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釈放

私が勤めるグループホームの利用者が本日釈放されることになり迎えに行った。刑事課と書かれた重たいドアの奥から無表情で出てくる彼を施設長と共に迎えた。

5回も罪を犯し刑務所に入ったことがあるので、今回は起訴されるかもしれないと半分思いながら1週間以上を過ごしていた。

施設長はもしも釈放されればうちで受け入れはできるし、彼の場合は刑務所という閉ざされた場で刑を受けさせるより、社会に出て一般的な生活を送ることの方が更生につながると考えるということを検察官に伝えていたので、帰ってくる見込みが大きいと思っていたそうだ。

結局、起訴されずに釈放にいたった。釈放された彼に私たちはソーシャルワーカーとして関わることにした。同情ではなく、どんな声掛け、どんな態度で接することが彼の自立や更生につながるのかを施設長と検討した。

彼は恐らくグループホームでの生活よりも刑務所の生活の方が楽であることを知っていて刑務所に戻りたかったのではないかと思った。釈放されてグループホームへ戻る車内で聞いてみた。本当は刑務所に入りたかったの?と。
入りたかったとは言わなかったが否定もしなかった。

前回の刑務所では彼は懲罰房にいて刑務作業にもついていなかった。一人で懲罰房にいることが苦ではないならば、障害を抱えながら一般社会で生活していくよりも、刑務所生活は楽に感じてしまうかもしれない。累犯障害者にとって一般社会は刑務所よりも過酷な環境に感じるならば、そういった彼らにどのように関われば、彼ららしいより良い人生を送ることができるようになるのか、一人一人の生い立ちや生活環境を振り返り、私たち職員も日々悩みながら支援にあたっている。


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