関東めぐり愛⑤・あざみ野
関東めぐり愛も神奈川県編に入った。さて今回取り上げるのは2014年の年末〜2016年まで住んだ神奈川県横浜市の青葉区のあざみ野である。私はこの地に2年間程住んでいた時期があるのである。
で当時のあざみ野での思い出と言えば、何をおいてもポスティングの思い出である。当時はまだUber eatsなどが普及していなかった為に私は〇〇不動産屋のチラシをあざみ野の住宅地に届けるポスティングをしていたのだが、その住宅地が所謂地元東村山市とは大きく異なり、高級住宅街であった為軽いカルチャーショックを受けたものだった。何しろ三階建の一軒家はザラであったし、ポストも洋風な感じでオシャレに作られているものが多く、そうした点も所謂「横浜らしさ」が伺われて、田舎者である私としては少々コンプレックスを感じたものだった。あざみ野は街の雰囲気と言い、家の造りと言い、全てが洒落ているのである。
それで私がそうしてポスティングをする中でよく覚えているのが、手作りで作った草鞋である。当時の私は(程度の差はあれ今もだが)、和装に凝っており、ポスティングの時だけ洋服に着替えてそれを行う事に嫌気が差したので、和服姿でポスティングをしていたのだった。がポスティングは時間との闘いでもあるので、草履履きだとスムーズに走る事が出来なかったので私は遂に草鞋を自作して、それを履いてポスティングを行っていたのだった。
当初はそれに関して何も問題が起こらなかったものの、和服姿に草鞋履きでポスティングを始めてから二週間程が経つと、チラシを入れていたあるお宅から、〇〇不動産屋にクレームが入ったらしく、そして〇〇不動産屋から当然の如く私のスマホに確認の電話が入ったのだった。事ここに及んだ以上、全て白状すべきだと思った私は、素直に草鞋履きでのポスティングを認めると、担当者のおじさんからこっぴどく叱られ、結局解雇されてしまったものだった。ポスティングの応募には服装自由と書いてあったのに、時代錯誤な格好はやはり不適格だったのである。
それから時が経ち、あざみ野からは引っ越したものの、田園都市線であざみ野を通る度に、若き日の草鞋履きの思い出が頭を掠め、苦い記憶に辟易する私なのであった。