である。
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例題3
$${t}$$が$${-1 < x <1}$$の範囲を動くとき、直線$${2tx+y+t^2=0}$$の通過領域を求めよ。
(解答)
$${2tx+y+t^2=0}$$が$${-1 < x <1}$$の範囲に解を持つような$${(x,y)}$$の範囲を求めれば良い。
$${f(t)=t^2+2xt+yとおく}$$
$${ f(t)=\left(t+x\right)^2+y-x^2 }$$
①2つの実数解が$${-1 < x < 1}$$にある場合
$${f(-1)>0⇒1-2x+y>0⇒y>2x-1\cdots(1)}$$
$${f(1)>0⇒1+2x+y>0⇒y>-2x-1\cdots(2)}$$
$${-1< -x <1⇒-1< x <1\cdots(3)}$$
$${y-x^2\leqq 0⇒y\leqq x^2\cdots(4)}$$ この(1)(2)(3)(4)の共通領域(A)
②解が$${-1 < x < 1}$$に1つある場合
$${f(-1)f(1)<0⇒(1-2x+y)(1+2x+y)<0}$$ この領域(B)
③$${f(-1)f(1)=0}$$で、$${-1 < x < 1}$$に1つの解がある場合
(i)$${f(1)=0}$$のとき$${1+2x+y=0}$$であり、他の解は$${y}$$です。
(2つの解の積がyなので)
したがって、$${1+2x+y=0かつ-1< y < 1}$$ この領域(C)
(ii)$${f(-1)=0}$$のとき$${1-2x+y=0}$$であり、他の解は$${y}$$です。
(2つの解の積がyなので)
したがって、$${1-2x+y=0かつ-1< y < 1}$$ この領域(D)
(A)(B)(C)(D)の領域を合わせた領域が求める領域である。
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